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ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

「SAL -Dance and Music Installation-」@スパイラルガーデン(12/27)

 内容も会場も座席も全然雰囲気わからなくてやたら緊張しながら迎えたSAL1日目、行ってきました。チケットの引き換えがあったのでちょっと早めにスパイラルに着いて、ショップでカレンダーとか靴下*1とかを眺めていたら、すぅっと間を通り抜けていく長めの髪が視界の隅を横切って行きました…髭々しかった(笑)。

 入場時にドリンクチケットを渡され、ロビー開場のような感じで、バーカウンターでドリンクを頂けます。イスラエルワインとイスラエルビール、イスラエルのミネラルウォーターにザクロソーダって感じ。ワインは白でなかなか濃厚で美味しいとのことでした。わたしは迷わずザクロソーダで。さっぱりしてて美味しかったです。

 整理番号順に並んで入場、会場は円形のスペースの壁際にスロープが螺旋状に設えてあって、段差で隣接するカフェスペースにも座席が設置されていました。入って正面奥は演奏ブースでピアノや楽器が設置してあり、それ以外の円周に沿うように座席が3列くらいぐるりと、アクティングエリアを囲むように設置してありました。椅子の高さが違うから後列でも観やすそうかな。スタンディングスペースは螺旋状のスロープの上で、荷物を入れるボックスもありました。手すりがあるから立ち見でも楽そうかな。

 どこが観やすいのかとか、正面はどこなのかとか良くわからないながらも着席、静寂の中を暫し待つと、どこからか微かな鈴の音が高く、チリーン…と聞こえてきて、それが青葉市子さんの手からぶら下がっていることと、ミュージシャン2人とダンサー2人が静かに歩いて入ってくるのに同時に気づく、みたいな。未來さんは白っぽい微妙な色合いのTシャツに黒いサルエル気味のパンツ、エラさんはクリーム色のワンピース、ふたりともお団子頭で未來さんのお団子は上下2個+耳上にヘアピン、「Judas,~」の衣装と同じ出で立ちで登場。そういえばおひげが消えてつるんとなられていた(笑)。エラさんは片手に中身が少し入ったグラスを持って登場でした。ミュージシャンおふたりは演奏ブースに入り、ダンサーふたりは少し離れて立つとそのまま動かない。阿部さんと青葉さんがワイングラス4つくらいに、銀の水差しから水を注ぐ、こぽこぽこぽ…という音が響いて、そこからスタート、な感じなのだけど、青葉さんの鈴の先導からすでに物語は始まっているような、どことなく厳かで愛らしい一夜になりました。

 一番の印象は、音楽で作品ってずいぶん色が違って見えるんだなぁ!ってこと。阿部海太郎さんと青葉市子さんの音楽で紡がれる「Judas,~」、年明けのレンガ倉庫が「Judas,~」リブート版と位置づけるなら、今回の三夜はその前哨戦といった感じだったのだけど、内子座とも本牧ともまた全然違った、ちょっと童話めいた可愛らしい、あとほんのりクリスマスの祝祭気分の余韻も感じられるような、ちょっとキラキラしたJudasだった…のは途中で賛美歌が使われたりしたのもあるのかな。とにかく、これまで観た2バージョンとはまた全然、全く違う、小さくてキラキラしたスノードームの中みたいな、素敵な小品になっていました。もちろん内容はJudas~だし、駆け込み訴えだし、もう限界ですわ、なんだけど…その悶々とした苦悩や愛憎ひっくるめて小さくキラキラしたところに閉じ込めたら浄化されるかもしれない、みたいな(笑)。ラストの青い光に浮かぶふたりが、そっと重ねていた手をゆっくりと、少しずつ離していくのが、とても清らかな光景に見えた…。清らかというか、清々しいというか。新しい始まり、みたいな。雰囲気です雰囲気!

