ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

映画「Vision」公開日決定!

 河瀨直美監督作品「Vision」の公開日が2018年6月8日(金)に決定したとのことで! 公式サイトもオープンしています。思ったより早いのね…きっとあっという間だよ…。

vision-movie.jp

 試写会とか舞台挨拶とか行きたいなぁって思うのだけど、EXILEファンの方とかきっと…いっぱいいらっしゃるんだろうな…取れなさそうだな…あっはい無理です…。っていうか6月8日って談ス大手町の最中じゃないか。

「プルートゥ」ロンドン公演関連

 公演2日目も無事終わったようで、公式のレポート記事(伊達なつめさんがツアー帯同されているそうで!)も上がってきて、SNSでも現地で観劇した方のの感想をちょこっと拾えたりして、ネット社会怖いことも起こりがちだけど便利なこともいろいろありますね。

www.astage-ent.com

enterstage.jp

www.thewonderfulworldofdance.com

www.theguardian.com

www.broadwayworld.com

www.whatsonstage.com


 イギリスの劇評はなかなか辛口なようで(笑)。観劇された方のツイートは満足度高そうだったけど! やはり「アトム」の浸透度とか漫画文化の根付き方とかが違うと、あの表現方法の受け止め方も変わってくるのかな。Dr.ルーズベルトのあのシーンで爆笑が起こるの、わかるけどイギリスっぽいなぁと思ってしまう。フォトコールの写真を見るに、字幕の出し方も凝っていて面白そうに見えたのだけど、やっぱりセリフを聞いて理解しながら演者を観るのと、字幕を読んで理解しながら演者を観るのとではいろいろ…違うよなぁ。未來さんのコメントにある「字幕とせりふの関係性」がどういうことなのかわからないけれど、ダイレクトというかリアルタイムというかそのまままるっと処理できる状態で観るのとはきっと、まだ要調整というか、詰められることがある感じ、なんだろうな…わからないけど。

 バービカンセンターの公式サイトに特設ページができています。動画もあったり、スクロールすると写真が切り替わる竜巻シーンとかかっこいい。

sites.barbican.org.uk

www.barbican.org.uk

 フォトコールの写真がたくさん、ライセンス販売されているのかな。面白い。

Pluto, Sidi Larbi Cherkaoui, Barbican - Images | Jane Hobson Photography

 

2018年2月7日:いよいよだ…!

 「プルートゥ」ロンドン公演、いよいよ明日開幕ですね。時差があるから公演自体はこちらの9日早朝開演…でいいのかな? そんな感じよね? 無事の成功をお祈りしております!

 本日のエントリーはこちら。

futurist.hatenadiary.com

 

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「なむはむだはむ」日本映画専門チャンネル放送

 先日放送された「なむはむだはむ」、無事我が家でも視聴できる環境を作れまして、楽しく懐かしく拝見しました。3月1日、平日マチネだったようですね、ちょうど行ってなかった日みたいでお得感(笑)。行ってた日なら行ってた日で嬉しいものなのでどっちでもいいんだけどね!

 ちょろっと観ながら感想でも。もう岩井さんの前説?から懐かしい~! 免震構造でセットが免震を高めてそうなのも懐かしい~!

 お話ワークショップスタートですね。オーソドックスなタイプ。客席から単語を集める岩井さん。毛玉始まり(笑)。何か、生で現場で観ているのとはまたちょっと違う緊張感を覚えてしまうのは何でだろう。毛玉が空にいって飛行機に乗って飛行機が海に落ちて鮫に食べられて死ななくて、いろんな魚と仲良くして歌を歌って祝福されて死ぬ岩井さん。床から未來さん登場、もう懐かしいばっかりだよ…。祝福されて死ななくて潜水艦が来て魚雷に打たれて死ぬ。「やっぱり…」っていうのがいいね(笑)。前野さん登場、やっぱり恋の話にしたがるんですね。魚雷を避けて乗ってまた空に飛んで消える? 毛玉と毛玉が暑い恋愛で燃えたとか持病とかつり上げられて食べられたとかバン!とか…死に続ける3人…笑う子供の声。懐かしい。

