ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

「オルジャスの白い馬」@TIFF

 東京国際映画祭で「オルジャスの白い馬」一足お先に観てきました。試写会の感想をほんの少しだけ見かけたくらいで、未來さん演じるカイラートの登場は中盤、程度の前情報で臨みました。

 ネタバレなしでの感想は、とても骨太な印象の作品だった! すごく素朴というか、盛り上げる演出!!とか感動的な音楽~とかはほぼ皆無なんだけど、カザフスタンの風景がただただ雄大で、抒情性に満ちていて、そこに暮らす人々、そこを駆ける馬、羊、子猫、生命が在るだけで鮮烈で、充分でした。風景の説得力が強靭過ぎて余計なものは何もいらないんだな…。

 ストーリー的には入り組んだものもなく、こちらもストレートで朴訥なのだけど、多くを語らないセリフや説明の少なさを、やっぱりそこにある風景や自然が補って余りある感じ。もの云わぬ人や空や木や畑の饒舌さを感じるような。そんな中に未來さんがまた、異質なんだけど溶け込むように現れて、すごく…不思議だった…カザフの大自然の中、そこにいるのが不思議なような当然のような、不思議な感覚でした。知ってる顔だけど知らない人、みたいな。

 カイラートさんはもっと、謎の男の「謎」部分を引っ張るのかなーと勝手に想像していたのですが、わりと出て来てすぐにどういう人物なのかはわかりました。そうかそういうポジションなのか…!! ちょっと感慨深くもなってしまった!! もうすっかりそっち側なんだねぇ…(?)。彼のカザフ語がカザフ語話者にどんな感じに聞こえるのかは気になりました。わかんない身で観ると全然…おおー喋ってる!!って思うんだけどね、どう聞こえてるんだろうか。そこでも来訪者的な、外部からやってきた者感が醸し出されているのだろうか。その辺のニュアンスがわからないのがちょっと悔しいというかもどかしいです。それにしても、何も語らないアップがとても多くを語るのだなぁ。表情だったり、目だったり、視線だったり、ちょっとした動きだったり、がものすごくいろんな感情や想いを含んでいて、美しかったです。馬すごかった、きっとあそこがスタントだろうなって思ったところもあったけど、大体乗ってましたね? すごいね??

 オルジャスとカイラート、どっちも不器用なふたりが、言葉もあまり交わさずに、それでも心を通わせていっているのがありありと伝わってきて、じんわりと温かい気持ちになるのだけど、それが長く続かないのはもうわかっているので……ねぇ。そうか……。

 ラストの解釈は観る側に委ねられている感じなので、どっちにしようかわたしはまだ保留中です。いやぁでも…いやいやでも…どうなんだろうね?? どっちがいいかなぁ。カザフスタンイスラム教徒が多いんですね。あんまり知らなかった。下の娘ちゃんのお名前がアイシャだったのでそうかな?と思ってたら挨拶がそうだった。

 そういえばカイラートの過去って何なんだろう。教えてくれなかったよね…何で、何をして……にいたんだろう。その辺は謎多きです。

 上映後には竹葉リサ・エルラン・ヌルムハンベトフ両監督のティーチインがありまして、質疑形式で裏話がいろいろ聞けました。ちょこっとメモったものだけ。

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「オイディプス」@シアターコクーン(10/25夜、10/26昼夜、10/27昼)

 嵐と共に…って印象のオイディプス千穐楽を迎えましたね。お疲れ様でした…何だか不思議な印象の舞台だったなぁ。通えばわかってくるのかな、と思いながらぼちぼち通っていたけれど、数重ねてもあんまりわからなかったな……「わかる」って何なのか、何をもって「わかる」と感じるのか、「わかる」ことは良いことでわからないことは悪なのか、それは本当にわかっているのか、わかったような気になっているのとは違うのか、じゃあわかったような気にならないのは何なのか、とか、そんなことをぼんやり考えています。わかったような気にならない舞台、だったのは、あんまり思い入れを込められる対象が舞台の上に見つからなかったから、かなぁ。最終的にそれは姉妹に落ち着いたのですが。

