ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

アピチャッポン・ウィーラセタクン「フィーバー・ルーム」@東京芸術劇場プレイハウス(6/30昼)

 こちらは2017年に横浜で上演されて、これもまた日々界隈がざわついているのを面白そうだな~って思っていたけど行けなくて、池袋で再演されるとのことでやったぁ!とチケットを取りました。いやー行けて良かった…とても面白い体験ができました。これ瀬戸芸で観るタイプの作品ですね…?

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 アピチャッポン・ウィーラセタクンは映画監督や映像作家として活躍されているそうで(存じ上げなくて申し訳ない…)、でも「フィーバー・ルーム」は映画というカテゴリーで上演…上映されるわけでもなさそうで、映画…ではない…のかな? んだよな?? じゃあ何なんだろうね??くらいのぼんやりとした認識で向かいました。会場は芸劇のプレイハウスだったんだけど全席自由の整理番号制で、プレイハウスで自由席って一体…??と思っていましたが、これは入ったらわかった。わたしの知っているプレイハウスじゃなかった。むしろシアターイーストとかウエストな感じ…だったけど、でもあれをやるにはプレイハウスが必要なのもわかる…機構的にもサイズ的にも……。たぶんステージ側に雛壇組んで客席を作ってたんだと思う、普段は入れないところを通るのがかなりわくわくしました。が入る時は真っ暗過ぎてあんまりよくわからなかった…帰りにあれっこれ袖じゃない!?ってなって、ステアラの前方退出みたいな感じだったよ。

 また再演されることを祈りつつネタバレしませんが、映画…なのかな、と思いつつでも映画ならわざわざ芸劇でやらないよな…と内心首を傾げていたら、あれっ!?ってなって、うわぁ…!!ってなって、すげぇことになりました。ものすごい体験をした。これは、演劇ではない、けど、映画…の枠には収まってはいなくて、拡張型劇場映画…? 体験型映像作品?? とにかくわたしの印象は「瀬戸芸でやろう」でした(笑)。めちゃくちゃ楽しんだ!! 瞳孔かっ開いた!! 感覚としては、地中美術館ジェームズ・タレル作品のふわぁーー!!って感じの楽しさ…伝われ……。

 ストーリーがあるのかないのか、わたしはあんまりそこを感じ取ることができなくて、ただぼんやりと、夢なのかな…くらいだったんだけど、発される言葉は話者を変えて繰り返されるし、映像もタイの日常風景を切り取ったような点描が繰り返されるので、ああ、演出された作品なんだな、と。当日パンフを退出時に頂いて、その中にけっこう詳細な解説やインタビューが掲載されていたので、それを読んでなるほど、と思ったけど、あんまりはっきりとは読み取れなかったし、アピチャッポンさんもストーリー性はほぼない、くらいのことを云ってらしたので、いいんですね。ただもう、体験としてものすごかった。悠久の時を越えたしワームホールを通過したし成層圏突破したし宇宙の始まりから終わりまでとか雲の生まれる瞬間とか台風の真ん中とか何かいろいろ見えた…そしてすぐに消えた…。プレイハウスって奥行き何光年あるんですかね?? 天井高何千メートルあるんですかね???

 タイの政治的な背景とか、メッセージ性とかを全然読み取れなかったわたしが残念だったけど、とにかく体験としてとても鮮烈でした。またやるなら行きたいしまたやってほしい…。

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