 岩井さん一人残って「ろうじんとハムスター」、かみつくハムスターな未來さんが可愛いです。あと「ハムうんめーー」は鉄板だわ。早々に右膝の辺りのジャージが破れている未來さん。

 「おじいさんがいない家族」が読み上げられる中、ゆっくり立ち上がり穴に消えていく前野さんと岩井さん、未來さんだけになった舞台上で微妙なおじいさんのような動きをする。正座っぽいけど左膝は着かない、みたいな(笑)。壁に駆け上りだるまさんが転んだみたいに後ろを振り返ってから滑り落ちてきて、立ち上がって「ガイコツ」スタート。

 身体の動きもすごいけど顔もすごいよ未來さん。するたスポンサー、懐かしい。するたスポンサーに恋をするガイコツバージョンあったよね…なんて思い出してしまうよ。最後に見た鳥の歌も懐かしいなぁ南国の風を感じるバージョンだわ。頭は八百屋に、で買い物かごをぶら下げるような格好になるのも見覚えがある。けど歌いながらギター弾くマエケンさんを邪魔するのは見覚えないぞ。そのままマエケンさんの襟首ひっ掴んで、マエケンさんの頭をリンゴにしてそれを心臓にするガイコツ未來さん(笑)。ポーキーが出てきたところで未來さん「ちょっと待って」って岩井さんを止めて、寝転がっているマエケンさんを待つ(笑)。やっぱりポーキーはマエケンさんなんですね! ちょうえつ100万年! そして曲がらないけど脱獄して、穴にはまったりしつつガイコツの激痛赤ちゃんの笑顔ではスロープを駆け上り滑り落ちてくるやつ。時計の針みたいな指が綺麗。骨カスになってしまうガイコツ、は岩井さんなのか、岩井さんを床に倒してその足下に立つ未來さん。からのおかえりの歌…おかえりの歌のハモリ綺麗なのも久しぶりだ…また会えたね…。そして最後のボーン!!に来るのはわかっていながらびっくりするのでした。

 で、イントロが聞こえてくる…あくろすざゆにばーす…「クローバーストーリー」だよー! 嬉しい! ノリノリベースの未來さんかっくいい! 1コーラス目は可愛く歌うけど2コーラス目からどんどんべろべろになるマエケンさん!! 未來さんの上のお団子がぽわぽわしてるのも懐かしいなぁ。これ聞くとしばらく鼻歌があやねとかりんのくろーばーすとーりーーー、になっちゃうんだよな。あやねええええ。で、最後の決めと同時にロープが落ちてくる。さっさと片づけて次に行く未來さんと岩井さん、みつば! よつば! バンド!ってなってるマエケンさん、からエレベーター始まった(笑)。したへまいりまーす、って変な声で云い始める未來さん。云いながら笑ったり声の調子を整えたりなかなか納得する声にならなかったり。むしろ上へ参っております、って云いながら岩井さんが穴へ沈んでいき、マエケンさんが「四階」って云うのに未來さん「好きだねぇ四階(笑)」って。「何売場ですか?」「く、クローバー売場…(笑)」「食材売場みたいなことですかね?」とか「ただの雑草でございます」とか「雑草売場でございます」とかもうおかしいし懐かしい。

 そしてロープのばしながら岩井さんが出てきて、雑草抜いても抜いても生えてくるとかこれがないと蚊が出るとか「蚊取り線香?」って未來さんが云うのに「先に云わないで」とか(笑)。からぐるぐるロープを巻きながら、今見えてるのはおじいちゃんくらい、とか、裸の森山さんそっくりな人がとか、過去の系譜を遡るロープ的な。

 巻き巻きされながらマエケンさんが「きこえてない」を読み上げ、すごいちっちゃいです今森山さん、とかロープ辿りながら云って消える岩井さん。あんまりわちゃわちゃなかったのは「きこえてない」があったからかなー。ここであかんて! あかんて岩井さん!って何か昼メロ展開みたいになるのが好きでした…(笑)。

