読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

瀬戸内芸術祭2016

 どこからが瀬戸芸でどこまでが常設展示なのか、正直ほとんど常設しか見ていない感じがするんですが、それでも…我が瀬戸芸師匠(笑)の的確なアテンドの元、わたしひとりじゃあり得ない程に船に乗りまくり島を渡りまくった4日間の記録を残しておこうかと。ほんとに、わたしひとりで行ってたら、確実に高松と直島を往復しかしていなかったわ。地中美術館くらいはがんばって行ったかもしれないけどそのくらいしか行かなかったわ。感謝しかない…!

 長いので畳みます。

8/26(金)/1日目

 行きはジェットスターでお安く高松空港へ。というか、お安くのはずだったのだけどまぁ早速やらかして、結局は往復JALとおんなじくらいになりました…ちょっと島を甘く見過ぎていた。読みの甘さが露呈した。これもお勉強ですね。

 高松空港と云えばこれ! ここ! 映画せかちゅのあのシーンですよ!! いつかロケ地行ってみたいなぁなんて云ってはいたけど本当に来られる日が来るとは思っていなかったので感激!!…なのですが、リムジンバスの乗り継ぎ時間がちょっとしかなかったのでそそくさと写真だけ撮って通過しました…この辺の融通の利かなさもLCCよね…。

 映画で観た印象よりだいぶ、狭いというか、スペースがない気がしたのですが、セカチュの頃はそれこそLCCとかなかったんだよね? カウンターの数も少なかったんじゃないかな。でも印象的なガラス張りは健在でした。たすけてください!!

 初日は安全策…というか、まず直島に時間までに辿り着けるかどうかにハラハラしていたので、高松港近くのホテルに荷物を預けてからはまっすぐ高速船に乗り込んで直島は宮浦港に上陸。高速船の船着き場が港の端っこだった所為で、上陸しての第一印象が「うわぁなにもない!!」だったのは仕方ない…。何となく人の流れに乗って、そのままつつじ荘行きのバスに乗り、シャトルバスを待つ間に砂浜をちょっと歩いたり、南瓜の写真を撮ったり、お昼を食べたりしました。浜辺では外国からのお客さまが海水浴しておられました…ohビキニ。南瓜はさすがに人気フォトスポットで、写真を撮る人の列ができていたり。

 それを遠くに眺めながら、お昼はつつじ荘のカフェでカレーを食べました。そしてシャトルバスに乗って無事、ベネッセミュージアムに到着。程良く余裕もあったので美術館の展示を観たりして、初回を迎えました…。

 マチネ終演後はミュージアム内のカフェで瀬戸内レモンのアイスティーなどを頂いてクールダウン(笑)して、そのままソワレも観て、終演後にバス停に行くとシャトルバスが行ったばかりっぽかったので、見事にひっくり返された頭をふわふわさせながら絶景や、突然現れるアート作品などを眺めつつ、つつじ荘まで徒歩で降りました。帰りは下りだから楽ちんに楽しく歩けたよ。

 つつじ荘から町営バスで宮浦港まで戻り、さて帰りの高速船切符を…と列に並んでいると、わたしの前10人弱くらいのところで「○時発の高速船は売り切れました〜」と無情の宣言が…おおう…次の船が最終の高速船で、小一時間の差になってしまいましたよ。でもこの日はホテルに戻って泊まるだけなので、高松にさえ戻れればいいので、前後に並んでいた方と軽くおしゃべりなどしつつそのまま列に並んで次の船の切符発売時間を待ちます。15分程で最終便のチケット販売が開始され、無事高松までの足を確保し列を離脱…しようとしたその時、背後からわたしを呼びとめる何者かの声が…! はっと振り返るとそこには、我が瀬戸芸師匠の姿がありました(笑)。ええっ何でいるの!?と驚きつつ予想外の遭遇を喜び*1、一緒に高松まで帰ってはまちの漬け丼など頂いて、それぞれのホテルに戻りました。高速船に乗り込む前から高松に着く頃はそうとう強い雨が降っていて、ちょっと歩いただけでびしょびしょになったけど、昼間は晴れてたから助かった。ちなみに師匠とは3日目の朝に合流する予定でした(笑)。