 基本は「Judas,~」のピースなんだけど構成が違ったり、恐らく…たぶん…即興で動いている部分も多少あるんじゃないかな、だったり。セリフも予想外にあって、でもJudas~のセリフでした。エラさんと未來さんが2ヶ国語で重ねて云うのもあった。そこに青葉さんがバードコールをさらに重ねて、3ヶ国語(?)になってたのも良かったなぁ。振付もJudas~がベースになっていて、エラさんと未來さん一緒に、持ち上げた片足の爪先をすんなり伸ばすのとか、アルプス一万尺みたいに手のひらを合わせるのとか(これは増えてスピードアップしていたような)、肩を胸にぶつけるようなのとか、エラさんの「かまかろげ、かまんかろげ」「おっ!カマキリ!」とか、空中で何かを指先でつまむような未來さんの振りとか、見覚えある動きがたくさん。舞台装置も、持ち上げるとカションと脚ができる素敵なテーブルとか、黒いワイングラスとボトルとか、お久しぶりな物たちがちらほら。面白かったのは、テーブルに黒いグラスとワインボトルが置いてあって、途中でエラさんがテーブルの前に座って未來さんも向かい合うように座ったから、あっこれはグラスにお水注いでひっくり返してもこぼれないやつだね!と思っていたら、ボトルを手にした未來さんがおもむろにごっきゅんごっきゅんと中身を飲み出して、エラさんに向かって「飲む?」みたいにボトルを差し出す感じにしたりしてた(笑)。その辺のお顔がすっとぼけたような笑いをこらえてるみたいな微妙な表情でそれも面白かったです。エラさんにいらないってされてちょっと首傾げて、またボトルからごっきゅんごっきゅん飲んでた。その後、テーブルとは反対側の床に置いてあった透明なグラス*2にボトルの水を注ぐふりをするけど、既に飲み干していて空でした…。

 個人的にぶわっと毛穴が開いた(笑)のは、青葉さんが途中で軽く胸を押さえるようにして、と同時にとても知ってる音が会場内に響いて、これは…!!ってなった…心臓音…ボルタンスキーとか山川さんのぴゃふぉーまんすほどの重低音ではなかったけど、とても素敵ないのちの音が聞こえてきて、それだけでわたくしはだーいぶくらっくらしてしまっていたのですが、さらにそこに青葉さんご本人の、繊細なグラスハープみたいな声の「神の御子は今宵しも」が重なって…すごくよかった…何てこった…しかもその心臓音+讃美歌111番と一緒に未來さんが踊るって!!! 座ったまま倒れるかと!!! 好物全部乗せ丼かと!!! 青葉さんの心臓音は力強いって感じではなくて、でも歌声にとてもマッチする素敵な音でした。返す返す自分のあのへっぽこ心臓音が情けなくなる…もっとがんばって心臓…毛とか生やしてる場合じゃなくてよ…。

 もちろん心臓音に限らず*3、音楽や音が全てとても素敵で…いろんな音がしてた。水笛とか、グラスハープ、グランドピアノとオモチャのピアノとか、ヴァイオリン、ギター、クラリネット、回すとカリカリカリって鳴るやつ*4、金属片を指で弾いてびよんって音が出るの、薄い貝殻がたくさんぶら下がってる飾りみたいなのをしゃらしゃら鳴らしたり、鉄琴、そのどれもがキラキラして、決して豪華ではないけどとても素敵なもの、みたいな音で…大好き…。クラッカー鳴らしてキラキラテープを投げたりもしてたなぁ。クラリネットでちょっとピンクパンサーのテーマみたいな雰囲気の旋律を奏でて、それをバックに未來さんが四足でコモドオオトカゲみたいに這ってたの、とても合ってた(笑)。アコーディオンの音色も大好きで、胸がきゅっとなる音なのだけど、同じくらい空気を抜く音が好きで…ため息みたいな深呼吸みたいな音が、ふぅーっとするのね。楽器だけど肺呼吸で生きてるみたいで…そういう不可思議な生き物がいる、みたいな感じがする。阿部さんと青葉さんの音が入ると、「Judas,~」の世界観がユーモラスな、童話めいた雰囲気に傾くように感じて、ベースは同じなんだけどまた違った物語が展開するような気がした。具体的なメロディがあると、物語性がはっきりする印象になる、気がする…全て気のせいだけど…。あ、未來さんとエラさんのお歌はなかったです。くっつけた肘を支点に手の甲~手のひらを上下で合わせるのもなかったな。青葉さんの「歌」があるから、そこはいいのかな。