 そのまま「きょうりゅうのえいがかん」、もうこれは至高で最高、なんだけどお口にロープあるのかな?って感じで…そういう日もあったね…。お口出てから本領発揮になるの、よっしゃ!ってなるよ…ゴジラは喜ばなかったから、のカッタが硬くて歯切れ良いのすごく懐かしい。破壊されたからのスキャットっぽいのも多めで嬉しい回だ。えびばでせい、から岩井さんカモン!の流れ最高です…たまらん。入れるスピードじゃ全然ない(笑)。入れるよー!って云ってるけど絶対無理だよ! 入れなかった…入ってほしかった…ってちょっとしょんぼり云うのと、そんな気なかったでしょ、って歌う岩井さん、そもそも混ぜてもらえてないよ!って歌うマエケンさん、最高です。そんななのに最後しっとり終わるのもずるい。無理矢理一回飛ぼうとするマエケンさん可愛い。

 ロープを頭から外してさらにたぐり出し、それを張り巡らす未來さん、「長い毛」を読み上げていく岩井さん、ギターをつま弾くマエケンさん。黄色い光の射し込む窓から外へ出て行くの懐かしいね…。

 続けて「長い毛2」、マエケンさんのギターがもの悲しい。冬の日本海の歌は岩井さんが歌う版です。徐々にロープの張力が増していって船みたいに見えてくるの、綺麗だったなぁ。穴から上へ1本延びるロープが揺れて、それを掴む手が覗く、静かで少し張りつめた空気を思い出す…。それにしてもテレビで見ると暗いんだねー生の時にはそんな風に感じなかったけど。真っ暗じゃないか。張り巡らされたロープに触れないようにうごめく未來さん、間をくぐり隙間を抜ける直線的な動きから、横に張ったロープに腕を絡め体重を預けていく。マエケンさんのギターと歌声がふわりと漂うように流れ始め、波間を揺蕩うようにロープの間に身を預ける未來さん…毛、なのかも知れないけどやっぱり形容としては美しい、しか出てこないのでなぁ。いらないよ、の前にばたりと床に落ちる。からの木と毛、で窓に岩井さんを迎えに行って連れ出して、わーんチークタイムだー!! 何でそうなるのか謎だけど大好きだよ木と毛! 俺も混ぜてって云うマエケンさんに「黙ってて!」「黙ってろ!」の厳しい応酬たまらない。でも「マジ黙ってろ」はなかったのね…。とつぜんぶつっと終わるのも好きです。

 そして「なむはむだはむ」スタート。うちきは性格なのか名前なのか問題とか、お母さんってニュアンスでものを云うとか、今日もだから日常的なものとか、106才なのは亀なんじゃない?とか。楽しい展開だぞ亀。でも未來さんが「カメなんちゃう?」って云った時にたぶんマエケンさんも岩井さんも瓶のほうを思い浮かべたと思いますそのイントネーションだと。新宿御苑の亀が増えすぎたとか、ふわふわしたことを云いながら未來さんは蠢き、マエケンさんはギターを緩やかに鳴らし、言葉は発されたまま宙に漂ってどこにも落ちていかない。この浮遊感、落ち着く先が定まっていないし定める気もないで紡がれていく言葉と音と動きが心地良くて、半分起きているときに見る夢みたいで好きだったなぁ。風に吹かれたみたいに散り散りになっていく音と言葉、暗転のラスト。

 はぁ懐かしかった楽しかったよみがえる! こう、一回を見てしまうと、あーアレも見たかったとかあのバージョンが良かったとかいろいろ思ってしまう(にじいろのうまのレッツダンスもっかい見たいよー!!とか)けど、今回収録されているものがどれか欠けて違うものが入っていたら欠けたものを「見たかった!」ってなるんだろうな…なのでこれで充分です! 満ち足りていますありがとうございます!!

伊藤郁女×森山未來新作KAAT公演!

 本日のKAAT2018年度ラインアップ発表会にて、未來さんが伊藤郁女さんと制作する新作が11月1日~4日に上演されるとの発表がありました。

www.kaat.jp

natalie.mu

 これってあれですよね? パリのジャポニスム2018で10月に公演する新作ですよね? 渡仏しなくても観られるってことですよね?? わーー嬉しい!! 良かった~横浜ならパリに比べてもずいぶん近いです(笑)。嬉しいなぁチケット取れると良いなぁ!