8/27(土)/2日目

 思わぬ邂逅から、翌日のわたしの予定が何もないことを知った瀬戸芸師匠が、高松のご飯屋さんでその場でガイドブックを駆使した結果、どうやらわたしはこの日、マチネの前に女木島に行けるっぽいことが判明。男木島に向かう師匠にくっついてフェリーに乗り、女木島で別れてひとり女木島観光をちょこっとしてきました。もうね、全てのプランは師匠のおかげです。本当はこの日、関西から来る友人と合流するはずだったんだけど、残念ながら体調不良で見送ることになり、さてどうしようと思っていたところだったのでした。これ高速船に乗り切れずに並んでいなかったら師匠には会えなかったし、会えなかったらそんなプランにもならなかったから、ほんとラッキーでありがたい巡り合わせ! 女木島は鬼が島伝説の島とのことで、港の突端に鬼の像がいたり、鬼が島伝説の何か洞窟?とかがあるようでしたがわたしあんまり鬼には興味なくて*2、とりあえず堤防に等間隔に無数に並んだカモメのオブジェに心掴まれておりましたとさ(笑)。

 カメラロールにひたすらカモメの写真が残っています…どんだけ撮ったの(笑)。でも等間隔に同じものが大量に並んでいる様は気持ちが良いのです…。グランドピアノの帆船も素敵だったよ。

 さすがにせっかく女木島まで来てカモメしか見ないというのも酷いので、ちょっと港から歩きだしてみます。幟が立っているところに何かある、とぼんやり、鄙びた港町を歩いていたら、何やら倉庫みたいなものがぽつんと畑の真ん中に建っていまして、ガイドブックで見た覚えのあるやつ!と行ってみたところ、早い時間でももう入れたのでお邪魔してきました。

 アイランドシアター女木名画座。古い倉庫を改装して、中はピンクを基調にしたちょっとキッチュでノスタルジックなすごく可愛らしい映画館になっています。壁には往年のハリウッドスターのイラストが描かれていて、スクリーンの周りにはプロセニアムが、これまた可愛らしく装飾されており、本当に可愛い。そして座席が全部で30席くらい?しかなくて、最前列は4席くらい! なのにちゃんとバルコニーっぽく2階もできていてめちゃくちゃ愛らしいの…可愛かった…。わたしが入った時は入れ替わりにお客さんがみんな出て行ったあとで、わたししかいなかったのだけど、地階からお兄さんが上がってきて、映写室に入りぽちっと何かをしてすぐに出て行かれて、するとスクリーンに荒い粒子の映像が流れ始め、ニューヨークの古き良き、今はもう使われていない劇場の内部や、その取り壊しの様子、歴史あるホットドッグ屋の最後の1日、などのドキュメンタリー映画が観られました。時間が足りなくて最後まで観られなかったのが悔しいんだけど、あの可愛らしい映画館を一人占めして、2階のふかふかした座席に座って、ノスタルジックで少し哀しい映像を見るのはとても素敵な時間でした…時間あったら全部観たかった、けどわたしは直島へ行かねばならぬのです…。

 結局女木島の港に走って戻って、無事戻りのフェリーに乗り込み、一旦高松に戻って再度直島行きのフェリーに乗って、直島2日目上陸でした。

 2日目も順調に、余裕もってミュージアムに着き、カフェでお昼を。イカ墨カレーなるものを頂きましたが、カレーっぽさがとても希薄でほぼイカ墨ご飯でした。美味しかった。歯が黒くなったかもしれないけど気にしないスタンス。白いものは何となく勝手にモッツァレラチーズっぽいものかな?と思っていたけど、イカでした。ですよね。うん。

 土曜日のマチネは満員の人雲がちょっと重たそうな感じのする回でした。マチネ終わりはまたカフェで、今度はオリーブサイダーを。ちょっとこっくり重さのあるサイダーで不思議だった。甘さはハチミツ由来っぽかったです。そのままソワレも観て、この日はバスを乗り継いで宮浦港まで戻り、土日のみ増発されるフェリーに乗って高松へ帰着。高松駅近くのビルに入っているうどん屋さんに入って念願の!香川のおうどんを釜揚げで頂きました。おいしかった…!! 麺のコシってこういうことなのね…とてもつるつるもちもちしていた…。ホテルに戻って2日目終了〜。

