ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

「髑髏城の七人 Season月(上弦)」@IHIステージアラウンド東京(2/4昼)

 そろそろラストスパートに入った月髑髏、上弦を観てきました。前回はクリスマスの頃に上下を観たので*1、1ヶ月以上ぶりのステアラだったよ。相変わらずの関東荒野だったよ。

 初日→クリスマス→2月頭、とだいたいひと月に1回くらいのペースで観ていますが、ひと月の間に様々なことが起こっているようで、毎回初見みたいな気分で拝見しております。今回は上弦のみだったけど、初日の印象とはだーーいぶ違うし、クリスマスの印象ともまた違って、長期公演の醍醐味よなーと思うのでした。通って観察日記(笑)つけるのとはまた違う新鮮さ! 成長具合が一目で感じられるのはあれですね、久しぶりに会う親戚の子供がおっきくなってる!!みたいな感覚ですね…密に観てると「さっきと違う!」は見つけられるけど緩やかな変化には気づきにくいもの…。

 そんな久しぶりの上弦(そういえばライビュも観ていないのでした)は、何というか、全体的に平均年齢が上がった感じ…が第一印象でした。まず福士捨之介の声が低く太くなってる!! 声変わりしてる!!(?)三浦蘭兵衛さんさらにオラオラしてらっしゃる!! そして早乙女天魔王さまはご成人なされた!!(??)天魔王さま、初日はとても奇矯なヘンテコキャラで面白かったんだけど、クリスマスにはだいぶ落ち着いてらして落ち着きの隙間から奇矯がちらちら覗く感じで、それが今回は享楽的な奇矯さは影を潜め、奇声もほぼ発することなく、雅で大人がベースの天魔王さまになっておられた。で、ここぞって時にかつての(?)面影がちらつく感じ…かっこよかったです。作り声と地声の使い分けもぞくっとした! でも爆薬鉄砲の類にはとりあえず物陰に隠れるとか、振り上げられる捨之介の手にびくっと頭を庇うとか、根底にあるチキンさはそのままで良かった…そことても愛しいので上弦天魔王さまは…。捨天一騎打ちというか六天斬りというかむしろ六天剥がしの果てに、小さく丸くなって頭抱えて泣き声で「きさまごときにこのおれが~!!」ってするの、ほんと…可哀想な駄々っ子でしかなくて…ちっちゃいなぁ…可哀想だなぁ…胸が痛くなる。尊大なのも偉そうなのも生駒ママに縋り付くのも全部演技なんだよなぁ、唯一地声で、素の声で天魔王が喋るのって、蘭丸に「いいことをおしえてやろう」って打ち明けるあの時だけじゃないかしら。あの時の声がこの人(天魔王)の本来の声なんだろうな、喋り方なんだろうな、と思いました。

 捨之介はまず登場時の第一声から、あれっ声が違う??ってなりました。腹から出てる系の太い声になっていて、どうしても線が細くて身体が薄い印象の福士くんを軽く裏切る声で、ちょっとびっくりした。いや、相変わらずスタイルは細くて長くてシュッとしてるんだけど、印象が男らしくなってた! あとクリスマスに観た時、飛び降りた天魔王の後を追いかねない勢いで駆け寄ろうとして霧丸に羽交い絞めで止められていて、うわぁ何それずるいうらやましい!!!(?)ってなったのですが*2、今回の捨之介は駆け寄りはしないもののその場で崩れ落ちて立てなくなっていて、霧丸に肩を支えられてやっと立ち上がるくらいのダメージを負っていて、やっぱりうらやまずるい……ってなりました。いいなぁ月の捨之介…鳥はいいんだよ鳥は、あの天魔絶対殺すテロリスト捨になら殺され甲斐もあるってもんだから…*3。その後の、完全に死んだ目をした捨之介の俺が囮になる発言から霧丸・太夫を経ての「そうか、そうだな!!」の、死んだ目のままの「みんなで生きて~」、あの闇と病みっぷりほんと最高でしたよ…全然生き延びる気なさそうだもの…前回そこはここまで目死んでなかったよね…?