 わたしの「Judas,~」の印象は、内容には関係なく、「身体の一部がくっついた双子」みたいな感じだったかと思うのですが、もしくは自分自身の合わせ鏡のようなものかな、今日観ててもやっぱりそういう風に見えてしまうんだなぁ。離れたら死んじゃう(と信じてる)双子、みたいな。もしくは、逃れられない(と信じてる)己の幻影と常に対峙し続ける、とか。逃れたくて戦うけど実は囚われていたいとどこかで思っている自分の影、みたいなのとか。また未來さんとエラさんのお団子が余計に、双子めいた雰囲気を醸し出すから(笑)。本牧のラストが、立って並ぶふたりの繋いだ指先が離れる寸前で暗転、だった*5のに対し、今回は、立って並ぶふたりの繋いだ指先が、青い光の中で離れる、まできちんと見えて(完全暗転できない場所だからだろうけど…)、その、手を離してでも立っている、というのが、とても…「次」とか、始まりとか、新しい、とか、ひとつ次に行ける予感、みたいなものを勝手に感じて、青葉さんの透き通る声や阿部さんのアコーディオンの優しい音に後押しされて、ある種の救いを得られたように感じたラストでした。今日のユダはキリストの幻影からちゃんと逃れて立ちあがれたよ?みたいな…まぁ売っちゃった後かもしれないけど…。っていうか、それほど「駆け込み訴え」にとらわれず、わりと自由に観ていたので、本牧の時みたいに「あああユダ……」って感じにもならず。とても楽しく観られた、素敵な夜でした。こうなると赤レンガリブート版「Judas,~」も楽しみが増す!

 相変わらず、未來さんは開始10分で汗どばーって感じで、対するエラさんがたらりとも汗かかないのが面白い対比で(笑)。ナイスコンビだなぁなんて思ってしまう…肉体/実体の未來さんと、観念/概念のエラさん、みたいなね。同じ振りを一緒に踊っていても、起きる風の匂いが違う感じがするのが、どこがって具体的に云えないんだけど何となくするんだよね。匂いっていうか色っていうか…いや匂いだなぁ。未來さんはグリーン系のミントとかヴァーベナとかそういう感じ…実際の匂いじゃなくてね、印象ね(笑)。森っぽいのは名前に引っぱられてるのかな…でもシプレーとかモスではない方ね、日差しがたっぷりの方ね。エラさんはスパイシーでちょっとぴりっとした、あと湿度の低い感じがする。ピンクペッパーみたいな…味になってしまった…いやもっと、知らないスパイスみたいな、刺激の奥に甘さがある感じ…やっぱり味だ…。印象ね印象。同じ動きをしてるのに印象がすごく違うのが面白いなぁっていうのと、それはどこに起因するんだろうねって話です。それだけ!

 で、今日の青葉市子さんと阿部海太郎さんの音はどことなくクリスマスっぽい、ヨーロピアンな雰囲気があって可愛らしい感じになったけど、えっこれユザーンさんとか入るんだよね? タブラ? どーなるの?? アラヤヴィジャナっぽいのも大歓迎ですよ?(たぶん違う)

 

*1:長かったら欲しかった~

*2:冒頭エラさんが持ってきたやつ

*3:ほんの一箇所だったしね

*4:何だっけ

*5:…調べた…