ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

劇団☆新感線「朧の森に棲む鬼」カウントダウン公演@新橋演舞場

 大晦日の銀座なんて初めて歩きました。けっこう人がいるもんですね〜。とにかく寒かった!という印象しか…あ、シャネルのベアブリックがキモかったです。銀座のライオンでmmoohさんとtomkoさんに合流させて頂いて、2006年最後の未來語りで腹ごしらえしてから、新橋演舞場へ向かいます。人影少ない銀座の裏通りは寒かった。ゴミ捨て場にいた黒白猫が可愛らしかった。
 そんな寒い中、演舞場周辺にはぞくぞくと人が集まっておりました。和服のひとも多かった! けど若者も多かった! この人は染様ファン、この人は新感線ファンかもしくは阿部さんファン、と何だかよくわかる感じでした(笑)。華やかだったなぁ、寒くてふっつーな服で行ったけど、せっかくのカウントダウン演舞場だったんだからもちょっとこう…盛ればよかった(笑)。いや別にいいですそんなのは。
 入口には「ふるまい酒あります」の貼り紙なんかもありましてお祝いムードが盛り上がります。

 景気がいいね! お祭りっぽくていいね!!

 演舞場はロビーが小さくて、中に入るとごった返しておりました。大変だった〜。とりあえずパンフを買いましたが、千歳飴みたいな袋に入ってカレンダーとセットになっていました。参千円也。カレンダー今年まだなかったから嬉しい〜*1

 他にグッズはTシャツとかCD、クリアファイル、演舞場限定で湯飲みとか扇子とかあとストラップもあったかな。

 席は歌舞伎会ゴールド会員様のおかげで、10列目花道際という超良席でした。すごかった…舞台はちょっと離れてるんだけど、花道が真横で…駆け抜ける染様阿部さん、ゆっくり通り過ぎる古田さん、しずしずと出てくる高田聖子さんとお女中たち、のしのしハケていく河野まさとさん(笑)。真木よう子ちゃんが走り抜けた後の風はブーツの匂いがしました。また嗅いだのか!*2
 良席に興奮しつつ開演を待つと、…来ました来ましたジューダス・プリースト! ぎゃーーーーってなる、何度聞いてもコレで血圧一気に上昇します。あーカッコイイ、最高の幕開け。しかしふと頭上を見上げれば提灯の並ぶ演舞場、周囲には和装のマダム。不思議な感じでした(笑)。
 感想は…一言、ただ圧巻、と。凄い。凄かった。鳥肌どころじゃなく毛穴がぶわーっと開く感じが何回もありました。舞台セットが美しい…。好き嫌い別れるかもしれませんが、私はすんんっっっごく好きな世界観でした(笑)。後ろのアレががーっと開いてアレが出てくる瞬間がね…たまんないですよ。
 歌モノではないので歌は少ないですが、歌よりも音というか…サントラで流れる、民族音楽風な女性ヴォーカルがすごく印象的でした。カッコイイ。あと、いのうえ歌舞伎だからでしょうが、拍子木の音が効果的だったなと。あの、いつもの「どおおん!」と共に「ちょーん!」って。ステキだなぁアレ、締まる気がするよ。空気が。高田聖子さんの歌が素晴らしかったです、メタルマクベスでは未亡人哀歌しかなかったから…。あとはさすがの紅白歌手破壊さん…いやちがった阿部さん。ヒーローものの主題歌みたいなカッチョイイ曲を踊りながら歌ってくれました(笑)。後ろに河野まさとさんと磯野さん(たぶん)従えて! 基本歌舞伎なんだけど、こういうのも全然ハマるのが新感線の面白いところですねー。
 ストーリーは、舌先三寸で生きてきた小悪党・ライが、森に棲むオボロという魔物と、命と引き替えに王になるという契約を交わし、弟分のキンタと共に都でのし上がっていくというピカレスクロマン…でいいんですよね? シェイクスピアの「リチャード3世」をベースに、ということになっていますが、あんまり…いや全然…気にならなかったというか、わかんなかったというか、すっかり忘れて舞台上の世界にぐいぐい引きずり込まれていたというか。正直、観劇するには最悪なコンディションで臨んでしまったのですが、だから花道脇で寝たらどうしよう!だったんですが、心配無用でした。全然そんな暇ない、そんな余裕もない。見ているだけでいっぱいいっぱいだし、特に2幕からの怒濤の展開はもう、口開けてあがあがしてるしかない。凄かった、格好良かった。誰がカッコイイ、とかじゃなくて、いやみんなカッコイイんですが、もう作品が丸ごとカッコイイ。次の予定は東京楽なんですが、その前にもう一度観たいです。追加したいー!