 わかる/わからないの話でいったら、それこそコンテンポラリーとか抽象表現の方がよっぽど「わからない」んだけど、明確なストーリーがあってキャラクターがいて言葉でセリフを語っているのに「わからない…」って感じるのも面白いな、と。抽象表現はそもそも明確なものがあんまりないからこそ、受け取る側の自由度が高いから、好き勝手に「わたしはこう思った!」「わたしにはこう見えました!」でいい、からかな…。ストーリーもキャラクターもセリフもあるのに共感する相手が見当たらないのは、なるほどわからん。となるのだな、というのも新鮮な発見(?)でした。だって誰にも共感できないんだもの! やっぱり姉妹!!

 でも、共感する宛先が見つからないからといってつまらないわけではないのはちゃんと云っておきたいです。「わかる」かどうかと同じことだけど、共感できる・できないと良い悪いとか面白いつまらないとか、は、全然別ですよね。そこを混同して思い込まないようにしたい。オイディプス、共感できる人はいなかったけど面白かったよ。良い横顔とお声と姿は堪能できたし!! 低い声からオクターブ上がった瞬間の、会場全体の空気が!?って変わるのが毎回、凄く気持ちよかったです。

 各回ちょこっとメモだけ。

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大河ドラマ「いだてん」第40話

 オイディプス千秋楽お疲れ様でした、からのいだてん! 先週はお休みでしたが、今回から新章スタートです。

 五りんくんの高座からスタート、ってあら前座に降格しちゃったの。師匠ご退院おめでとうございます! 良かったねぇ。孝蔵さんはもう出てこないかな。そうそう、五りんくんの素性もわかったね。あらーーハリマヤさん! おじいちゃんになったけどお元気そうで何よりだ。

 おっ語りが未來さんに戻った! 東さんに平沢さん…へーぇ。知らない。まーちゃん白髪になりましたね。あっ岩井さん再登場、なるほどーーつながったのか。治五郎マジック……すごいプレッシャーだな。

 15分解説、すごいわかりやすそう。ちゃんと聞きたい。岩井さんの脚が可哀想。土下座……と思ったら落語だったよまーちゃん! えっ何だこの演出。すげぇな。何かよくわからないけどすごいことはわかる。

 ここでオープニング。おっクレジット、まだ孝蔵さんのお名前が出てるぞ。お顔も映るのかしら。オープニング映像いろいろ新しくなってますね。

 終戦直後の代々木競技場に忍び込むまーちゃん、見る影もないスタジアム。でも治五郎先生の時計は止まらない。あっここで前回のりんちゃんとのシーンに繋がるんですね。死んでないから!!! 辛気臭いとか云うな!!

 東さんが体協会長なんですね。そうだったのか…まーちゃんがんばってたんだね。古橋選手…ってこの人北島選手だな? 神宮がそんなことになっていたのか知らなかった。えっ神宮プールで裏オリンピック? そんなことしてたの? いつの間に?? ほんとにこんなことやってたんですか…すげぇな。マジかよってことが本当だからないだてんは。北島…じゃないや古橋選手さすがですね。ロンドンに勝ってるし!!「きもちいじゃんね〜」じゃないよ!!(笑)

 平沢さんなかなか頑なですが、おかげさまでここまでの歩みがよくわかりますね。ダイジェストですね。へーーマッカーサーに直談判。ちょっといい人じゃないかマッカーサー。どういうアレなのか知らんけど。へー強いじゃないか日本。

 ヘルシンキは大変だったんだね…4年経っちゃうと選手のピークは過ぎちゃうよね。…おお、オリンピックは儲かる。マジかよ。まぁそういう時代もあっただろう。ここ最近はそうじゃないですけどね、終わった後のヒドい状況がもうごまかせないもんね。