8/28(日)/3日目

 この日はマチネのチケットを取らず、ちょこっと島に渡って、あと地中美術館に行く計画の日…だったけど女木島も行けちゃったしね! 個人的にとても憧れを抱いておりました、小豆島に行きました。時間的にほんと、上陸したよ!ってくらいしか居られない予定だったけど、上陸したかったんだ…オリーブの島…オリーブオイル常食者としてはほんと何だか訳のわからない憧憬の対象だったの…。オリーブマークが輝かしいその名も瀬戸内オリーブラインなるフェリーに揺られて、島々を眺め「あれが女木島で向こうが男木島」など云いつつ、島々に眺められ、朝苦労して直した寝癖は海風に吹かれ速攻戻り、キャビンに戻ってまた打ち合わせ。土日はとても混む、というのは前日の土曜日から各所で云われ、この日の本来の予定では小豆島から高松に戻って直島行きの高速船に乗り換える、その間20分程、だったのだけど、この時間で果たして高速船が満席にならないかどうか、ここでこの高速船に乗れないと、事前に時間予約した地中美術館の入館時刻に間に合わなくなる、このギリギリの賭けに果たしてのるべきかどうか…でもこのギリギリを回避しようとすると、小豆島滞在時間が50分になってしまう。正直、本当に上陸だけになってしまう(笑)。別ルートを探ってみたり、宇野港回りとか、いっっろいろ考えた*3結果、やはりメインは地中美術館、と安全策を取ることに。小豆島滞在時間を削って1本早いフェリーで高松に戻り、早めに高速船の切符を確保するコースにしました。うん、初心者は無理な賭けは避けようね。安全第一。夏休み最後の土日の直島なんて混むに決まってるし!

 方針が決まったところで小豆島上陸。あと月曜日の午前中の計画もここで立ててたんだっけ…ホテル着いてからだっけ。月曜日はとにかく天気が荒れそうな予報だったから、わたしはもう直島でのんびりするのでいいや〜なんて思っていたのだけど、師匠が行ってきた豊島美術館がめちゃくちゃよかった!!と聞いて…あと雨は雨で面白そうとか…そしてまたガイドブックの時刻表を駆使し、わたしが月曜の公演に間に合うように戻れる豊島観光ルートを組んでくれる師匠…ほんと何から何までお世話になりっぱなしでした…わたしはただ師匠に云われるがままの船に乗ってわー時間ぴったり!って目的地に着くだけだったよ…。

 で、小豆島です。この輪っか、写真で見て勝手に、フラフープよりちっちゃいくらいかなーなんて思っていたらとてもでかくてびっくりした(笑)。初小豆島は、あらゆる植栽がすべてオリーブなんじゃってくらいそこら中にオリーブの木が植わっていて、しかも小さくて細い木でもたわわに実を付けていて、なんかすごかったよ…実家にけっこう太くなったオリーブの木がペアであるけど、直近の収穫量が7粒だったのを鑑みるにもすごい。みっしりずっしり重たそうに成ってて羨ましかった…やはり気候が合っているのだな…。

 何しろ滞在時間50分でお土産も買いたいので、動ける時間は正味30分。港の観光案内で地図を貰い、行けるところまで行って引き返そう、ととりあえず歩き出します。が、この地図がまたクセモノで…縮尺が場所によって大きく異なる、ランドマークとして描かれている建物がことごとく見つからない、のに、とても目立って建っている建物は地図にない(笑)。地図の通りに歩いてるはずなのに合ってるのかどうかもわからないし今地図上のどの辺まで来ているのかもわからないしあとどのくらいで展示会場に着くのかもわからない。わからないけどだからと云って間違えようがあるほどの道でもない(笑)。あってるはずなんだけど地図に書いてある目印は何もないねぇ、と狐につままれたような、不確実な足取りで進む我々。やっっと、神社的なものが出てきて、ああやっぱり合ってたんだと確信できたんだけど、それにしても縮尺おかしくね!?と首を傾げるばかり。そして時間は刻々と流れ、そろそろ戻らないと、しかしただ鄙びた田舎の町中を歩く以外何もしてない…あ、輪っかは見たからいいか…なんて迷いが生じ始めたところに、芸術祭の幟が。廃校になった小学校を使った展示とのことで、ノスタルジックで可愛らしい行校庭や遊具についつい足を踏み入れてしまいました。時間ないからほんと、駆け抜けるようにしか見られなかったけど、いすと机が並ぶ教室の中では、「愛のバッドデザイン」と称した、グッドデザイン賞は絶対にもらえないけど、どこか愛らしくユーモラスな、なんでこんな形なの?というものたちが、小学生や島民の視点で蒐集展示されていました。またそれが、ああーわかるー(笑)って感じのセレクトで、でも愛のある…可愛らしさに溢れた展示で…ひとつずつじっくり見られないのが残念。