 福士捨といえば初回も前回も、贋鉄斎の庵ではまだちょっと固いというか、特にアドリブコーナーって感じでもなかったのに、ねぇ。感慨深い。大変アドリブコーナーになってたよ!! 楽しそうだったよ!! けっこうめちゃくちゃやってたよ(笑)。しんぺー贋鉄斎と楽しそうにわちゃわちゃしていて、玄翁で乳首つつかれて「あん♡」って云ってた……どうした捨之介…もうわたしの知っていた頃の福士捨じゃないんだね…(笑)。捨之介が地図を渡してハケてから贋鉄斎が「ちょっと待てと云っておるのに、忙しない男だ」みたいなことをひとりごつのだけど、その後にひょこっと戻ってきちゃって贋鉄斎びっくり、「何で戻ってくるんだ!?」「待てって云ったから…」「時間ないんだろ!?」「(指でちょこっとって)」「一晩は待てないけどちょっとなら待てるのか…」みたいなことになっていてとても…楽しかったです…ふたりとも可愛い…。そんな可愛い捨之介が、あんな爽やか笑顔を振り撒いていた捨之介が、あんな死んだ目になるのがね…たまんないね…若さ故の浮き沈みの激しさよ…。あとこれは月はわりと最初の方からだった印象だけし上下ともだったけど、最後あんなに家康に対して明らかに刃を向けるというか殺る気な捨之介すごい…って毎回なります。泣いちゃう。

 三浦蘭兵衛さんは、男っぷりに磨きが掛かって…って感じ。聖子太夫との姉と弟みたいな雰囲気も(1幕は)微笑ましくて、あとなかなか貫禄ある無界屋の主っぷりで、須田兵庫のビンタかわしを真上からペチンと叩き落とす小技も冴えて、こんなええおとこはんなのに…あの天に口説き落とされちゃうか…っていうか夢見酒いらない勢いで墜落されていたので、ほんと殿のしゃれこうべですぽっと落ちていらしたので、ほんと夢見酒いらないね…骨で完落ちね…。1幕のええおとこはんっぷりがとても良かったので、まぁ2幕外道ですね。無界屋襲撃楽しそうですね。あとどうしても黄泉笛殺陣が鉄バットに見えてしまうのでした…いいと思うよ…。

 須賀兵庫は安定して可愛いですね! 初日さすがにちょっと無理があると思った聖子太夫へのラヴも、クリスマスには無理を感じなくなり、まぁ慣らされたのかもしれませんが(笑)、今回ラストで泣かされました。あと無界襲撃後の一連、倒れた仲間を引っ張り起こそうとするのとか、次の場での決め台詞とか、とても良い…とても良いちっちゃい親分です。

 平間霧丸も、細やかな感情の流れが目に見えてわかるようになったのと、あとまぁこれも慣れたかな(笑)。沙霧→霧丸の改変にわたしが慣らされたのはある。慣れたら違和感とかなくなったし、これはこれで良いものだと思います! が、「髑髏城のすべてはここにある!」はわたしにとって泣くシーンではなくなった。これは霧丸が悪いとか俳優さんがどうとかって話ではなくて、ただわたしが「少女のか細い肩に負わされる重責」とか「非凡な才能故に一族を担わざるを得ない少女」とかの設定が大好物なだけです。しゅみのもんだいです。男子だと、おうがんばれよ! 一族担って立てよ!!って純粋に応援モードになって泣かないんだ。意外性もあんまりないよね。でも、捨之介に助けられる側から捨之介を引っ張る側へ成長していく頼もしさはとても感じられるし、最後に太夫に「ありがとう!」って云うのすごい泣けるし、捨とのバディ感も良いし、霧丸設定これはこれで悪くないです。平間霧丸かっこいいし!

 …ってキャストひとりずつの「前回と比べてこうだった」ばっかりになってしまうと全員やらなくちゃいけない気がしてきちゃうけどそれは気のせいなので、ベテラン勢は安心の安定感で揺らぎなく、成長痛を含んだ若手の成長っぷりをがっちり支えてたよって感じ。個人的には、無界襲撃時におでんの元へ駆け寄ろうとする狸穴さんを阻む太夫、がすごく好きです。前回観た時は下弦の方が、そばに寄らせない意志を強く感じたんだけど、上弦の聖子太夫はあからさまに敵意剥き出しにはしない大人な感じと、だけど近寄らせはしない保護者の強さみたいなものを感じるんだ…。

 カテコはまた何だかとてもかわゆくて、須賀くんがエアスタンドマイクで冠くんの歌をエア熱唱してたらいっけいさんがやめなさい(笑)ってしてたり、隣の天魔王マントを須賀くんがちんまり握ってたらハケる時に太一くんにばっさり振り払われていたり、かと思ったら次に出てきた時に隣の須賀くんを太一くんがマントでばさーっと覆い隠しちゃったり、まぁ可愛いがあふれていましたよ。主に須賀くんの周りに。そんなわちゃわちゃをにこにこしながら見守って、みんながハケるまでちゃんと見送って、ひとり最後を締める福士くんの姿に、立派な座長になったねぇ…とまた感慨深いものを感じたりするのでした。人の成長ってすごい。

*1:感想書きそびれてしまった

*2:基本的に推し天魔王の死に対する捨の態度を許さないスタンス

*3:しかしワカはな…