 以下、ネタバレ含むかも知れないので畳んでおきます。
 
 
 とにかく圧倒された。舞台って芸術だと力技で思い知らされた感です。オボロの森が…すごい、すごい。森の門が開く瞬間がタマラナイ。しかも滝あるし! マイナスイオン!!*3純白のオボロたちも幻想的で、怖いというよりは美しい。禍々しいかもしれないけど美しいのです。アレで一気にテンション上がった! これが新感線!と肌で納得させられました。そういや私、中島かずきさんの新感線は初めてだったんですよ。これかー!と思いました。
 始めに染様ありき、な芝居でした。もうねー悪い。極悪。何かする度に「うっわーわっるいなー!(でもカッコイイなー!)」でした。この、(でもカッコイイなー!)部分がね、大切なんですよね。ピカレスクな主役にはね。それが華ってものなのかしらね。やっぱり凄いです、何の心配もせずに見られる。セリフも殺陣も立ち居振る舞いも、さすがでした。で後半の鬼気迫る感じがまたね…怖い。凄い。あの、ラストの亡者と化したライが森で斬り合うところで、花道からだーっと出てくるのですが、近かった所為もあって真っ正面から走り出てくる顔を見てしまったのですが…怖かったの…。身体避けるくらい怖かったの…。
 阿部サダヲさんは、ウーマンリブグループ魂とあとドラマでしか見たことなかったのですが、やっぱり凄いな! 華があるな! 舌先三寸のライを慕い、腕っ節の強さで共にのしあがっていくキンタを演じるのですが、またこれが役が美味しいというかいいんですよ! 笑わせるし泣かせるしきゅんとさせるし! 検非違使ソングは流石です(笑)。殺陣もかっこよかったし身体のキレも凄いし、可愛かったりかっこよかったり悲しかったり、でも総じて格好良かった! 素晴らしかったです。これでまだプレ公演直後なんて…大阪とかどうなるんだろう…。
 秋山菜津子さん。初めて知った方ですが、カッコイイねぇ! この芝居はカッコイイ人ばっかり出てきて大変だ。エイアン国四天王の一員にして紅一点のツナ様を演じられていました。ツナ様、女としてもすごくイイオンナです、真ん中に一本、ぴしっとスジが通っている感じで。悲しいけど強くて美しい、素敵な女性でした。
 真木よう子ちゃんは、東京フレンズSTMBですっかりおなじみな感じで、今回出ていて嬉しいキャストの一人だったのですが、美しいね!「凛」という言葉がこんなに似合うひとも珍しいです。低い声がまたタマラナイ…。山の一族であるオーエ国の女首領シュテンを演じるのですが、立ち姿がもう、ほんとに、凛!を形にしたらこうなるよきっと、という感じで…張り詰めた空気を常に纏って立っている人でした。ステキだった、しかも綺麗で顔が小さくてすげぇ(笑)。立ち回りが少なくてもうちょっと見たかったです。
 高田聖子さんは…今回、本領発揮!という感じで。いや知らないんですが高田さんの本領がどこなのかは。エイアン国の王の愛人・シキブ様を演じておられましたが、いやぁ一大エンターテインメント担当ですよ! 女官たち引き連れて扇子マイクで舞い歌うシーンは、暗いストーリー展開の中で花が咲く様に絢爛豪華です。この踊る女官たちの中ですんごい顔小さくて可愛い子が私の真横の花道で踊ってたんですが…可愛かったなぁ。お人形さんみたいだった! シキブ様は…何か…可哀想なひとでした…。ツナと幼なじみで、ツナに「私たち親友じゃない!」と云ったすぐその後に、「…私はそんなあんたが大ッ嫌いなの」と云い放つところはぞっとしました。が、その辺りのこともツナはわかってるようで…余計に可哀想…。オオキミのことを少しでも愛していたらいいんだけどな…とぼんやり思いました。オオキミはきっとシキブのしたたかででもちょっと至らないところもちゃんとわかってて、それを可愛いと思ったんだろうな。