「髑髏城の七人 Season月(上弦)」@IHIステージアラウンド東京(2/4昼)

 そろそろラストスパートに入った月髑髏、上弦を観てきました。前回はクリスマスの頃に上下を観たので*1、1ヶ月以上ぶりのステアラだったよ。相変わらずの関東荒野だったよ。

 初日→クリスマス→2月頭、とだいたいひと月に1回くらいのペースで観ていますが、ひと月の間に様々なことが起こっているようで、毎回初見みたいな気分で拝見しております。今回は上弦のみだったけど、初日の印象とはだーーいぶ違うし、クリスマスの印象ともまた違って、長期公演の醍醐味よなーと思うのでした。通って観察日記(笑)つけるのとはまた違う新鮮さ! 成長具合が一目で感じられるのはあれですね、久しぶりに会う親戚の子供がおっきくなってる!!みたいな感覚ですね…密に観てると「さっきと違う!」は見つけられるけど緩やかな変化には気づきにくいもの…。

 そんな久しぶりの上弦(そういえばライビュも観ていないのでした)は、何というか、全体的に平均年齢が上がった感じ…が第一印象でした。まず福士捨之介の声が低く太くなってる!! 声変わりしてる!!(?)三浦蘭兵衛さんさらにオラオラしてらっしゃる!! そして早乙女天魔王さまはご成人なされた!!(??)天魔王さま、初日はとても奇矯なヘンテコキャラで面白かったんだけど、クリスマスにはだいぶ落ち着いてらして落ち着きの隙間から奇矯がちらちら覗く感じで、それが今回は享楽的な奇矯さは影を潜め、奇声もほぼ発することなく、雅で大人がベースの天魔王さまになっておられた。で、ここぞって時にかつての(?)面影がちらつく感じ…かっこよかったです。作り声と地声の使い分けもぞくっとした! でも爆薬鉄砲の類にはとりあえず物陰に隠れるとか、振り上げられる捨之介の手にびくっと頭を庇うとか、根底にあるチキンさはそのままで良かった…そことても愛しいので上弦天魔王さまは…。捨天一騎打ちというか六天斬りというかむしろ六天剥がしの果てに、小さく丸くなって頭抱えて泣き声で「きさまごときにこのおれが~!!」ってするの、ほんと…可哀想な駄々っ子でしかなくて…ちっちゃいなぁ…可哀想だなぁ…胸が痛くなる。尊大なのも偉そうなのも生駒ママに縋り付くのも全部演技なんだよなぁ、唯一地声で、素の声で天魔王が喋るのって、蘭丸に「いいことをおしえてやろう」って打ち明けるあの時だけじゃないかしら。あの時の声がこの人(天魔王)の本来の声なんだろうな、喋り方なんだろうな、と思いました。

 捨之介はまず登場時の第一声から、あれっ声が違う??ってなりました。腹から出てる系の太い声になっていて、どうしても線が細くて身体が薄い印象の福士くんを軽く裏切る声で、ちょっとびっくりした。いや、相変わらずスタイルは細くて長くてシュッとしてるんだけど、印象が男らしくなってた! あとクリスマスに観た時、飛び降りた天魔王の後を追いかねない勢いで駆け寄ろうとして霧丸に羽交い絞めで止められていて、うわぁ何それずるいうらやましい!!!(?)ってなったのですが*2、今回の捨之介は駆け寄りはしないもののその場で崩れ落ちて立てなくなっていて、霧丸に肩を支えられてやっと立ち上がるくらいのダメージを負っていて、やっぱりうらやまずるい……ってなりました。いいなぁ月の捨之介…鳥はいいんだよ鳥は、あの天魔絶対殺すテロリスト捨になら殺され甲斐もあるってもんだから…*3。その後の、完全に死んだ目をした捨之介の俺が囮になる発言から霧丸・太夫を経ての「そうか、そうだな!!」の、死んだ目のままの「みんなで生きて~」、あの闇と病みっぷりほんと最高でしたよ…全然生き延びる気なさそうだもの…前回そこはここまで目死んでなかったよね…?

