ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

「CITY」@彩の国さいたま芸術劇場大ホール(5/23夜)

 「BOAT」の青柳いづみさん宮沢氷魚さんがやっぱり良かったのと、柳楽優弥さんのお芝居また観たいなーっていうのと、藤田貴大作演出でヒーローもの!?っていうのと、何かいろいろあって「CITY」観てきました。ちょっと寝不足気味で、カフェインで何とか起きられている状態だったので正直大丈夫かな…って心配していたのですが*1、これが全然!! まったく!! 一瞬も眠気が来る隙がない!! 全ての瞬間がとても美しくて、スタイリッシュで格好良くて、刻一刻と変化するパネルの舞台美術、そこに映る光と影、窓とその向こうに見えるもの、見えないもの、全部が素敵で、現代アートインスタレーションを見ているようでした。めちゃくちゃ好みだった…藤田さんの舞台はパネル使いがいつもすごく計算されていてかっこよくて大好きなんだけど、今回も…今回はさらに…洗練されブラックライトやフラッシュなんかも含めた照明と併せて本当に…素敵だった…目が、美味しい~!!ってずっと喜んでる舞台だった……。

saf.or.jp

 藤田さんがヒーローもの、というのも想像つかなくて、始まってみたらわりといつもの、断片的なセリフが繰り返されたり時間や場面がリピートされたり、そういう感じですよね!って思ったのだけど、柳楽くん演じる主人公がヒーローとして登場してからは一気に、本当に(笑)ヒーローものになって、意外だけどめちゃくちゃヒーローものでした! 異能バトルヒーローものだった! 施設で育った子供たちが持つ特殊能力とか、連続猟奇殺人事件とか、そこに重なる都市全体を狙ったさらに大きな犯罪とか、特殊能力で戦うバトルアクションとか、たぶん普通に少年マンガ*2になるストーリーで、でも舞台上にそれが立ち現される手法というか言語というか手段というか、が藤田さんで…藤田作品なのに(?)ちゃんとヒーローもので…そこがというかそこも、面白かったです。意外性なんだけどしっくりもきている…不思議な触感…でもとりあえず好き…。衣装がANREALAGEでそこもかっこよかった! 基本みんな白いんだけど、異能発揮しているヒーローモード発動中はブラックライトが当たって蛍光グリーンの柄が浮かび上がったり、ブラックライトで光るドレスでランウェイ的なシーンがあったり、白VS黒の同型色違い衣装で最終決戦だったり、クールで硬質な文体で語られるけど展開はめっちゃ胸熱で…良かった…面白かった…ラストはちょっと、あ!?ってなったけど……。

 チャプター分けされた、章立てされた本みたいな構成もいつも通りで、舞台上を常に流れるように動いているパネルのセットもお馴染みな感じだけど、壁、窓、鏡、窓外、扉、壁に映る光、壁に落ちる影、などがとても印象的で美しかった。席が後方ちょい下手だったけど、あんまり前だとあの美しい舞台美術を堪能できなかったんじゃないかな…ちょうど良く全部が観られて良かった。窓のある壁が流れるように横移動する一瞬、窓の向こうに見える誰かの横顔、が切り取られて目に飛び込んでくるのがすごく、はっとするインパクトでした。ほんと美術素敵だった…。

 柳楽優弥さん、からりとした明朗さと苦悩の影どちらも真っ直ぐで、とても主人公らしいヒーローでした。登場するとヒューウ!ってなっちゃうヒーローっぷりかっこよかった~! 宮沢氷魚さん、主人公の幼馴染役めっちゃ素敵だった…スケボーですうーっと移動するスマートさといったら。マンガだと一番美味しいポジションになるやつだ。主人公の妹、青柳いづみさんはこれまで観た役とはまた違って、無邪気で可愛らしい雰囲気で、あの声はそっち側でもいけるのだな…と勝手に納得しました。にゃー、って可愛かった…でもやっぱり終盤にはその声に泣かされてしまうのだな。今のところ青柳泣かされ率100%なんですがわたし。ヒーローと敵対する井之脇海さん、存じ上げなかったのだけどシュッとしてて良いヒールで、特殊能力の表現も面白かった! セグウェイ的なものですーいと移動するのも異能っぽくてかっこよかった(笑)。猟奇殺人犯役の内田健司さんはさいたまネクストシアターの方で、「第三世代」でドイツの子だった方です。また全然印象が違って…良い猟奇っぷりでした…顔にかかった前髪が神経質そうで良かった…。菊池明明さん、藤田さんのロミジュリにも出ていらしたよね、先輩強くてかっこよかったです。警察組も良かった…けどどうして……。あっあと獣医の先生めっちゃつよかった(笑)。すごい、マンガ的なキャラクターがいっぱい出てくる…のに藤田作品…不思議…。

 窓と鏡、窓と目、カーテンと瞼、光と影、別々に語られるものたちが次第に、くっきりと相似や対立を為していくのが見事でした。光を失った目、外界に通じなくなった窓には鏡のように己の姿が映し出される、のだろうか。猫の目に都会の夜はどう映るのか。白いレースのカーテン越しみたいな、白内障の犬の目には。脅威は海の向こうからやってくる、的なところには「BOAT」を思い出しました。藤田貴大の詩的な世界と、都会の闇を駆けるヒーローが、こんなにベストマッチするとは思わなかった…大好きです。

natalie.mu

spice.eplus.jp


 収録カメラが入っていたので、放送にちょっと期待しつつ。もう一回観たいよ~表情とかも観たいよ~。当日パンフ(配布)がA5両開きクリアファイルになっていてすごく可愛いんだけど、パンフ部分が紙片で挟まっているのでクリアファイルに使えない…出したら紙片どっかいっちゃう…。

f:id:xxkyrixx:20190524115308j:plain f:id:xxkyrixx:20190524115312j:plain

*1:なので開演前にもカフェオレ飲んでおいた

*2:ジャンプじゃなくてスクエニ