 粟根まことさんはエイアン国四天王の一人、ウラベでした。メガネだった! しかしどうにもこうにも「カニみたい…」と思ったらもうカニみたいだとしか思えず…。「人を殺しそうな目をしている!」とか云われていました(笑)。お約束〜*4。ウラベはいい人なのか悪い人なのかあまりよくわからないうちに、何か意外にあっさり死んでしまったような…えっ、あっ…あー…死んじゃった…?みたいな。もったいないなぁ(笑)。
 小須田康人さんは四天王の一人サダミツと、サダミツにそっくりな兵士の2役でした。格好良かったんですよサダミツ。でも誰だかわからなかったんですよ…すいません…。サダミツはわりとすぐ死んでしまうのですが*5、兵士の方が美味しかった(笑)。いっぱい笑わせて頂きました。
 田山涼成さん。なんとも可愛らしいオオキミでした…もう可愛いったらない! でも悲しい…悲しきへちゃむくれでした…。本当に優しいんだろうなぁ。毒入りの酒も、知ってて飲んだんだろうなぁと思いました。ちょっと泣けた…。
 古田新太さん。もうねー正直ねーこんな小太りなおっさんのどこがいいんだろう何が人気なんだろうと思ってたんですよIWGPの頃とか。…すいませんカッコイイですよやっぱり…。何ですかあの艶っぽい声! 色っぽい声! おっさんなのに!! 盗賊の長・マダレ役でしたが…すんごい存在感と色気。何なんだこの色気ってやつは。マダレは「カッコイイ悪役」の典型的な感じでしたが、後半色々とわかってくるにつれてただの悪党ではなくなって行きます。またこれがステキなんだなー。でもちゃんと笑いも持って行くの。殺陣はさすがの切れ味でした。ステキだった…。
 主要キャストはそんな感じです。あとは個人的に注目してた劇団員さんを。
河野まさとさん、サンボさん。はすっげー検非違使でしたよ! 黒髪ロングストレートに赤マントなびかせて! 可笑しかった…「あざーっす!」最高でしたよ。そして花道を闊歩するまさとさんの赤マントが私の額にクリティカルヒットでしたよ…。
・中谷さとみさん。オクマ、可愛かった〜やってることはほぼユウキでしたが(笑)。でも良かったよ! あと、あの…ラジョウの遊女に…いませんでした? いましたよね? 違いました? 何か、すっごい可愛かったんですけど…確かめたいな…。
・川原正嗣さん。…いい声! すっげイイ声!! 黒髪暗殺者とはまた違ってイイ声!! そんでもってイヤな役〜(笑)。
・山本カナコさん。ラジョウの女将フエ役でした。色っぽいね〜ステキだな〜。あと相変わらずの美声でした。もっと聞きたい。
・前田悟さん。マダレの部下?役でしたがあの、衣装が何かすごく面白かったです。リアルファーチューブトップ的な(笑)。さすがの身のこなしがまた見られて嬉しかったのですが、腹筋は見えませんでした。残念。
吉田メタル様。相変わらず様付け推奨。しかしメタル様好きなワタクシには今回はちと…鉄分不足という感じでした…。ロンゲだったので、ああ紫式部時代はこんな感じだったのかしらと思いつつ。もっと活躍を見たかったなぁ。ホシドがやられた時にシュテンが「ホシド!」って名前呼んでくれたのが小さく嬉しかった…。
・保坂エマさん。正直あの、メタルマクベスのおばあちゃんイメージしかなかったので、びっくりしました…網タイツのおみ足が美しい…。新感線は劇団員には容赦ないなぁと改めて思いましたよ。だって普通にかっこよくて綺麗なのにさ…。
 といったところでしょうか。とにかく私は舞台美術に魂持って行かれました。ラストのアレとかもうタマラナイ、もっかい見たい!! 血しぶきの量もセクシー描写もメタルマクベスの比ではありませんが、吹き出す鮮血すらも美しかった…。ヤバイ、凄い、カッコイイ。です。

*1:けど予定とか書き込めなさそう〜

*2:いや別に嗅ごうと思って嗅いだわけでは

*3:それ違う

*4:でもそういやメタルマクベスではなかったんですよね殺し屋の目って

*5:ライがサダミツに成り代わろうとしたり