 まーちゃん政治家に転身の巻。朝日新聞社辞めちゃったんですか。そうそうまーちゃんちはお金持ち……だったのに、そうか。切り売りしてたのか。そうか。自腹いっぱい切ってたんだね…よく許してくれたね…。浜松から出るのに東京オリンピックの話ししてたらそりゃ怒られるよね。あらー落選。まぁそうだな。アレがナニしちゃうもんね、

 いわちん可愛いな。とうりくんかっこいいな。キング……と思ってしまうのだけど。おお…建て替えるんですか競技場。あの思い出深い競技場を。懐かしくても古いもんは古い…うっ胸に刺さるな…断捨離できない人間にはな。あっそうか国立競技場か。そうかそうか。それももうないんだけどね。

 IOC委員で体協会長が都知事になる。すごいな。ひとりでオリンピックできちゃう(笑)。大変だ…東家家訓、政治には立ち入るな。わーんでも東さん御本人がそう思うのならやろう! 可愛いなぁ東さん…治五郎先生のあとを継ぐキュート枠誕生だ。じゅすいぶれもんでぞれ、な北原さんも可愛い。ひさびさのぺだ!! 久しぶりだよぺ!! la paix.

 ああっフィリピン…戦争の傷は深い。そっか、泳ぐんだ。いろんなことがあったんだねここまでに…。アジア各地でひどいことしてきた俺達は面白いことやらなきゃならない。良いこと云うな…その気持ちでやるならやるべきだ。うっ治五郎先生…時計は止まってないよ。平沢くんも動かされる。ああ今週も泣かされた。

 ミュンヘンでのIOC委員会。ああ、ここでこのシーンになるのね…何か答え合わせみたいだ。小学校の教科書の話は娘さんからの着想だったのか…ホント答え合わせ回。あああ走馬灯。そして源ちゃんカッコイイ。

 おー決まった。これはやるべきだしやってよかったと思う東京オリンピックだよ……これはね。この時のは、ね!

「暴力の歴史」@東京芸術劇場プレイハウス(10/24夜)

 先日のラファエル・ボワテルに続いて、何か気になるから無理やりねじ込んだシリーズ。「何か気になる」程度のアレで行くもんじゃなかったけど、何か気になって行って良かった…。フランスの若手作家エドゥアール・ルイの私小説をドイツの演出家と劇場が舞台化したものの日本公演です。字幕で観る演劇ってあんまり経験ないので(バレエとかは観たけど)どんな感じかなー字幕ばっかり追ってしまわないかなーとちょっと心配だったけど、全然問題なかったです。ぎっちぎちに集中してしまった。

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 とにかく、すごいものを目撃してしまった、という衝撃が物凄くて、ちょっと…塞いでしまう。話には聞いていたし、警告的なものも目にしていたので、心構えは充分できていたし、大丈夫だろうと思っていたんだけど、思ってた以上に衝撃が大きくて、メンタルサンドバッグにされてしまった……つらい。けど後悔は一切ない。心の底から、観て良かったです。終演後の物販で、読めもしないのにドイツ語のパンフ買ってしまうくらい良かったです。パンフ、小さくて500円で赤くて可愛い。読みたいなぁ何が書いてあるのか気になる。

 あらすじはリンク先とかに。ちょっと書き起こす気力がないので。あらゆる種類の暴力と差別が多重構造に透けて見えて、とても胸が苦しくなるミルフィーユだった。合間に挟み込まれるユーモアにも笑う気が起きないくらい打ちのめされる。えっよくここで笑うな?!って思ってしまうくらいしんどかったです。「私」であるエドゥアールがキュートで、それがまた苦しいんだ…。レダもちょっと目を奪われる魅力で、だからああなるまではすごくチャームに溢れたシーンだったから、よけいに…どうしてああなってしまったんだ…。またそこを全くオブラートに包むようなことなく、そのままがっつり見せてくれるから、これは確かに…警告必要…当事者じゃなくても相当しんどいです。息ができなくなるね。