 あと何分、と残り時間をカウントダウンしながら、間に合わないかも〜と乗り過ごした場合のプランB(笑)のシミュレーションも脳内で呼び出しつつ、フェリーの切符買う師匠と土産を買うわたしに分かれてミッションクリア、無事予定していたフェリーに乗れました。良かった…そして願わくば1本後のフェリーでは次の高速船がいっぱいになっているといい…(笑)。

 高松に着いて、余裕を持って高速船の切符を買い、ホテルに預けていた荷物を取ってきて、直島に向かいます。高速船は、うーん、もしかしたら早めなくても大丈夫だったかも…?くらいの感じでした…が、安全策を取ったことに悔いはない。天気も良くて(日曜も最初は雨の予報だったのに!)、せっかくだからデッキ席にしたら、けっこう波かぶり席で…それはそれでアトラクション的に楽しかったです。20分くらいだしね。思いの外濡れるけどね!

 直島に着いてから、美術館の時間まで余裕があったので、宮浦港から見えるうどん屋さんに行ってみました。セルフって書いてあって、セルフってどこから? 自分で茹でるの??とか云いつつ入ったら、薬味とか天ぷらとかは自分でやるセルフだった(笑)。丸亀製麺程度のセルフで助かりました…。冷たい肉ぶっかけうどんにしたけど、お肉の脂が冷たいうどんで固まっていってちょっと間違えたな…あったかい方か、もしくは天ぷら添える方にすれば良かったかな、と。でも麺のツルシコモチ感は堪能できました。あとおでんもあったから付けた(笑)。

 この日の宿泊はベネッセハウスのパークを予約していたので、宿泊者専用のシャトルバスが使えることに気づき、バスまでの時間を港でちょっと潰すことに。赤い方の南瓜とか、白い網のオブジェとか、見えてはいたけど行ってなかった宮浦港名所巡りを(笑)。うどん屋に行く前に、師匠がビールを飲みに来たダイナーにも行ってみたんだけど、どこかのフェスに出店しているとのことでこの日はお休みでしたが、その近くに噂の銭湯があったのでついでに外観を眺められたのも良かった。アイラヴ湯? かな?

 

 シャトルバスってどこに来るんだろうねぇなんてあてもなくぼんやり座っていたら、ベネッセの制服を着た人がいたのでちょっと訊いてみると、その場で名簿を確認してタグをくれました。それをキャリーと手荷物に付けていると宿泊者専用バス乗り放題になる、魔法のタグです(笑)。5分ほどしてバスが来ると、キャリーの積み込みもやってくれるし、荷物はお部屋に届けておいてくれるとのことで、ここから怒濤の甘やかしスタート。身軽にバスに乗り込んで、地中美術館までするっと行ってしまいました。途中でフロントに荷物あずけて〜とかしなくていいの便利!

