ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

「Is it worth to save us?」@神奈川芸術劇場大スタジオ(11/1夜)

 2日目観てきました。演出、構成的に大きく変わった点はなさそう…と思ったら最後にびっくりした2日目だった(笑)。思い出すと笑顔になる作品だなぁ…面白いなぁ。いつもと何というか、雰囲気が違うというか、読み解きにくい…にくいっていうか方法論が違う気がする、のは、そこが伊藤さん要素なのかな。でも、見知らぬ感触はとても興味深いし新鮮で楽しい。まだ全然、ぼんやりとしたイメージも靄みたいでまとまらないけど、昨日よりは多少、ものを考えながら観られた、と思う…ぼんやりだけど…。でも、ふたりがひたすらチャーミングなので、それでいいような気になってしまいます(笑)。

 いつもだけどいつも以上にまとまらない、ふんわり印象なんかをちょこっと。流れとかも。

 

 

  • 客席に入ると上手奥でこちら側に足の裏を向けて、胸の上で組んだ手の上に薔薇の花が1輪置かれ、未來さんは仰臥している。どうしても埋葬っぽいイメージになってしまう…。
  • 伊藤郁女さんは水の入ったグラスを手に、舞台上をぶらぶら…という擬音が全く似合わない、とても優雅なぶらぶら姿なんだけど(笑)。お客さんにニコニコ手を振ったり、お洋服素敵ね、とか暑い?とか風邪ひいたの?とかジェスチャーでいろいろ話しかけてくる。のがとにかくキュートでチャーミングなんだ!! 可愛いんだ!! もう大好きです(笑)。
  • そのうち開演アナウンスがあって、さらに郁女さんがいろいろしているうちに、仰臥していた未來さんが目を覚ますように起き上がる。ピンク色の薔薇1輪を手にして、お客さんを任意にそこのキャップの方、とか指定して、質問をする。
  • 家に花を飾っていますか?とか、ペットを飼ったことはありますか?とか、流れ星を見たことありますか?とか、今日嘘をつきましたか?とか、最近大笑いしたことはありますか?とか。周りにエイリアンはいますか?って訊いて、いないと答えられてちょっと不満げなお顔をする。UFOを見たことありますか?とかも。
  • アドリブじゃなくてちゃんと決まっている内容ですね。訊いて答えるだけ、じゃなくてちゃんと突っ込まれたり会話になる感じです。フランク。
  • その間、郁女さんは黄色い花のたくさん付いた枝を持って、膝でいざったり、何だか自由気ままな感じに動いている。空を指さしたり。何だか小さい子供みたいな、あどけない表情をしていて目が離せなかった…。
  • 上手の奥で薔薇と踊る未來さんも素敵。なのだけど、途中から花弁をむしって食べてみたり、そのうち花を丸ごとむしゃむしゃ食べてぶほっと吐き散らかしたりする。今日は途中で噎せてた(笑)。
  • でも吐き散らかされたものもピンクの花びらでちょっと綺麗なんだよね…。
  • 郁女さんは2歳から、子供の頃のエピソードを語り始める。可愛いし面白いエピソードなんだけど、大変そうというか…自分は周囲と何か違う、ことに戸惑いながら生きてきた感じがとてもあって、未來さんも云っていた「生きづらさ」わかるなぁって。
  • ふたりでゆっくりとした動きで踊る。郁女さんの黄色い枝を受け取る風でなく受け取る未來さん、未來さんのシャツの後ろ首からピンクの薔薇を1輪引き出す郁女さん。
  • 未來さんはグリーン系のグラデーションが綺麗なシャツ、ベージュのクロップドパンツはお尻の右ポケットだけ生地違いの柄(薄色チェックかストライプ?)になっている。お団子に裸足。
  • 郁女さんは赤地に紺?の小さい柄が並んだ、胸元だけボタンのあるワンピースに裸足、髪は後ろで低いポニーテール。
  • 黄色い枝をコップの水に生ける未來さん、郁女さんは薔薇をそっと床に置いて、茎の切り口にコップの水を少しかける。
  • 香水とかアロマディフューザー的なものを持ってくるのはここだったかな。香り、ほんのりするような…あんまりわかんないような。未來さんがエッセンシャルオイルを肌に直接塗るのがちょっとヒヤヒヤする(笑)んですが希釈してあるんですよね?
