ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

最果タヒ×森山未來「ことばおどる」

 放送をリアルタイムで観てから、録画を2回見直して、でも何度観ても50分が風のように過ぎ去ってしまうというか、「不思議な時間を過ごした」感しか残らないというか。不思議な番組でした…風が吹いて過ぎたら50分経っていた、みたいな。潮の香りと木々のざわめき、砂塵、そんなものたちが微かに、風の存在を知らせてくれるけど、そのものは見えないまま過ぎていった、ような…。あとほんのり口腔内に塩気を感じるのでした。バスソルトちょっと多めに入れたお風呂に入った時みたいな。経口でなく感じる塩の味。

 兵庫県の「五国」がそもそも、感覚としてあの辺だろう、という土地勘もなければ、地名…国名?から受ける土地のイメージもないので、そこはすみません。余所者には土地に対するイメージすらわかないものなんです…淡路が島なことと、播磨が工業地帯なことくらいしか思いつかなかったね…石川島播磨重工ありがとう。IHIステージアラウンドお世話になりました。でも出てきたのは新日鐵住金だったけど。

 でも、イメージを先に抱けなくても、観ればもうイメージの奔流みたいな映像と音だから、むしろイメージしかないというか。なので観ればわかる「兵庫五国」ガイドでもありました。ほんと、神戸しか行ったことないんだなー。あと、兵庫県内をそんな風に意識したこともなかった。きっと他県民はそうだよね? みんな埼玉県のことそんなに知らないし興味ないでしょ?(わたしもない)

 淡路は海(水)、摂津は風、播磨は鉄(火)、丹波は木、但馬は土。何となく陰陽五行とか4エレメントとかを想起してしまう、属性的な印象を受けるのでした。どっちにも微妙に合ってはいないんだけどね。わたしの知らないそういう何かにぴったり当てはまっていたりするのかなー、ちょっと呪術的というか、魔術的というか、ときめきます(笑)。

 再放送が14日19時からあるようなので、見逃した方、もう一度観たい方、是非。

www4.nhk.or.jp

 8Kの放送は3月31日17時から、放送時間を観るとBS1よりも10分長い60分のようです。わーん10分の差って大きくないですかー!! 何が増えるのーー!!

 あとは観ながらの走り書きみたいなメモを。印象とか雑感とかを。

 

 

  • 海をぐるぐるかき混ぜた、その滴りが島となったのなら、海水の滴りの結晶は即ち塩、だよね。
  • 島のように隆起し蠢く、塩を咲かせた背中。
  • 彼そのものが島であり、塩であり、海の滴りから生まれ出たもの。彼の背中が、背骨が、塩の大地。
  • 淡路。海。水?
  • 魚の目のアップなかなかすごいですね。8Kであれ見るとどうなるんだろう。
  • わたしはBSで充分だな……。
  • 音楽面白くて基本的に好きなんだけど、環境音と混ざるというか、環境音にかぶるところが気になる…市場とか塩作りとか、その場、その作業の音だけでもいいのになー。そういう音もしてるのかと一瞬思ってしまうよ。
  • 雪のような白い塩、青い空、青い海。両膝を突き踵を上げた座り姿の、足首の下にできるふたつのアーチが美しい。あと、右利きなんだなぁと思う。肩の厚さで。
  • 儀式めいた、作法のようなストイックな振付が神聖な雰囲気。微細な手指の動き、塩の一粒のきらめき。雄々しいけれど柔らかくなめらか。海。
  • 摂津。風。
  • うーんと六甲とかの方? 神戸も? 違う?
  • 何故句点なのだろうって思ってしまって気になってしまう。ので未來さんの声を聞く。
  • 風。風そのもの、風を生み出すその最初、舞い上がる砂と塩。吹き抜ける風、眼下に見下ろす海と都会、人々の営み、そこへ吹き下ろす風…六甲おろし…いやそれは違う…。
  • 人々の営み、そこにある鎮魂。かつてそこにあった悲劇、それを知らず生まれ、育つ命。新しい命。山と海と風。
  • 播磨。鉄。火?
  • 夜の工業地帯は良いものですね。
  • そして製鉄所…最高…ずっと見ていたいこれ。
  • 重い鉄の扉の向こうから、白く熱されて光る鉄がそっと運び出されて流れていく美しさといったら。あああの奥で成形されるんだろうかプレスされてるんだろうか何になるんだろうかときめく…!
  • 廃線に続くその向こう、廃墟の工場でインダストリアルな音を纏って踊る。漏れる呼吸もスチームのよう。機械的、制御、それでもそれを作り出すのは人の手。鼓動。
  • 火箸、人の手で作られる鉄。その音色の、何と澄み切っていることか。
  • 丹波。…といえば黒豆…。木。
  • 100歳のおばあちゃん、森の中で鳥の声に囲まれながら音楽を紡ぐ人。
  • 木。樹。森。
  • 木々に抱かれ、塩に満たされた胎内で生まれる。生まれようと這い出る。生まれる。
  • 絵、素敵だなぁ。この景色を愛していることが伝わってくる。もっとちゃんと見せてほしい。
  • 但馬。たじまって読めないレベルですすいません…。
  • 土。
  • 地中のような。時折隙間から、日の光が細く射す。地中、地下。土の中。そこで豊かに育まれていく悠久の時。
  • 海から生まれた塩が、海へ還る。
  • ここ但馬だけ、塩を纏わずに踊る。けれどその額には白い丸が。どういうことだろう。
  • 海へ溶ける? 戻る?
  • そしてまた、かき混ぜる海の雫が、櫂の先から滴り落ちる。終わりは始まり。
  • この終わり方最高ですね…悠久の輪廻感…そのサイクルから外れたらきっと、長くはもたないんだろうな…。このラスト見るともう一回最初から観たくなってしまう…。

 本当に、身軽に、ヒトとヒトでないモノのあわいをうつろうように越えていく。此岸と彼岸の境をひらりふわりと遊ぶように行き来する。あんなに人間くさいヒトなのに、指先の微動で、呼吸ひとつで、目瞼をおろすそれだけで、一瞬で神性を纏ってみせる。森山未來とはそんな人です。

 …なんて、そんなことを思わせてもらえる番組に感謝します。素晴らしかったですありがとうございます…大事に何度も見返す…。