 福士捨といえば初回も前回も、贋鉄斎の庵ではまだちょっと固いというか、特にアドリブコーナーって感じでもなかったのに、ねぇ。感慨深い。大変アドリブコーナーになってたよ!! 楽しそうだったよ!! けっこうめちゃくちゃやってたよ(笑)。しんぺー贋鉄斎と楽しそうにわちゃわちゃしていて、玄翁で乳首つつかれて「あん♡」って云ってた……どうした捨之介…もうわたしの知っていた頃の福士捨じゃないんだね…(笑)。捨之介が地図を渡してハケてから贋鉄斎が「ちょっと待てと云っておるのに、忙しない男だ」みたいなことをひとりごつのだけど、その後にひょこっと戻ってきちゃって贋鉄斎びっくり、「何で戻ってくるんだ!?」「待てって云ったから…」「時間ないんだろ!?」「(指でちょこっとって)」「一晩は待てないけどちょっとなら待てるのか…」みたいなことになっていてとても…楽しかったです…ふたりとも可愛い…。そんな可愛い捨之介が、あんな爽やか笑顔を振り撒いていた捨之介が、あんな死んだ目になるのがね…たまんないね…若さ故の浮き沈みの激しさよ…。あとこれは月はわりと最初の方からだった印象だけし上下ともだったけど、最後あんなに家康に対して明らかに刃を向けるというか殺る気な捨之介すごい…って毎回なります。泣いちゃう。

 三浦蘭兵衛さんは、男っぷりに磨きが掛かって…って感じ。聖子太夫との姉と弟みたいな雰囲気も(1幕は)微笑ましくて、あとなかなか貫禄ある無界屋の主っぷりで、須田兵庫のビンタかわしを真上からペチンと叩き落とす小技も冴えて、こんなええおとこはんなのに…あの天に口説き落とされちゃうか…っていうか夢見酒いらない勢いで墜落されていたので、ほんと殿のしゃれこうべですぽっと落ちていらしたので、ほんと夢見酒いらないね…骨で完落ちね…。1幕のええおとこはんっぷりがとても良かったので、まぁ2幕外道ですね。無界屋襲撃楽しそうですね。あとどうしても黄泉笛殺陣が鉄バットに見えてしまうのでした…いいと思うよ…。

 須賀兵庫は安定して可愛いですね! 初日さすがにちょっと無理があると思った聖子太夫へのラヴも、クリスマスには無理を感じなくなり、まぁ慣らされたのかもしれませんが(笑)、今回ラストで泣かされました。あと無界襲撃後の一連、倒れた仲間を引っ張り起こそうとするのとか、次の場での決め台詞とか、とても良い…とても良いちっちゃい親分です。

 平間霧丸も、細やかな感情の流れが目に見えてわかるようになったのと、あとまぁこれも慣れたかな(笑)。沙霧→霧丸の改変にわたしが慣らされたのはある。慣れたら違和感とかなくなったし、これはこれで良いものだと思います! が、「髑髏城のすべてはここにある!」はわたしにとって泣くシーンではなくなった。これは霧丸が悪いとか俳優さんがどうとかって話ではなくて、ただわたしが「少女のか細い肩に負わされる重責」とか「非凡な才能故に一族を担わざるを得ない少女」とかの設定が大好物なだけです。しゅみのもんだいです。男子だと、おうがんばれよ! 一族担って立てよ!!って純粋に応援モードになって泣かないんだ。意外性もあんまりないよね。でも、捨之介に助けられる側から捨之介を引っ張る側へ成長していく頼もしさはとても感じられるし、最後に太夫に「ありがとう!」って云うのすごい泣けるし、捨とのバディ感も良いし、霧丸設定これはこれで悪くないです。平間霧丸かっこいいし!