 地中美術館はやっぱり混み合っていて、事前のweb予約をしていおいて正解でした。時間までチケットセンターでジェラートを食べて(直島のお米を使ったお米ジェラートと、直島の塩を使った塩キャラメルのジェラートを食べたよ)、いよいよ美術館へ。チケットセンターから美術館までは少し歩いて坂道を登るのだけど、その道沿いには地中の庭と名付けられたモネの睡蓮の庭風な庭が、小さいながらも美しかったです。睡蓮は開ききっちゃってたけど。

 

 地中美術館はとりあえずウォルター・デ・マリアが見てみたい!と思っていたんだけど*4、入っていきなりマリアに行ってしまって、いきなりラスボス戦みたいな(笑)。写真で見るより全然、不可思議というか、オーパーツっぽさがすごいというか…球体の存在の違和感が物凄くて、でも部屋全体の調和は完璧なほどに美しくて、神々しくて、でも何かおかしいぞって脳が云う、みたいな。本来存在し得ないものの圧倒的な存在感、とか、異質さの限界を超えるとそれは調和になっていく、みたいな…ほんと不思議。壁に設えられた金色の木彫も、質感は木なのにメタリックな金の輝きで、それもすごく異質。でもそれが完璧な配列で並んで、黒く光って天窓の空を映す球体を左右対称に囲む様は、中世の宗教画のようにも見えてくる。音のよく響く白くて明るい空間も、どこか教会めいた厳かな雰囲気で、どこにも宗教的な要素はないはずなのに何となーく畏怖の念を抱いてしまうような、不思議な気分になる作品でした。

 マリアの次はジェームズ・タレルの作品…と思ったらすごく並んでいて、列の最後尾の方にあった展示を先に見よう、と展示室に入ったら、そこがまた。天井に真四角に切り抜かれた天窓、白い壁に囲まれた四角い部屋の壁沿いには石のベンチ、それだけなんだけど、それだけなんだけどものすっごく…不思議で素敵な空間でした、ジェームズ・タレルの「オープン・スカイ」。壁際に座って、四角く切り取られた空をただ眺める、それだけなんだけど…何時間でもいられる。入ったときは曇り空で、一面白い四角だったんだけど、それでもゆっくりと流れる雲の動きと、時折吹き込むぬるい風、鳥の声、あの安らぎは一体何なんだろう…! 時間を忘れてぼんやりしてしまいそうになるのを、いやまだ先がある、と根が生えかけたお尻をあげて、列が短くなったタイミングですぐ隣にある同じくタレルの「オープン・フィールド」に並びます。

 「オープン・フィールド」は8人ずつ、靴を脱いで展示室に入り、階段を上がって係りの人に止められるまで先に進む、と説明を受け…たけどこの時点では何がなんだかさっぱり(笑)。これは体験しないとわからないやつです。是非行ってみてほしい…脳味噌が混乱する感じを味わうべき! すんごい不思議で、奇妙で、面白くて、…不思議でした。もうスカイとフィールドの2発でタレル最高!!ってなった(笑)。あんまり面白いのでリピりました…2回目もやっぱり不思議でへんてこだった…。モネの睡蓮の部屋も、広々とした白い空間に5枚の絵が飾られていて、近くからも、充分な遠さからもじっくり観られて素敵でした。タッチの違いで何というか、熟練度がわかるというか…やはり後期になるにつれて、所謂モネで頭に浮かぶああいう感じ、の完成形になっていくのね。年代が若いと、タッチが荒々しいというか若いというか、手法が確立される前の感じでそれもまた面白い。モネ見て、オープン・フィールドもう一回…と思ったらまた並んでたので、オープン・スカイでまったりしたり。今度は青空が見えて、白い雲が流れていって、四角い窓から四角く切り取られた日差しが壁に四角く輝いていて、部屋は光に満ちていて、また違った印象に。ここのナイトプログラムが、日暮れから日没までこの部屋で空を見上げて過ごす、というのを実施していて、金土の夕方しかやってないのが本当に残念だった…日曜にもやってたら絶対参加したかった…。

 最後にもう一度ウォルター・デ・マリアを見て、これもまた空が晴れると雰囲気変わって面白かったなぁ。ちょっと明るい、華やかな雰囲気になって不気味さは下がった(笑)。暗いとすっごく…怖そうなんだけど、それはそれで見てみたい。

 結局時間ギリギリまで堪能してしまって、ミュージアムショップを見られなかったのがちょっと残念だったけど、タレルでタレまくってしまったのだから仕方ない。建物そのものも安藤忠雄の作品だし、展示数少ないなぁと思ってたけど、そういうんじゃない美術館でした。ほんとこの旅は、不思議な空間ならではの不思議な体験ばかりする旅だなぁ。

