ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

「鉄コン筋クリート」@銀河劇場(11/18夜、11/25夜)

 玉置玲央さんご出演ということで、初日と楽を観てきました。主演は乃木坂46若月佑美さんと、前髪短い水戸なつめさんです。何だか、発表から上演までがやたら短いというか短期間だったので、どうした…って思ってたけどね。何だったんだろうね。

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 初日観て、正直最後まで乗り切れなかったというか、入り込めないままで、これいつおもしろくなるのかな……ってなってしまいまして。つまんないってほどではないんだけど、あと役者さんはがんばってるのもちゃんと伝わってくるんだけど、それにしても…なにもひっかかるものがなくて……玲央さんは良かったんだけど……うーん。首をひねっているうちに終わってしまった初日だったのでした…悪くはないけどとくに何も残らない、不思議な感じだった…玲央くん演じる沢田は素敵だった…。

 そんな無味乾燥な感じになってしまった初回でしたが、まぁ初日だし、舞台って始まってからどんどん変わっていくし、といっても上演期間も一週間という短さだからね…どうなのかしらね…。しかも初日はすっごい後方だけど一応1階席、楽は3階サイド、と席もあんまりどっぷり世界に浸れるような雰囲気でもなく…でも最後は見届けましょうと行ってきたわけですが、これが初日よりずいぶんと楽しめたので結果オーラいでした。良かった…相変わらずあーんまり入り込めない感じではあったけど、これはもう脚本と演出(との相性)の問題ですね! 役者さんは悪くなかった…特にシロ役の水戸なつめちゃん、キャラ的にクセが強い分作りやすいというか掴みやすそうではあるけど、それを差し引いても良かったです。沢田と絡むシーンがもれなく良かった(笑)。クロの方が何というか、特に前半は云い方悪いけど美味しくない主役っぽい感じで…後半の豹変が見せ場だとは思うんだけどね。キャラクター的に割を食ってしまうところがあったかもしれない。狂気の表現とかアクションとか、すごいがんばってたし器用だなー良く動けるなーと思ったけど、引き出しの少なさというか…選択肢の少なさというか…豹変前で一本、豹変後で一本、みたいな、一本調子な感じがどうしてもね。でも細くてお顔綺麗でとても美しかった…美しいクロだった…シロも可愛かった…沢田も美しかった…顔面偏差値爆上げな松本大洋だった…。

 全体の印象が、「原作エピソードの抜粋」感の強い、ツギハギでとぎれとぎれな感じが強くて、それが世界観に入り込めない一因だったように思います。つまり演出…。そしてツギハギの場面がクライマックスに向けてぐわぁっと盛り上がっていく感じも特にないまま終わってしまう(最後の方はちょっと良かったけど)のは…脚本……。舞台美術は漫画のコマを拡大したような宝町のセットで、大きな転換はなく机とかソファとかで場面を作っていく感じで、それは良かったんだけど…。とりあえず、原作に思い入れがないのと、たぶん原作ともあんまり相性が良くないんだと思いますわたし。残念。

 …なんてネガティブな感想になりがちでアレなんだけど、でも楽は(初日より全然)楽しめたし、楽ならではの会場の熱気も楽しめた*1し、カテコのご挨拶はちょっとじーんとなったし、とにかく主演の若い二人がすっごいがんばっていたのはとてもわかるので、うん。若月さんはグループを卒業されるんですよね、素敵な女優さんになって下さい。

 すっかり、沢田が出てくるとオペラを構える人*2だったんだけど、沢田はとても…素敵で良かった…。前半、ブルゾンのポケットに両手突っ込んで藤村刑事の後ろを歩くだけの人なのかと心配になった(笑)けど、後半けっこう見せ場もあって…シロとだんだん心を通わせていくところとか、シロが沢田の胸に手のひらを当てて、沢田も心のネジいっぱいないのね、って云う場面とかは…良いシーンでした…。沢田、ブルゾン脱ぐとモノクロボーダーのタートルネックジーンズなんだけど、タートルネックがその下の筋肉をまったく隠しきれていなくてとてもけしから最高でした。あと玲央くん出てくると、そして玲央くんが口を開くと、その瞬間から舞台上に「演劇」が満ちるというか、「あっ今演劇観てる!」って感じがするので、沢田が出てくると演劇になるんだ…。最近観た玲央くんのお芝居があまりに恵まれ過ぎていて素晴らし過ぎて夢のよう過ぎたので、ちょっと、あれら*3を基本にしてしまいがちで良くないね…あれはほんと夢みたいだったからね…。でも沢田は良かったんだ。

 銀河劇場で坂さん主演でって考えると「半神」を思い出すんだけど、「半神」はめちゃくちゃ良かったし演劇の渦に勝手に体が呑み込まれていくような高揚感がすごかったし主演のふたり*4もとても良かったし…ってなって、でもあれって脚本は野田さんだし演出中屋敷さんだし、……やっぱり演出と脚本って大きいな……と、あたりまえのことだけど改めて身をもって知らされると唸ってしまうのでした…うーむ。

*1:流石坂さん、男性ファンだらけでアウェイな雰囲気が面白かった

*2:タイミングも方向も周囲と合わない

*3:「お気に召すまま」とかおろシェとか「くじらむら」とか

*4:「半神」もW主演の片方は坂外の方でしたね。そういう契約でもあるんだろうか