  • 郁女さんの香水付ける姿が何か可愛らしくてコケティッシュで好き。
  • コップに差した、床に置いた、花を手で持つふりをして、手に花を持ったふりのまま踊り出すふたり。ユニゾンだけどたまに違って、違ってもまたユニゾンに戻る。似た者同士感がとても良いなって。
  • 手に何もないんだけど途中まで確かに花が見えるのも素敵だなぁって。
  • 音楽がピアノとかタンゴっぽい低弦の音にたまに鼓みたいな音が混ざって、お能みたいな動きや足で床をダン!と踏んだりするのもちょっとそういう雰囲気っぽくて、でもタンゴっぽくも見えて、和洋入り混じってる印象が面白い。和テイストが明らかに出てくると、ジャポニスム向け?って思ってしまうんだよな~(笑)。
  • 未來さんは上手の奥に引っ込んで、郁女さんひとりで踊りながらだんだんワンピースを脱いでいく。脱皮のようにも、人間性を脱ぎ捨てて無機物になっていくようにも見える…裸なんてとても「人間」を感じるはずなのに、そう見えなくなっていくのが不思議なんだけど、でも郁女さんの身体はちょっと無機質な感じもするんだ。
  • 上手の奥では未來さんが、赤いほの暗い照明に照らされながらやはり服を脱ぐ。赤い陰影が浮かび上がる背中が本当に美しいんだ…彫刻なんだ…。
  • ワンピースを脱ぎ捨てると一緒に人間らしさも脱ぎ捨てた郁女さん、人形めいた動きでニュートラルな表情で、文楽みたい。操られているようで、無表情だけどその無表情なところに情感や表情を感じ取れてしまう、みたいな。能面とか人形とかのイメージ。
  • 四角く照明で区切られたスペースの中で、空を仰ぎ、星を欲しがる少女、の人形。に見えた。手の届かないものに焦がれる少女の人形。
  • そこに一羽の鳥が現れる。鳥は空を羽ばたき、少女の肩に止まる。と、鳥だったものは姿を変えて何か異形の四つ足のものになる。その四つ足の頭をそっと撫でる少女。四つ足の背中に乗り、ゆっくりと歩くけど、四角く区切られたスペースからは出られない。
  • そのうち四つ足は動きを止め、体は力を失い、闇に消えていく。四角の中にひとり残された少女、鳥を探すように空を見上げるけどそこにはもう何もない。四角からは出られない、変わらぬ日々。暗転。
  • …みたいな!! 印象!! でした!!! あくまで個人の印象です!!!
  • 異形の未來さんが美しくて哀しくて可愛いし、郁女さんは裸なのにお嬢様の文楽人形に見えてくるたおやかさと人形っぽさだし、ほんと文楽みたいな一幕なんだ…。
  • 未來さんの背中に郁女さんが乗ってしずしずと歩くところ、途中で二人でアルカイックな笑顔を作って宙に向けるのも、人形っぽいなぁって。笑ってるけど何も見てない感じ。からっぽな感じ。でも情感豊かなんだな…。
  • 闇に消えた未來さんが奥で服を着て、金魚鉢を手に出てくる。2歳、からエピソードを語っていく。
  • …ほんとよく無事にここまで生きてきたよね…頭何針縫ってるんだていう…頭以外にもいろいろ怪我してるんだろうし失神とかびっくりするしほんとあの…さすがに今はそんなことないだろうけど、大事にして下さいね大事な身体なんだからね…?
  • 前日に腕骨折して森林学校行けなかったのも可哀想…。両親のベッドで目が覚めたら、っていうのどこかで聞いたことあるなーきゅうかく? あつめての方?
  • 語りながらムーヴメントも。自転車で転んで右腕を骨折、の時に右側から倒れたりとか。
  • …ってことは金魚鉢は持ってないな。いつ置くんだろう。でも置いてた。
  • 未來さんが金魚鉢持ってくるのと一緒に、郁女さんは四角い水槽みたいなのを持ってきて、きっとあれはトカゲだよね。
  • 未來さんの金魚と、郁女さんのトカゲ。子供の頃可愛がっていた、死んでしまったものたち。
  • 金魚鉢と飼育ケースが舞台の前方、花やコップやディフューザーの前に置かれると、花やコップたちがお供え物みたいに見えて、死んでしまった小さな友達の供養みたいに見えてくる。
  • 金魚鉢の中に金魚っぽいものが見えるんだけど、もしかしたら浮いているのかもしれない。死骸なのかもしれない。飼育ケースの中はたぶんトカゲ飼育セットみたいな中身が入っているんだと思う。トカゲの死骸もいるのかな…。