 バスでミュージアムへ下り、ソワレを見て*5、帰りはのんびり歩いて下りました。ベネッセハウスのビーチ棟前にあるデッキで、海を眺めながらシャンパンやドリンクを楽しめるサンセットデッキ?とかいうのがあるので、そこでひとしきり海を眺めてのんびり過ごします。何かもう…最高。天国。ここが中心、中央。

 サンセット自体は方角的に見えないんだけど、雄大な海と空がゆっくり色を変えていくのをただ眺め、でも夕飯の時間がね〜、なんて云いながらそれでもだらだらして、しばーらく粘ってからやっとホテルに向かいました。チェックインしたら、もう夕食の時間過ぎていて*6、レストランまで車で送ってもらうことに。ベネッセに甘やかされる。レストランはミュージアムにあるので、数時間前に出てきたところにまた戻るわけです。お食事は軽めの和食コース…のはずなんだけど、これで軽いのならフルの方はどうなっちゃうの!?ってくらいのボリュームで、ふだん夕食がすごく軽いわたくしにはちょっと苦しかったです。でも美味しかった! 優しい丁寧な味がした…。おしながきに、ミュージアムの展示の一つである大きな丸い岩に寝転がって空を見上げると星が綺麗です、と案内があったので、何度も来てるし昼間にもいたミュージアムを夜にも見て回ったり、岩に寝転がってみたり。星はひとつふたつしか見えなかったけど、静かで波の音が思いの外近くに聞こえて、虫の音と風が気持ちよくて、とても贅沢で特別感のある時間を過ごせてしまった…。あと、未來さん公演中につき当然ながら中に入ることのできなかった「100生きて死ね」のあの部屋も、夜は公開されていて、夜のあの空間を堪能してしまいました。暗闇に描かれる螺旋のスロープ、ネオンサインの輝き、響く音…夜のあそこもとても不思議で、ぼんやり眺めていたらいくらでも時間を過ごせてしまいそう。全点灯の華やかな、華やかだけどどこか空虚な印象のする色とりどりの明るさ、何だかすごく強烈だった。あと、誰もいない中でもずっと光ってるのも何か良いよね…観る者がいなくても為される展示、主張…たまらん。そして館内移動経路に普通にあのスロープを使いまくる我々でした(笑)。

 

 その後、ラウンジに寄り道してハーブティーなど頂いて、そしてやっとお部屋に入ると、遠い昔にお別れした我々のキャリーケースが迎えてくれました。先着ごくろうおまたせ!! お部屋はコンパクトだけどゆったり感があって機能的かつ居心地良くて、窓からは緑の庭の向こうに海が見えて、とても良かったです。ベランダに出たら今度こそ星がたくさん見えて綺麗だった…。お風呂も広めで、アメニティもいい匂いで*7、壁にはタレルのリトグラフ作品がかかっていて*8、テレビがなくて静かで、…良かった…。引き出しに入ってた島々の写真集をめくりながら、ここ良いよ〜とかここ行ってみたいとかまた夢が広がってしまった…南寺のタレル行きたかったなぁ…月曜やってればなぁ。でもそうすると豊島に行けなかったから今回はやっぱりいいんだ…。

8/29(月)/4日目

 最終日は雨の朝でした。でも、当初は日曜から雨の予報だったのが昨日は晴れたし、月曜はもう諦めて、ここまで保った天気に感謝ですよ…。夜の間はかなり強く降って、雷も鳴っていたそうですが…気づかなかった…。

 朝食もミュージアムで、ビュッフェじゃない方の洋食にしました。パンがトースト&クロワッサンと、フレンチトーストと、シリアルから好きに選べて、クロワッサンもフレンチトーストも食べたくてどっちもお願いしてしまった。欲張った。でも美味しかった! 朝しっかり食べるとお昼飛ばしてもどうにかなるので助かる(笑)*9

