ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

「SAKANAQUARIUM2017 10th ANNIVERSARY Arena Session 6.1ch Sound Around」ツアーブックレット

 こういう、ファングッズ的なものって、そのバンドなりアーティストなりのファンじゃない人間が、バンドなりアーティストなりご本人以外を目当てに買うのってどうなのかなーって、何となく躊躇していたのですが、ふと自分の好きなバンドやミュージシャンに置き換えてみたら、お目当てがバンドやミュージシャンそのものじゃなくて対談相手とかインタビューが掲載されているとか、ミュージシャン以外のどなたかでも、ついでに興味持ってもらえたら嬉しいぞ?とか、ファン以外の人からどんな風に見えるのかちょっと聞いてみたいよ?とか、思ったので、品薄とかじゃなくてちゃんとファンの手に行き渡っていて、正規のルートからの購入だったら、問題ないんじゃないかな…どうかな…いいよね…?と、はい。ぽちっとしてみましたよ。サラウンド製本というのも見てみたかったし(笑)。

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 まだ買えるようです。よかった。

 未來さんのインタビューは3ページ、だけどテキスト量的にはけっこうしっかり黄泉応えあるボリュームです。内容もすごく良かった、面白かった! 取っ掛かりはアンリアレイジ・モンテZのプロモーション映像*1から始まって、未來さんのサカナクション歴とか、アンリアレイジのクリエーションについてとか。そうか会ってないのか。コンテンポラリーダンスとの出会いとか、ジャンルレスに活動する現在に至るまでとかは良く聞く感じのだけど、コンテンポラリーダンスという抽象的で観客に受け取り方を委ねる部分が多い表現を演じる側としての責任の話とか、つねに「身体表現のなかに流れているコンテキスト」を言語化するようにしている、なんて話はなかなか、他のインタビューでも聞いたことがない部分で。あーなるほど確かに、なんてうんうんしてしまう。身体表現だけ、じゃない、ことばが流れているよね。そのことば、も抽象的だったりもするのだけど、でも一度は構築されて、それが崩された後の抽象化って感じの…きっと上手く組み立てれば元の姿が浮かび上がってくるんじゃないかって思える抽象、なことば、というイメージ…そういう話じゃないのか…。でもそれも、何が浮かび上がって見えるのかは多分受け手次第だろうし、そこも込みでやっぱり抽象なんだな。当たり外れじゃなくてね。そういうのが好きです(笑)。

 「ポップ」についての言説もとても興味深い。そうかーマイノリティの為に生まれたものを大衆向けに「整理」されたものがポップ。すごく収まり良く納得してしまった(笑)。なるほどですねぇだ。整理の仕方を間違えると安っぽいポップになってしまうけど、サカナクションは間違えないポップ、マイナーから王道へ突き上がっていこうとする力があると。インタビュアーの方も云ってるけど、未來さんもマイナーとメジャーのバランスが絶妙というか、ポップなところもちゃんと歩けるマイナー寄り、みたいな感じですよね最近特に(笑)。

 テクノロジーとアートの関係性なんてお話も、アンリアレイジ・モンテZからオルタまで、間に理論物理学者のロジャー・ペンローズ*2や池上高志教授などを挟みつつ、最後はアインシュタイン相対性理論で〆るのが流石。でも芸術ってそういうものだよね、一瞬を永遠させるものであり、永遠を一瞬に閉じ込めるものであり。永遠にしてる一瞬、たくさんもらってるしね。インタビュー、枠外にちゃんと注釈も付いていて、とても内容が濃いです。

 他にも、名和晃平さんのインタビューもすごく面白い*3し、山口一郎さんとさかなクンさんの対談なんかめちゃくちゃ面白くて、何がすごいってさかなクンさんの特徴的な話し言葉が完璧にテキスト化されてるのがすごい。すギョい。サカナクションなだけ(?)あって、相当釣りがお好きなんですね…さかなクンさんとずっと釣りの話してるの面白かった…あと水族館ライブはとても素敵そうです。お魚びっくりしないかな…。

 基本、雑誌とか本とか買ったものは全部目を通すので、もちろん今回も全頁読みましたよ。サカナクション公式サイトからメンバーへ向けて募ったQ&Aも面白かった、どこのバンドのひともステージから落ちるんですね…とか、バッハとRadioheadとか、えっ「アルケミスト」!?とか、やっぱり釣り関係多いなぁとかソロ+メンバー2人ずつのユニット×2の3組でツアー回りたいとか、ほんとあの、メンバーの方もぼんやり…としか存じ上げなくて申し訳ないんだけど、でも面白く読めてしまう。メンバーそれぞれに同じキーワードについて語ってもらう形式の記事も、同じキーワードについて続けて読むと、本質的に同じで流石バンド!ってなったり、それぞれ全然違ってて面白かったり。あ、気になっていた「サラウンド製本」は開けてみるとなるほどー!という造りで、元に戻すのが若干…こうだったかな?となるけど、全開にした時に見える風景の圧巻さがすごいです。あとやっぱりライブで6.1チャンネルサラウンドってすごそうだ…絶対すごい…ライブ映像などをちょこっと観てみたりしたのだけど、ライブとクラブが混ざったような、演奏もバンドとDJを一緒にやるような、音的にもバンドサウンドとクラブミュージックやテクノが混在しているような、ほんと…混在なのね。気持ちいいだろうなぁライブ(笑)。

 ソノシートが付属しているのですが、それを聴く手段がないのがとてももったいない。残念。というわけで、ツアーブックレット、というよりはもうこれは書籍でいいんじゃないかな、という大ボリュームのとても素敵なものでした。未來さんが最初に出会ったサカナクションはこちらの動画だそうです。


サカナクション / ネイティブダンサー

*1:音楽が山口一郎さん

*2:NHKEテレの超常現象を最新科学で解明しよう的な特集で観たの覚えてるぞ

*3:し何だか未來さんと近い話をされている