ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

「オイディプス」@シアターコクーン(10/10夜)

 平日ソワレギリギリだよ~と渋谷を速足で闊歩して行ってきました2回目。今回は中二階席だったので、引きの全体像が良く見えました。初日もそこそこ後方だったから良く見えましたけどね! あと今回はオペラグラス持っていったので見たいところもつぶさに…まぁほぼ一点ですが…マイクそこに付いてるのかーとかね。

 初日に気になっていたものに気をつけながら観てきたのですが、なんとなーくしかまだ…わからないな…とりあえず現象は把握した。気づいたこととかをちょっとメモっておきます。

 

  • 開場の時点でもう、重低音というか低周波数の音が鳴ってるんですよね。それだけで何となくわくわくしてしまう(笑)。客電が落ちるのと共に大きくなる音。
  • 初日に気になっていた鼓動のような音、全編に渡ってたまに聞こえていたのだけど、最初は扉が開いて市民たちが中へ入ってくる辺りから、でした。
  • この鼓動みたいな音がどういう時に鳴るのか気にしながら観ていたんだけど、何となーく…不穏な時とか…物事が悪い方向に動く予感がする時とか…そういうイメージで…緊張感を高める感じなのかな…。
  • イオカステは冒頭からあれなんですね、オイディプスが市民(神官)に会うのも反対なんですね。市民ってよりやっぱり神官に近い印象だなぁ未來さん。神の言葉に耳を傾ける人。
  • 二階部分の窓(?)が閉まっている時に映し出される、桜?の絵が、満開だったり三分咲きもしくは散り終わり?だったり枯れ木だったりするのは初日にも見えていたのだけど、4パターンありました。満開~三分咲きもしくは散りかけ~花無し~枯れ木。枯れ木の時は背景の色も金じゃなくなるしもしかしたら桜の木でもないのかもしれない。絵そのものが別な気もする。
  • で、桜の花がオイディプスの栄枯に対応しているような、もしくはテーバイの栄枯?なのかもしれない。イオカステが出てくると三分咲きになる率が上がるような気がしたけど多分それは気のせい…。
  • イオカステが、ライオスの死を最初に口にするシーンで、3本の道が交わるところ、って云う時に床にY字の照明が当たって、三叉路ができていた。その後にその話が出てくる時にはなかったような。
  • 息子に殺されることを恐れて赤子を殺そうとしたのはライオスだったと思うんだけど、今回はイオカステが殺すように命じてるんだねぇ。しんどい。
  • あ、オイディプスの寝室のベッドサイドに小さなスフィンクスの像があった。テーバイの王になる前にスフィンクス退治してきたんだよね。それでテーバイの王となりイオカステを娶った、と。
  • 先を見通す者、テイレシアスは盲目で、盲目だからこそ先を見通せる、なら、ラストで目を潰し盲目となったオイディプスも、これまで見ることのできなかった先が少しは見通せるようになるのかな、とかちょっと思ったり。
  • 上手側の「神」の光は神の威光・存在を示す時に光る、よね。わりとダイレクトに。イオカステが神託を否定したり神を信じないと云う時は暗くなってる。
  • テイレシアスが追い出される時に、扉の外から光と共に花弁(のようなもの)が吹き込んで、オイディプスが追放される時もあったのであれは…穢れなのかなぁ。美しいと感じてしまうのだけど。
  • 市民たちが入ってくる時とか、クレオンが帰ってくる時とかにはないから、何かしらの神性があるんだと思う。ということは、光を失ったオイディプスは扉を出ることによって神の側に近づいていく、のかな…運命や神に左右される「人間」を脱していくのかな。
  • っていうのは、彼が血に染まった衣を脱ぎ捨てて最後に純白の着物で出ていくのにある種の聖性のイメージと、解脱、清められる感じ、を受けたから。です。初日にそう思ったけど2回目観ても変わらなかった。
  • 市民の存在が面白いんだよね。市民でありながら神に近い感じもする。信者、と云うよりもう少し巫女とかに近いような。
  • 老女がオイディプスに何度も近づこうとして止められる場面があったんだけど何のシーンだったかな。その後、神の呪いを身に受けるオイディプスの背後から這い寄る不穏なモノ、の最初がその老女の手だったような…気がする…。