 時系列が軽くシャッフルされている構成で、「私」である主人公始め登場人物が、スタンドマイクだったりハンドマイクだったりで語りながら進んでいくのが、ちょっとライブっぽさもあって面白かった。あとスマホのカメラを使ったライブ映像が後ろの白い壁に映し出されるんだけど、すごく上手い使い方でカッコ良かった。壁から盗み見ている人のアップとか、ベッドに転がったふたりの幸せそうなアップとか、そういうのが背景的にリアルタイムで映し出されて、オープンなセットですごく効果的でした。巧いな~!! あと音楽も、舞台上にドラムセットを中心にミュージシャンのブースがあって、そこでひとりで生音を出していたのもライブ感あって良かったです。照明も綺麗だったな、四角く光る蛍光灯がひんやりしていて。途中に挟まる謎のダンス?がほんとに謎で、そこはちょっと良くわからなかったんだけど(笑)、何だったんだろう。特にかっこいいとかそういう感じでもなく…いやいいんだけど。不思議な時間が流れていた…。

 直接的な暴力はもちろんだけど、そこから連鎖的に起きていくセカンドレイプ的なものたちに、暗澹たる気持ちになるばかりで。冒頭に「私」の語りで描かれる、事件後の部屋での彼の行動がもう、その時点で本当に痛ましくてしんどいんだけど、後半に再現される暴行シーンを目にして改めてそれを思い出すと本当に…胸がつぶれる思いがする…。ラスト近くに「私」が語った、電車の中で濃い色の瞳が自分を見ているのに気づく恐怖、がやたら刺さって、怖くて悲しくて悔しくて泣けてしまった。何だろう、とても悔しい。

 どうでもいいんだけど、北フランスの田舎出身の主人公がパリで暮らしている、という設定をドイツ語で演じられてそれを日本語字幕で観る、という状況にちょっと混乱して、主人公はドイツ人でパリの大学に通ってるのかな??とか最初思ってしまったけどそうじゃありませんでした。ちょっといろいろこんがらがった(笑)。

 カテコで全員笑顔になるのにめちゃくちゃ救われた。どうか、この先のエドゥアールの人生が良きものに満ちていますように、と祈りながら拍手したよ……。

 

tokyo-festival.jp

natalie.mu

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www.ssense.com

「VERTIGO/めまい」関連

 夏の終わりに入れてもらえなかったVACANTでの「VERTIGO/めまい」のレポとインタビューがウェブに掲載されています。ほーーんいいなーーー。観られなかったのがめちゃくちゃ哀しいのでわたしの中ではなかったものになっているんだけど、ほーーーん。

www.houyhnhnm.jp

 いつかまた何かの形で見せてもらえたらいいけどまぁないでしょうね。ちぇっ!

2019年10月21日:がんばった日本

 いだてんはお休みだったけど、ラグビーワールドカップ、凄かったですねぇ。後半始まってからしか観られなかったけど、素晴らしい健闘でした。みんなかっこよかった!

 ラグビーはJスポのハカばっか見てたただのニワカですが、テレビ観戦毎回楽しかったし面白かったなぁ。サッカーや野球やバレーボールみたいに定着して盛り上がるようになるといいなーと思います。自転車も盛り上がろう……。今回ベスト8なので、4年後のフランス大会は出場確定らしいので、4年後まで熱が続けばいいな。トップリーグ応援してます。

 本日のエントリーはこちら。

 

futurist.hatenadiary.com

 

 

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「オイディプス」@シアターコクーン(10/19夜、10/20昼夜)

 そういえば今回初めてマチソワしたぞ。ソワレだけパターンが多めでしたね何となく。朝ゆっくりしたい欲が出てしまった。

 日曜日は渋谷の街で何やらイベントがあったようで人ごみがすごかったそうです。駅前を避けて来てしまうのでわたしは巻き込まれずに済んだ…そういえばラグビーワールドカップの試合終了後も何かすごいことになってたみたいですね?? そんな日曜日はマチネ開演前にお手洗いを出たら大阪のN嬢がいて、……???!?ってまーーじまじと見てしまった(笑)。びっくりした!

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