  • 動く未來さんに、途中で下手の奥から郁女さんが「みらいくん! みらいくんみらいくんみらいくん!! もりやまー!!」とか呼びかけて、途中で「あっ、はい?」って踊るのをやめる未來さん。に、郁女さんが「ねえマイケルって本物? 偽物? どんなだった? ねぇそれほんとにマイケルだった? 誓ってマイケルだった?」と応える隙を与えない勢いで絡む。
  • 郁女さんの勢いと圧がすごいんだけどこれがまぁウザいやつでね!! あー…、いや、叔父がね、黒づくめだったって云って…って答えようとする未來さんに構わずずーっと本物? 偽物? アオ!って云ってた? ムーンウォークしてた? 本物ならするでしょムーンウォーク?って…ひたすらウザ絡みする郁女さん。だんだんイラッとしてくる未來さん、まくしたてる郁女さんの顔をぎゅむっと手で掴んでぽいっとどかしたり、突き飛ばしたり、するけど全然勢いが止まらない。
  • で、スリラーまで流れちゃうしゼログラも真似するし、また郁女さんがウッザい(笑)んだけどテクニックとキレがプロなのでウッザいのにちょっとカッコイイっていう……キレッキレモンスターじゃん…。
  • そのうち郁女さんの首を絞める未來さん、ぎゃあああってなりながらもやめない郁女さん。首の絞め合いがだんだんオモシロいことになってきて、ギャー!!と奇声を発しながら二人しててきとーなマイケルダンスになだれ込む。
  • 未來さん今日はやけっぱちみたいに見えたよ…。
  • そしてわたしはそれをどんな顔して観ていたらいいのかわからなかった……。
  • 笑い飛ばせばいいのかも知れない、と思いつつ、どうしても笑えないんだよな…なんでだろうな。
  • ただ、郁女さんの「ウザ絡み」はきっと、これまで未來さんがマイケルを好きだと云うたびに毎回、されてきたやつなんだろうな、と思います。それをこんな風に、舞台の上に乗せられて、しかも笑える(わたしは笑えなかったけど)ように料理して見せるのは、まぁそんなこともあってムカついたこともありましたよ、みたいな感じなのかな……どうなのかな………。
  • でもやけっぱちみたいに奇声発しながら踊るのを観るのはちょっと胸が痛い。これはわたしの個人的な感想というか感傷だけど。
  • あと、そんな適当なのじゃなくて本気のやつが観たくなりますね!!! くっそーーー誰よりもかっこよく綺麗にめちゃくちゃキレッキレに踊れるくせに!!! 知ってるんだから!!!(笑)
  • さんざんバカ騒ぎ(笑)して、ばたっと倒れ伏すふたり。しばらく息を整えて、倒れたまま未來さんが英語で歌い出す。と、立ち上がってステージの上下袖からそれぞれ、持って出てくるのは、マイクスタンド!
  • 「レッツ・コール・ザ・ホール・シング・オフ」を指を鳴らしながらとても良い声で歌う未來さん。何か、前より声が幅広くなったというか、太さと厚みが出たというか…筋肉で身体大きくなると声も変わるよね~。美声に磨きがかかっています…うっとり。
  • 隣のマイクスタンドで郁女さんも指を慣らしてリズムを取って、続きを歌う。郁女さんの歌はやっぱり可愛らしくてキュートなんだな!
  • 間奏の間にお互いのマイクスタンドを寄せて、また未來さんが歌い出す。その間に下手の袖に走って、何やらいろいろ乗っかったトレイを持って出てくる郁女さん。トレイに乗ってるのはトマトがいくつか、タッパーみたいな容器に入った赤いケチャップ? ジャム?みたいなもの、紙皿に盛られたホイップクリームホイップクリームの缶、など(笑)。
  • で、歌う未來さんめがけて、両手で握りつぶしたトマトを投げつける郁女さん(笑)。どんどんべしょべしょになっていく未來さん、でも歌い続ける。今度は紙皿のホイップクリーム(所謂パイ皿ね)を顔面にべしゃあ!っと。クリームまみれの未來さんにさらにクリームを塗りつけ、赤いケチャップっぽいものをさらに塗りたくる。
