ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

「ベルギー奇想の系譜」@Bunkamuraザ・ミュージアム

 ボスからマグリットヤン・ファーブルまで、と銘打たれた展覧会、鳥髑髏終わったら行こうと思っていたものをよっこらせと観に行ってきました。シアターコクーンでは百鬼オペラ「羅生門」が絶賛公演中でした…こっちはまた今度ね(笑)。

www.bunkamura.co.jp

 ボス! ボス!!ってボス推しっぽいのに実はボスの作品はない、というのはあらかじめ耳に入っていて、でもヤン・ファーブル見たいしポール・デルヴォーもあるし、マグリットもあるからまぁいいや。ボス工房、とかボスの流れをくむ、とかボス派、とかそういう感じでした。そうだよねボス来たらもっと大事(?)になるよね…。個人的にはファーブルの変態さが改めて実感できてとても満足でした。デルヴォーは学者さんがいない作品だったけど、あの彩度低くて冷たくて硬質で無機質な空気感はやっぱり大好きです。マグリットの「大家族」とか「前兆」とかメジャーどころもあってお得感(笑)。

 個人的に素敵だなぁと思ったのはロップスの「娼婦政治家」…はフェティッシュでかっこよかったぞ絵の意図とは別で。ポストカード欲しかったけどなくて残念でした。ロップスは小品も数点展示されていたけど、いちいちひとつずつに鉛筆の走り書きでどういう状況なのかとか説明文が書き込まれていたのも面白かったです。せっかくだから訳も添えてくれればいいのに。あとその走り書き文字がとても綺麗だった(笑)。

 ボス派とか、いかにも奇想展!って感じの作品は、だいたい聖アントニウスの誘惑とか聖クリストフォロスとか題材が決まっていて、というのはその聖者を誘惑する怪物とか妖怪(?)とか化け物とかがその「奇想」部分を担っているから、なのだと思うのだけど、面白いんだけど…ふーん、ってなってしまった(笑)。複数の作品に繰り返し出てくるモチーフとか、ギザギザの歯がついた檻の乗っている船とか、面白いんだけどね…。ただ、興味深かったのは、ブリューゲル七つの大罪のシリーズはいかにもノリノリな筆致で描かれているのに、七つの徳目の方はいかにも説教くさいというか、あんまり面白みを感じないのが…人間、不徳の方が面白いよね、というのをとても感じてしまったのでした…。

 会期も終わりに近い週末だからなのか、けっこうな混雑で、意外というか…そんなにみんな好きなの?って思ってしまうというか(笑)。展示作品もエッチングとかグレイヴィングとかの小品が多くて精密に描き込まれているから、近くでじっくり見ないともったいなくて、相当な時間を待って見ることになってしまって、かなり疲弊してしまった。会場じたいもそれほど広くないし、入場制限とかかけないんですかね…そこまでじゃないってことなのかな…。

 あとは会場内がかなり温度設定低めなので、長くいると冷えてきます。ブランケットの貸出があるのは助かる。物販はクリアファイルとかマグネットとかポストカードとか、そこまでほしい!!ってものは特になかったなぁ。バベル展のエッグスタンドの方が欲しかった(行ってないけど)。浪費しないで助かったということで。

 まぁ何かおもしろかった。空いてたら良かったのになぁ! それにしてもBunkamura、上も下も化け物だらけな9月ね。