ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

Last Show

 DVDを貸してもらって見ました。
 見る前に、どこかのサイトにあったっぽい「あらすじ」を読ませてもらったのですが、はっきり云って「…はぁ?(薄笑い)」という感想だったのです。あらすじの時点では。だってわけわかんないしシリアスな芝居なのかと思ったらギャグっぽいし不条理っぽいし、え? そっち系なの?みたいな。でも役者さんはそうそうたる顔ぶれだし、評判良さそうだし、でも…えっ? このあらすじは…え??
 で、まぁ漏れ聞く話を小耳にしつつ、見てみました。
 …すげぇ。すげぇよこれ。マジすげぇ。見始めた時間が午前1時回るくらいで、眠くなったらディスク1枚目で中断して、続きは明日にしよーっととか思ってましたが、止まらない。止められない。つかあの途中で止められる人を尊敬する。ディスク交換する間が何か気が急いてたまらなかった。
 とりあえず、まず最初にすげぇと思ったのは、…あのあらすじがひとつも嘘をついていない、のに、破綻なくストーリーが成立していたこと。いや、あらすじが悪かったのかもしかしたら。でも嘘はひとつもなかったし。走り出したら止まらない疾走感で、ラストまで突っ走っていく勢いが、多少強引な流れも説得力あるものに変えているのかも知れない。
 とても怖い、けどかなり笑えて、ぞおっとした次の瞬間にぶぶっと吹き出させられて、また突き落とされる。笑いと恐怖の振り幅が異様に広くて、しかもその幅広い笑いと恐怖が、密接かつ複雑に絡み合って配置されてるから、見てる方は何かもう振り回されるしかない。忙しいんですよ、笑ったりぞっとしたりうるっとしたり笑ったり。しかも出てるのはあんな面子で! 目も離せないし!
 テーマとして扱っているものや、メッセージ性としては、普遍的なことを云っていると思います。でも普遍的なものって…弱いんですよね、誰しも。だから普遍性があるっていうか。すごくクローズアップして、極端に描いているから、異様に見えるけど、薄めて薄めていけば多分、誰もが抱く不安だろうし、だからみやこちゃんの「あなたが、いいの」は多分誰の胸にも響くはず。渡部は道徳的には不味い(笑)けど、倫理性や社会性の一切を視野に入れなければ、彼の愛に嘘やごまかしはない。いやちょっとグルメになっちゃったところはあるかも知れないけど(笑)。
 ラストの北村さんの、一切の感情をはぎ取られたような顔が、すごく印象的でした。彼の中にこれまであって、彼の人格を形成していた拠り所、全ての価値基準が、全部壊れたんだろうな。いいとか悪いとか、正しいとか間違ってるとか、アリとかナシとか、そういう一切をもぎ取られて打ち砕かれて、まっさらで何もない状態になった彼は、それでも愛していた父親にぼとぼととアレを落とす。それはひとつの、世界の終末の情景なのではないかと。窓の外ではアレがアレで、ひとりの人間が打ち砕かれ、泣きながら愛する者に…を…る。最近どこかで、キリストの最後の晩餐をカニバリズムに結びつけるような記述を目にしたのですが、そんなものもじんわりと思い出しました。アレもひとつの、最後の晩餐なのかもしれない。
 なぁんてわけわかんないことをぐねぐねと考えつつ、でもすんごい笑ったのも確かなんです。だって! おかしい! 笑っちゃマズかろうと思いつつも笑ってしまう。トリュフとか…半分になった方が可愛いねぇとか…お弁当とか…AVコントとか(笑)。私は、全然嫌悪感とか「うええぇぇぇ」とか思わず見られました。風間さんは怖かったけど! でも何度か観たいです。
 で、コメンタリー。何か…面白かった(笑)。北村有起哉欠席裁判状態の美味しさを知ってしまうと、メタルマクベスに未來さんが飛び入り参加してしまったのが残念な気がしてくる程(笑)*1。いいシーンも凄いシーンも怖いシーンももれなくツッコミ入って和やかったらないわ。そして一番驚いたのは、テレビのサッカー解説の声がアクションクラブの前田さんと川原さん、ってところでした…思わず戻して聞き直したよ! わかんなかったけど!!
 音楽かっこいいなぁと思ったら、岡崎さんでした。あら(笑)。
 次はハルシオンデイズだ。 

*1:いや確信犯かもしれないけど!