  • で、自分のマイクスタンドに戻って自分のパートを歌い出す郁女さん、今度は未來さんが、潰したトマトを投げつけ、潰れてないトマト2個をワンピースの胸の中に突っ込み(あら良いおっぱい)、紙皿に山のようにスプレー缶からホイップクリームを出してそれを顔面にクリーンヒット、さらに赤いのも塗り塗り。
  • マイクスタンドに戻って歌う未來さん、郁女さんがそのマイクを上手に下げちゃって*1、さらに何かする。潰したトマトを未來さんのズボンの中に入れようとしてそれはダメってされたりとか(笑)。でも結局半分潰れたようなのを入れてた。股間にトマトin。
  • 苔?とか頭に貼り付けたりして、黄色い枝を未來さんに咥えさせる郁女さん、郁女さんの髪に薔薇を差す未來さん。ゲテゲテなお互いを見てよし!ってサムアップし合って、そこからはめくるめく夢のようなダンス…。
  • リフトしたらおっぱいトマトが落っこちたり、綺麗なリフトからオモシロいことになったりもしつつ、でもほんと久々に見る未來さんのスタンダードな美しいジャズうっとりです。やっぱり綺麗だよーー!!! ふんわり素敵だよーーー!!! 顔面クリームで股間トマトでも美しいよーーー!!!
  • 黄色い枝咥えながら踊る未來さん、今日は途中で枝の花付いてる方が折れたのか落ちて、根本の枝の方だけずっと咥えて踊ってた。
  • アメリカ英語でもイギリス英語でも、日本人でもフランス人でも、地球人でもそうでなくても、マイケル好きでもそうでなくても、似た者同士でも違っていても、別にいいじゃない? って…云われているような気がした。今回は。
  • 周囲から浮いてる感じとか、馴染めないなー溶け込めないなーって感覚とか、居心地の悪さとか違和感とか、って誰もがきっと感じるもので、自分の居場所はここじゃないとか、どこかにきっとわたしの居場所がとか、そういうのを大なり小なり、きっとみんな抱えながら生きてるんじゃないかな。その微細な違和感を、無くそうとするのか、研ぎ澄ましてみるのか、そもそもそんなものなかったことにするのか、は人それぞれだけど。誰もが宇宙人で、宇宙人たり得るんじゃないかな。って思いました。
  • ダンスが終わりに近づいて、ステージ手前に出てきて手を広げ、クラシカルなお辞儀…にはなかなかならない、みたいなことをする郁女さん、未來さんも並んでお辞儀……にはならない。
  • なんてことをして、??ってなっているところ*2に、直立したふたりの背後からかなりの勢いでスモークが。あっという間に煙に巻かれ見えなくなる。照明が赤や緑の、昔のSFイメージな色になる。
  • 初日はそのまま煙の向こうに消えて暗転していく、母船が迎えに来て宇宙人は帰る、みたいな雰囲気でした。初日は。
  • 今日はスペイシーな照明になった…と想ったら、未來さんが郁女さんに「あすこタイミング違ったよね」とかダメ出し(笑)始めて、郁女さんも「うん気づいてたー」「未來くん怖いんだもん」とか云ってて、何だよもうオモシロ可愛いで終わるのかよ!! 可愛いよありがとう!!
  • 先にトマトをズボンに入れようとするのはタイミングが違う、とクレーム入れていました。わかってるわかってる、って郁女さん笑ってた。で暗転と共に声も止まる。
  • そんな楽しい終わり方になった2日目でした! 初日の、ちょっと不穏な雰囲気の終わり方も好きだなぁ。でも夫婦漫才みたいなのもとても可愛かったので甲乙つけがたい…。
  • カテコたくさんでした。回数かぞえなかったけど4回くらい出てきてくれたかな? 最後、袖で拭いてきたようで、ふたりともやっとつるんとしたお顔を拝めました(笑)。
  • あと前に出てお辞儀して後ろに下がろうとした未來さんが金魚鉢蹴倒した。お気をつけて!
  • ハケ際にズボンの中からトマトぽいっとして、潰れかけてたからちょっと中を気にしていたり。シャワー早く浴びてね…!
  • トマトちょっともったいない…さすがにスタッフが美味しく頂ける状態でもないし(笑)。

 とにかく楽しくて、ちょっとヒリッとしたりキュンとしたりもしつつ、愛しいものに満ちた60分です。少なくとも、この「世界」は救いたいし守りたいし大事にしたい愛しさだなぁ、わたしには!

*1:ああ…!ってなっちゃう~もっと聴きたい~

*2:初日は拍手起きてたけど