 朝食の前にチェックアウトを済ませて、荷物をフロントで預かってもらおうとしたら、また甘やかしてくれるベネッセ。観劇するわたしの荷物はミュージアムのフロントへ、そのまままた島へ旅立つ師匠の荷物は本村港まで、それぞれ送ってくれるとのことで! 自分で荷物を全然持ってないから、帰り自力で帰れるか不安になってくる甘やかされっぷり…ベネッセにいたら生き抜く力がどんどん低下するとおもいます…。本村港まで宿泊者専用バスで向かい、降りたところでちょっとしたトラブル発生。師匠の荷物が届いてるはずなんだけど見当たらない…港に先に届いてるのかなぁなんてのんきなことを云ってみたけれど本村港にそんな施設はなさそう。あれーどうしたのかな、と雨の中傘差して、とりあえずフロントに電話して訊いてみたら?なんて電話をかけてみたところで、一台の車が我々の前に止まり、中からベネッセの制服を着たお兄さんが。どうやら、バスに積み忘れられてしまった師匠の荷物を後から送り届けてくれたようです。平謝りに謝られていえいえそんなと逆に恐縮する我々。配送ついでに「荷物用で狭くて申し訳ありません」なんて云われながら、その車で港の前までさらに送って下さいました…やっぱり甘やかされてる…。しかし我々はすでにチェックアウトした身、もう甘やかされ期間は終了!!と云い聞かせて、雨の本村港から高速船に乗り、豊島に向かいました。本村で乗船するまではけっこう本降りの雨だったのが、豊島に近づくにつれて雨が弱まって、上陸する頃にはか傘が日傘になるくらいで! お天気には本当に恵まれた旅だった…港からバスに乗り、山深い道を通って豊島美術館まで、道々にはオリーブの木と柑橘系の樹木が目に付きました。イタリアみたいだねー気候が似てるんだねーオリーブとオレンジレモン! 柚子にすだち!

 豊島美術館前でバスを降りると、カーブした下り坂の向こうに、海ーー!! 空ーー!! 横を見れば段々畑ーー!!! 絶景でした…美術館からちょっと離れたところで降ろされるけど、この景色込みで美術館に向かうことになってるんだろうなぁ。曇りだし、写真じゃ全然あの広さとか抜ける感じとか伝わらないんだけど、とにかくすばらしかったです。綺麗に晴れてたら物凄そう…。

 

 豊島美術館も混んでいて、整理券が渡されましたが20分程の待ち時間で入れました。緑濃い中を細い遊歩道を渡って歩いた先に、白いドームの入り口があり、そこで靴を脱いで中に入ること、中は音が響きやすいので注意*10、床にボール状のものやお皿状のものがあるけど作品の一部なので触らないように気を付けて、など諸注意の説明を受けてから、中に入りました。

 どういう場所でどういう展示なのか、何も耳に入れずに行ったので、中に入った瞬間の印象は「何だこれ」でした。柱のない、潰れたラグビーボールみたいな真っ白いドーム状の巨大な空間に、人々が思い思いの場所で座ったり、寝転がったり、2箇所に大きく丸く開いた天窓を見上げていたり、床に顔を近づけていたり…な、なんなのこの場は!?と訳がわからず、とりあえず白いコンクリートみたいな床をひたひたと歩いてみると、床のあちこちが少しだけ濡れていて、ほんとに水なのか、水を模した何かが展示してあるのか、とちょっと近づいてみるとやっぱりただの水で、濡れてるなぁ雨降ったからかなぁなんて思いながらそれを避けて歩くと、今度はピンポン球よりちょっと大きいくらいのボールが落ちていて。これは入り口で聞いた展示だな、と思って見てみると、球体のてっぺんに開いた小さな穴から、ちょろちょろ、と水があふれ出して、床に小さな水たまりを作って、そこで初めて、床が濡れているのは何かの意図があったんだ!と気づく次第。そのうち、床の水たまりは大きく広がって、傾斜に沿ってころころと流れ出す…のだけど、その流れる様がまた! 一体この建物の表面加工は何が為されているの!?ってくらいの表面張力っぷりで撥水っぷりで、水が流れて過ぎた後は触っても全く濡れておらず、水はころころと転がるように滑りながら、行く先々での水溜まりを吸収して大きくなっていき、やがて天窓の下に溜まったたくさんの水溜まりたちと合流する、という…思い出すとそれだけなんだけど、何だかすごくドラマチックに見えてしまうし感じてしまうのは、あの「場」の特殊性の為せる技だろうなぁ。今回の旅で出会ったいろいろな「アート」たちはとにかく、そういう種類のものが多かったです。場、ロケーション込みで存在を際立たせているものたち。「in a silent way」もそうだよね。あの場所にあるからこそ、あそこでやるからこそ、意味が生まれて成立するものたちだったなぁ。微かな音が良く響くドーム状の白い空間で、息をひそめて、水が生まれて流れ集まっていくのをじっと見つめるだけ、という時間の、何と豊かだったことか…入った時には「なんだこれ」でしたが、あっという間に座り込みからの腹這いでごろごろしながら水を眺めておりました。順応性高い。もしくは影響されやすい。うん、チョロいの知ってるー!

