ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」SPECIAL SHOW@シアターオーブ(10/14昼)

 えっJCMのヘドウィグが観られるの!? 日本で!?!? それは観たい!!と、わりと軽い気持ちでチケットを取って、当日もわりとフラットなテンションで、わーコスプレさんがいるー流石ヘドウィグだな!なんて思いながらロビーを通って席に着いたのに、始まってみたらまぁ酷い有様(わたしが)で、丸3日経ってもずるっずるに引きずっているという…なんだこれ。わかっていたような気もするけどそんなにか。5年経ってるし、少なくとも完全燃焼はしたので悔いはないし、何と云ってもJCMだし、中村中さんだし、何もかも違うしこっちが本家だし、ヘドウィグという作品に対して揺さぶられることはあれど、地獄の釜の蓋が開くようなことにはならないはず、と、思っていた、のですが。

 …音楽の力ってすごいね…最初のギターの1音でぐわああってなって、そこからは曲のたびにうわああああってなるしかなかった…お芝居というか語りのパートは楽しく、面白く、笑ったりぎゅっとなったり、でもたまにあっ……ってなるセリフもあったりしたけど、総じてちゃんとお芝居を楽しめたのだけどね、曲になるといきなりね。全然ダメだった、傷癒えてるどころの騒ぎじゃなかった。薄皮1枚の下は乾いてさえいなかったよ…ぐじゅぐじゅのままだった…(笑)。アレンジも声も違うのに、ふわああってなって涙はどばどば出るしJCMの歌に重なってあの声が蘇りまくるし、でも違うことに対してショックを受けるとか、そういうのでは全くなくて、なんだかよくわからないけど平静ではいられない、という状態でした。JCMは本当に、むかーしスクリーンで観たヘドウィグそのまんまって感じで、可愛らしくてキュートでチャーミングでキラキラしてて哀しくて、歌えばサントラCDと同じ声!!ってなるし、まさか生で耳目にすることができる日が来るとは思っていなかったので、今はなきシネマライズで初めてヘドウィグの映画を見たわたしに、「あのね、15年後に本物のこの人を生で観るんだよ」って教えてあげたい(笑)。あの声を、あの存在を、生で味わえる僥倖と感動をめいっぱい感じつつ、でも同時に、わたしが恋したひとは違うひとだ、っていうのも改めて思い知ってしまって、何とも…こころちぢにみだれる時間でしたよ…(笑)。

 っていう個人的感情はいったん切り離しておかないと感想も何もなくなってしまうので置いといて、今回。スペシャルショーと銘打ってあるからには普通の形式ではないのだろうな、と思ってはいましたが、そうなるか、と。別に、特に大きく端折られたわけではないのだけど、ダイジェストっぽさを感じる駆け足演出ではあったなぁ。ダイジェストではないんだけど…簡略版みたいな。簡略化もそんなにされてはいない…と思うんだけど。要素的には。歌パートと芝居・語りパートを完全に、JCMと中さんに振り分けて、中さんがとても…八面六臂の大活躍でした。イツァークなんだけど、同時にヘドウィグの語りパートも担って、つまりトミーもやって、ママもルーサーももう全部。今回の演出が良かったかどうかはともかくとして、中さんは本当にかっこよくて素敵でした。わたしにとって中さんは「マーキュリー・ファー」のローラだったんだけど、また全然違う魅力的ないろんな面を見せてもらえた感じです。すごかったなぁ。JCMはね、もうね、そこにいることが奇跡みたいなね。可愛くて綺麗で気品があってでもエロくてパワフルで哀しくて可哀想で、でも君臨してた。歌が終わると舞台奥の素敵な椅子に座ってるんだけど、玉座に見えるね。優雅。あと思ったより小柄なんだね。でもシュガーダディで客席降りて、客席の手すりに乗っかってお客さんの上で腰振ったりしてそういうのは流石ヘドウィグなんだな!! そういう時はわーすげー!!ってほんと楽しく観てたしいっぱい笑ったのに、曲に戻るとうわああああってなるのほんと……しんどかった(笑)。「Lift Up Your Hands」って云われて挙げた手がぶるぶるしてね…涙拭うの忙しくてあんまりちゃんと挙げられなかったな…*1。演出面では、うーんあのバルーンの大きいお人形は…何の為だろう。いなくても良かったような気がする。初日にずいぶんずれていたらしい字幕は、わたしが観た回ではだーいたーい合ってました。そんなに大幅にずれることはなかったと思う。若干遅れてるよ?ってところはあったけど。2階席だったのでライティングが綺麗に見えました。プロジェクションマッピング?でお部屋がトレーラーハウスになったりするのはわかった…。Origin of LoveのCGがなぜ3Dなのかは謎だわ…あれこそ映画のまんまのアニメーションで良かったと思う…サロンパスの人かなって思ったよ…。

 中さんがヘドウィグもやりながらのイツァークで、途中の衣装もヘドウィグとお揃いな感じになって、何かニコイチ感というか片割れ感がすごい強くて、それって主題的にいいのかな…?と思いつつ二人の並びがとても可愛かったので好き…ってなってしまった(笑)。あんな相似のふたりじゃないはずなんだけど!! でも可愛かった!! カテコ時にジョンに何か話しかけられて、中さんがあんまりよくわからなかったみたいで、「あたしとジョンは音楽で語り合ってるから」みたいなことを云ってて可愛かった。

 で、個人的な感情および感傷部分での感想は、…うん、無理。こんなにも蘇るものなのかってびっくりするくらいずっと、あの夏のヘドがいちいち全部フラッシュバックして、無理だった。フラッシュバックで改めて失恋したようなもんだ…しんどい…。もう一度会いたいとか、会えないのが悲しいとか、ではなくて、どちらかというともう充分だから触りたくないところなんだな。もう一度会いたいわけでもないんだな*2。できればもう…いい。もう充分。あの夏からをもう一度、まったく同じようにトレースしてやり直せるのならそれが一番だけど、それは不可能だから、だったらもう触れずにずっと奥深くに沈めておきたい。今回、大丈夫かな?ってちょっとつついてみたら思いのほか全然大丈夫じゃなかった(笑)ことが判明したので、より一層、うん。そっとしておこう…ってなりました…。この傷はずっと血を流しながら奥深くに残しておいてそれでいいんです。そういう恋だったんです。ああ、大好きだよ姐様。

 未來ヘドウィグといえば、ラストの解釈をヘドウィグ終わってずいぶん経ってからああそうだったのか…って思ったことを何かすごいタイムラグで以前に書いたことがあったのでもう一回貼っておきます。談ス初演の時のエントリーだけど(笑)、最後の方にそういえばってなってるところね。

 

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*1:後に予定があってあんまり顔面ぐちゃぐちゃにするわけにもいかなかったんだ

*2:会いたくなくはないんだけど!!