ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

血の婚礼 レモン水2杯目

 うんと冷たいやつを! 泣くのかやめてくれ!!*1
 2日目ソワレ、観てきました。すごい、昨日と全然違う! 何となくお互いのタイミングを伺いながら探り探りな雰囲気だった昨日に比べて、格段に進化してしまいました、1日で(笑)。何が起きたんだ昨日と今日の間に! オリーブの木陰で何があったの、2時と3時の間に!?*2
 ネタバレってほどのものは多分ないですが、一応隠しておきます。



 もしかしたら席の所為*3かもしれないし、私自身の気持ちの変化や覚悟の違いかもしれないですが、昨日観た時とは、感じ方も受け止められ方も全然違ってた。昨日あんなに気になった、未來さんのセリフの通りも、今日は流れることなくすっきりクリアに聞こえてきました…もしかしたら、ホールの反響が関係あるのかも知れませんが。昨日「良かった!」と思った点はそのままに、今日は、レオナルドのむちゃくちゃな言い分も、花嫁のあんまりな責任転嫁も、何となく…共感には至らないけど、「それは仕方ないかもね…」と思えるところ、まで来ました。馬が勝手に花嫁の家の前まで行ってしまうから、とか、全てこの土地の所為、とか、昨日はかーなり「…ハァ? 何云っちゃってんの?」と突き放して観ていたのですが、今日はかなり…土地の所為、逃れられない血筋の所為、その辺りが何となく、収まり良い感じにすっ、と入ってきた。共感はできないけど納得はできた、感じです。だから、誰かに対して感情移入や同情、可哀想、という思いは起きないし、泣けもしないけど、ある種の諦めに近い納得というか、ああ…仕方ない、この人たちはみんな、こうすることしかできなかったんだな、と…受け止められた。それですごく、楽に…いや楽ではないな、肩ガッチガチになるもんな(笑)、でも物語としてすんなりと受け入れることができました*4。これってすごい進歩というか、嬉しいことなのです(笑)。良かった、私この舞台を舞台として楽しめる(相変わらず花嫁の「一緒に泣かせて下さい」は「…え!?」と思いますが(笑)。どの口で云う!?とか思うわ)。
 ただ、いつものような、「今日のココがこんな風で良かった!」とか、「今日のココがツボ! 必見!!」みたいな…そういう見方はできそうにない作品なので、レポ*5ではなくて、感想とか印象しか云えません。そういうポイントも設定できないし、そういう見方もあまりできないな…と。なので、いつも以上にうすらボンヤリとした感想文になります。だってねぇ、ケッコンとケンカ云い間違えたー!とか、ココ噛んだー!とか、今日のキスシーンはこの辺からこんな風だった!みたいなの…意味ないもんこの芝居…。初演BBのエドガーハンカチレベルで、ラストのナイフがない!?みたいな勢いのハプニングがない限りは!*6
 あ、カーテンコールだけは。今日もフラメンコあったので、毎回あるのかなー…と。初日よりは短めでした。未來さん、やっぱり裏拍取りたがるのね(笑)。
 で、うすらぼんやり感想文と云いますか、いつものような勝手解釈をだらだら垂れ流してみよかと。私の個人的感想や印象、連想ゲームなので、多分間違っていますが。むしろ妄想ですが。まぁ、明日からの婚礼観劇を、私自身がより楽しむ為の、個人的な手がかりというかツール、みたいなものです。私的なメモです。次回以降で覆されるかも知れないし。

  • やっぱりレオナルドのフラメンコは馬での疾走イメージでいいみたい。2回あるうちのどっちでも、メンコ後のレオナルドは馬に乗ってきた後だし、メンコ後の暗転では馬の嘶きが聞こえる。
  • 冒頭がやはり大好物です。声の重なり合う重苦しい音が立ちこめる*7中、ゆっくりと現れるレオナルドと花嫁、とか。冒頭で、女と引き離されて殺される男、は、花婿の父/兄の死の場面、ですよね。その後の物語が始まる以降とは別の時間軸ですよね。
  • 花婿の母のセリフにある、赤い花の咲くジュピターという木も植えたけれど枯れてしまった、という部分。ジュピターという木は、大地に根を生やすことなく死んでいった男達の象徴というか比喩というか、に聞こえた。ラストでレオナルドと花婿に降り注ぐ赤い花びらは、ジュピターの花じゃないか、と。
  • 少女と月…月経のイメージ? 血と女、血によって狂わされる、導かれる。
  • 少女/月はどちらも欲望の象徴。ストッキングを羨み、花嫁に憧れ、花飾りを欲しがる純粋で無垢で剥き出しの少女の欲望と、血の熱さを欲する月(女性の象徴でもあるんだろうな)(男は太陽、女は月、的な)の欲望が並列化、転化、同化する。だから少女が月に「なる」? 同一の存在ではないけれど、どちらも同じ象徴、近しい存在として。
  • 月が血の熱さを求める、その欲望がレオナルドと花嫁を照らし出し、ふたりの元へ花婿を導く。自らが導いた流血で、月は求めていたものを得る。月の満ち欠け、繰り返し=悲劇もまたくり返される?(花婿の祖父、父、兄、花婿、その後もまた?)
  • ラストに登場するのは女たちのみ。地に繋がれるのは女。男は風のようにいなくなってしまう、いつも残されるのは、生き残るのは、女たち。男は赤い花を咲かせて枯れていく木、大地には根付かない。
  • 「レオナルド」以外の名前を持たない人々は、個であると同時にその立場の象徴? 花嫁とか花婿とか妻とか母とかの象徴的な存在。象徴化できない「レオナルド」は異物、集団の中でカテゴライズすることのできない異なる存在。

 …感想じゃなくて呪文だこれじゃ…(笑)。

*1:あんまりヒドいので笑ってしまうセリフ

*2:すーぐそうやって遊ぶー

*3:昨日:ほぼ最後列、今日:かなり前列

*4:見終わった後に諦念のイヤな笑みが浮かびますが

*5:いつもレポなのかどうかはアレですが

*6:なくていいーー!!

*7:流れないの、淀んでるの