 …ってキャストひとりずつの「前回と比べてこうだった」ばっかりになってしまうと全員やらなくちゃいけない気がしてきちゃうけどそれは気のせいなので、ベテラン勢は安心の安定感で揺らぎなく、成長痛を含んだ若手の成長っぷりをがっちり支えてたよって感じ。個人的には、無界襲撃時におでんの元へ駆け寄ろうとする狸穴さんを阻む太夫、がすごく好きです。前回観た時は下弦の方が、そばに寄らせない意志を強く感じたんだけど、上弦の聖子太夫はあからさまに敵意剥き出しにはしない大人な感じと、だけど近寄らせはしない保護者の強さみたいなものを感じるんだ…。

 カテコはまた何だかとてもかわゆくて、須賀くんがエアスタンドマイクで冠くんの歌をエア熱唱してたらいっけいさんがやめなさい(笑)ってしてたり、隣の天魔王マントを須賀くんがちんまり握ってたらハケる時に太一くんにばっさり振り払われていたり、かと思ったら次に出てきた時に隣の須賀くんを太一くんがマントでばさーっと覆い隠しちゃったり、まぁ可愛いがあふれていましたよ。主に須賀くんの周りに。そんなわちゃわちゃをにこにこしながら見守って、みんながハケるまでちゃんと見送って、ひとり最後を締める福士くんの姿に、立派な座長になったねぇ…とまた感慨深いものを感じたりするのでした。人の成長ってすごい。

*1:感想書きそびれてしまった

*2:基本的に推し天魔王の死に対する捨の態度を許さないスタンス

*3:しかしワカはな…

劇団柿喰う客「俺を縛れ!」@本多劇場(2/1夜)

 プルートゥ月間も終わってアトムも次の空へ飛び去ってしまった2月、柿の本公演を観てきました。柿喰う客は最近新劇団員が大幅新規加入して、ちょっと追い付かないくらいになってしまった(わたしの記憶力が)のですが、でも前回の柿フェスでもその新劇団員さんたちがとても生き生きとフレッシュに柿世界を構築されていたので、ちょーっとお顔と名前がまだあやしかったりもするけどますますこの先が楽しみな劇団なのです。しかもまた劇団員オーディションやってるから…また増えるんだね…でも結構な人数が見事なフォーメーションで広くない舞台に立ってるのは視覚的にかっこいいです。好き。

 「俺を縛れ!」は初演が10年前とのことで、もちろん初見でした*1。今回の再演にあたってどのくらい手が加えられたのか、初演時はどういう形態で何人で上演されたのか、その辺まったくわからないけど、とりあえず10年前でも少しの古さも感じませんでした。まぁ10年だしね…でも、ここまで笑いに振り切った柿作品も初めてだったなぁ。ほとんど笑っていました…笑いながら「うっわこわ…」って笑いが引いていくのが柿の醍醐味で、その辺ももちろんあるにはあるけれど、これまで観てきた他作品に比べるとライトかなー。ライトというか、軽いわけではなくて、水底に沈めてある石の大きさが小さめ、くらいの感じだけど。いつもわりと巨岩が沈んでるからね柿…好き…。

 徳川の世、悪名高き将軍家重から諸大名に下された令は「きゃら御定めの令」、それぞれに振り当てられた「ラーメン」とか「どスケベ」とか「モノマネ」とか「メガネ」とかのキャラを常に、忠実に演じなければ打ち首に処されるという厳令だった。混乱する大名たち、彼らがきちんとキャラに徹しているかを監視する徳川の忍び服部半蔵、そして田舎の貧乏だけど幕府に対する忠義だけは誰よりも厚い大名・瀬戸際切羽詰丸に当てられたキャラは「裏切り」…。忠義の為に幕府を裏切り、忠義の為に謀反を起こす、いや起こさねば打ち首になる、究極のキャラ縛り時代劇! …という感じのドタバタチャンバラ劇、ですが、そこはやっぱり柿。まくしたてるような早口、流れるような弁舌で繰り出されるセリフ量と圧倒的なスピード感はいつも通り、むしろいつも以上な感じがするのはそこが10年前の勢いなのか? 120分間ほぼノンストっプで大体笑っていましたが、ラストのメタ的展開からぐぐっとひんやりした肌触りになっていくのが柿らしい。…けどメタになっちゃうのちょっともったいなかったような気もする…物語せっかく面白かったから最後まで通してほしかったような気もするんだ…。可笑しかったんだけど!!