  • オイディプスのライオス殺しが明らかになる時に、市民たちが倒れるんだけど、倒れた市民たちの死体?をゴム手袋にガスマスクの男が一体ずつ神の光の方へ引きずっていくのが、何だろうね? 疫病で山積みになった死体を処理するようなイメージだった。あれ平原さんっぽい…。
  • ガスマスクの男から神楽鈴を手渡されて謡い、舞うリーダーの男。光の中から戻ってきた市民たちがそれに唱和し、共に舞う。
  • 神よわたしを導きたまえ、運命と共に歩ませたまえ。
  • 所詮人間は運命には逆らえないんだよなぁ神の意志は絶対でどうあがいてもその通りになっちゃうんだよなぁ、って思うしかないんですよねギリシャ神話。まぁ大きく云ったらそうなのかもしれないね。個人で選択しながら生きていてもそうなるのはもう決まっていたのかもしれないよね。
  • 1回目のこの舞いは何となく、だんだん祝祭感を感じるというか。厳かで呪術的でもあって、静かだけど内なる熱狂がだんだんあらわになっていく。高揚感。
  • 詠唱のようなグレゴリアンチャントのような不思議な節回しもすごく…不思議な高揚に巻き込まれる。低く始まるのからオクターブ上がっていくのとか、さらにオクターブ上に重なる女性の声とか、どんどん混ざる掛け声のようなものとか。
  • で、この時の節回しはメジャー(長調)なんだよね。2回目の舞いはマイナーになってた。
  • 宮殿の中(室内)が赤く染まったり青く染まったりもするんだよね。赤はまぁ見ればわかるんだけど青がちょっとまだ…つかめてない。
  • 全てを悟ったオイディプスに這い寄る運命の呪い。運ばれていくのにちょっとだけ鳥の口説きを思い出すなど。
  • 市民がガスマスク着用して宮殿の中に並ぶの、これまで清浄だと思われていた宮殿内が実は汚染の源だった、みたいなことなのだろうか。
  • オイディプスの真実が語られる時に後ろに一列に並んだ市民たちが足を踏み鳴らすのも、ちょっと能とかそういうイメージが。
  • 羊飼いが呼ばれて、証言する時に、神の光を背負って立つのとか、予言の神性とか強さとか、神の言葉を証明するとか、そういう意味に見えるのね。
  • なのですべてを知った時に(もしかして初めて?)オイディプスは神の光に晒される、とか。
  • 市民たちの口から語られるオイディプス像、その時に映し出されるオイディプスの背景には満開の桜。市民たちにとっての王の姿。
  • それを見ているリーダーだけ高いところにいるのがね、またね。何かね。ちょっとね。神官。
  • イオカステの死が再現される時、部屋の枠が白く光る。何かちょっと…ネオンのようで…。
  • さっきまでスーツだったのに両目潰して突然ギリシャ風の衣になって、それを脱いで着物になるの、単純にちょっと面白いなって思います。
  • リーダーの突然のスーツ姿もちょっと面白いです。まぁそれを云ったら配信も面白いんだけど。
  • 血で汚れるアクリル板が効果的だなぁって。どうしてもあの宮殿に安藤忠雄みを感じてしまう…地中美術館みたいだ…。
  • 配信の前にリーダーが警備員に耳打ちするの気になるんですけど何を伝えてるんだろう。子供たちを連れてくるように云ってるのはクレオンだよね。配信の準備の指示?
  • ラストの扉に向かっていくオイディプスが「赦し」を得るような印象、扉の外が清浄な印象はやっぱり変わらず。白い衣なのも白い光が差すのも花びら?が吹き込むのも、あんまりマイナスのイメージではないんだよね…オイディプスを追放すればテーバイの穢れは晴れる、つまり「赦される」、なのかなぁ。今後また別の見え方がしたら面白いだろうなーと期待しつつでもそう見え続けるのかも知れない。わたしのイメージが貧困なせいか…。
  • 扉の向こうへ放逐される…自ら出ていくオイディプスを追って、小さい方の娘ちゃんが駆け出していくのを、お姉ちゃんが「アンティゴネー!!」って呼ぶので、あの子がアンティゴネーなんだな…と。姉じゃないのか。
  • カテコは3回あっさりめ、でした。初日は客席から演出家のマシュー・ダンスターさんが呼び込まれていました。あと未來さんが去り際に一度大きく手を挙げていったよ。