 それぞれ好き勝手な場所で好き勝手に静かで豊かな時間をだらだら過ごして、そろそろかな、と小一時間ほどで友人と合流、ミュージアムショップを覗いてちょこっとお土産ものを買い求めたり。そして家浦港行きのバスに乗り、わたしは師匠と別れて直島は本村港へ高速船で向かい、師匠は…どうしたんだろう(笑)。新たな冒険へ旅立ったのでした(きっと)…。

 本村港からは師匠が立ててくれた完璧なスケジュールに則ってつつじ荘着、月曜日はベネッセのシャトルバスがお休みなのを失念してちょっと焦ったけど、パークのフロントで訊いたらまだ宿泊者タグは有効のようで、やっぱり宿泊者専用バスに乗り込み、無事ミュージアムへ到着。最後のサイレントウェイでひっくり返され、終演後…も、観劇用の特別バスをつつじ荘まで運行して下さるとのことでしたが、宿泊者専用バスなら乗り換えなしで宮浦港まで行けるので、そちらを待って帰りました。ミュージアムのフロントで荷物を受け取って、ここから先は自分で荷物を持つ旅だよ思い出して!!と云い聞かせながら(笑)。最後までお世話になりましたベネッセさん…良い思いさせて頂きました…庶民は貧乏旅に戻りますね…。

 最後のフェリーを待つ間にちまきとかクレミアとかでちょこっと腹ごしらえして、土産物も買い込んで、これで最後の島です。高松に戻るフェリーでちょっとしんみりしてしまったけど、わたしが島を覚えている限り島もわたしを覚えているし中心中央はここだから大丈夫、とおまじないのように心中唱え、窓外を流れる島々を眺めておりました…天使の梯子がたくさん降りていてすっごく綺麗だった…。

 

 高松港からリムジンバスで一路空港へ、帰りの飛行機は15分遅れでちょっと揺れたけどそれもまた楽しく心地よく寝て、羽田に着いたらそのままリムジンバスで最寄駅の隣まで一気に帰ってきて、わたしの夏休みは終わりました。本当に、何もかもが上手い具合にどうにかなって、天気も完全に諦めていたのにほとんど観光には支障なく、瀬戸芸師匠のアテンドは完璧すぎて涙が出るし、島も美術館もホテルも素晴らしかったし、もちろん未來さんは夢のような奇跡の顕現だったし、4日間に体験した全て、目にした風景の全てが、一生の宝物のように大切な思い出になっています。写真もたくさん撮ったけど、いつかデータが消えてしまっても、目の裏にある景色はきっとなくならない、あそこで感じた瞼越しの光も、音の響きも、肌触りも、匂いも、仄かな体温も、全部わたしの中に染み込んでいるから、きっと大丈夫です。

 でも。また行きたい。絶対行く。ジェームズ・タレルに会いに行く。南寺も行くから!! 待ってろ島々ーー!!

 

*1:師匠は直島にビール飲みに来ていたとのこと。ビール飲みに島を渡るさすが師匠…

*2:申し訳ない

*3:主に師匠が

*4:あとはよくわからなかった…

*5:これが不思議体験の最たるものだけど!

*6:デッキでのんびりし過ぎた

*7:そういえば未來さんが間近を通り過ぎた時に、薄いタバコの匂いと一緒にウッディ系の匂いがしたんだけど、ここのアメニティもそんな感じだったから、もしかしたらシャンプーの残り香だったのかな、なんて

*8:嬉しかった!!

*9:そして助かった

*10:ベネッセのアート施設はそういう注意が多かった