 キャラに縛られた大名たちが命がけでキャラを演じる様がとりあえずみんなおかしくて、特にものまね大名にされてしまった加藤ひろたかさん*2の体当たりアドリブだらけの捨身なものまねの数々が…が、がんばれ…好き…(笑)。将軍の息子役の長尾友里花さんも美少年っぷりがとても素敵でした。最後の父親とのシーンはほんと良かった…切なくて愛おしいシーンだった…。っていうか最近の柿は美人美形が取り揃えられていて舞台上が華やかだな!! 客演陣も美しかったしな!! 切羽詰丸の裏切り指南役で登場した神永圭佑さんとか、うっわなんだ顔綺麗だな!?!?って出てくるたびにびっくりしちゃったよ。2.5舞台で活躍されてる方なんですねーいやぁ美形だった。切羽詰丸の奥方つばき役の淺場万矢さんもゴージャス系美人だし、切羽詰丸の息子役の永田紗茅さんも可愛らしいし、ねぇ。将軍役の牧田哲也さんは美形なのに美形を認識させない怪演でそれはそれで素晴らしかったです。しばーらく、えっ牧田さん…? えっ牧田さんじゃない…? あれっやっぱ牧田さ…ん??ってなってた…。怪演といえば切羽詰丸の娘ざくろ姫役の宮下雄也さん、は、とても…一瞬「あれっもしかして可愛い…?」ってなる瞬間がたまーにあるのがまた…。めちゃくちゃかっこよかったです。ざくろ姫はかっこいい。田中穂先さん演じる大岡忠光のキャラが何だったのか最後まで明かされないのが良かったけど気になる…何だったんだろうか。穂先さんほんと緩急自在で好きです。きもちわるくないよ可愛い枠だよー。北村まりこさんの瀬戸際家家老も哀しくて良かったしざくろ姫に一途な浪士の清水優さんはちょっと97年髑髏の頃の古田さんに似てた。高感度高めな好感堂鷹目役のとよだ恭兵さんもキラキラでした。

 そしてそんなフレッシュな面々に囲まれてやっぱり怪物な切羽詰丸の永島敬三さん、つるっつるでバッキバキな裸体まで晒して下さって眼福だったしほんと怪物だし、真ん中に永島さんがいることによってどれだけ面子が一新され客演が入り人数が増えようと柿らしさのバランスが保たれているような。そこに、狂言回しの七味まゆみさんが妖艶に物語を誘い、葉丸あすかさんがピリッとスパイスを添える、この辺の布陣の完璧さに震えるのでした。七味さんと葉丸さんが常に見下ろしている下で繰り広げられる大名たちの七転八倒、まさに監視されている感じで下から見上げる七味葉丸組の「世界を総べる」感もすごかった。そんな葉丸さんの服部半蔵も、半蔵というキャラを取り上げられたらすぐに死んでしまうのがね…。逆に云うと、ざくろちゃんはキャラを自在に乗り換えて上手く世渡りしていったんだと思います。最後はまぁ…だけどでも最後の最後にあれはあれで見事だった。かっこよかった。

 中屋敷さんっぽさと云えばちらちらと見え隠れするシェイクスピアモチーフであったり、切羽詰丸とつばきの感じはそのまんまマクベスと夫人だし、将軍はリチャード3世をちょっと思い出すし、ハムレット要素も感じられるし。モチーフ(?)と云えばあの、何とか城の七人がね!! とても良く知ってる感じのがね!! 泣くほど笑ったね!! とても雑な百人斬りを観られました…楽しかった…泣いた…夏にはステアラに下北が誕生していたけど、冬は下北にステアラが誕生していたよ…。

 社会に属するということは、少なからず何らかの「キャラ」を演じずにはいられないわけで。大名たちもその家族も、キャラを定められる前から自然に「武家の当主とはこうあるべき」「武家の娘たるものこうあるもの」「武家の妻なら」とその役割、キャラに疑問を持つことなく徹してきていて、それは現代の我々だってそう遠くないことを無意識に無自覚にやりながら生きているんだろうことはうすうす理解はしている…。そこに揺さぶりをかけ、ハチャメチャにぐらぐらさせつつ大元を浮き彫りにしていく中屋敷脚本の怖さに、爆笑しながらぞっとするのでした。客席に座っている時点で、「観客」というキャラを与えられているし演じているのだから。

*1:わたしの初柿は2012年の女体シェイクスピアからです

*2:「流血サーカス」のふしだらな女が最高に素敵だった!