ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

新感線☆RS「メタルマクベス disc1」@IHIステージアラウンド東京(8/4夜)

 久しぶりにお城で回ってきました。お城というものはすべからく回るものなのである感…年末まで回るんですねすごいな…。

 12年ぶりの生「メタルマクベス」、青山のお城に坂を上って通い詰めたあの初夏の日々を思い出さざるを得ません。松本のプレビュー公演から大坂の陣まで、あれもこれも脳裏に焼き付いて離れないし片時も離すもんかと抱きしめ続けているわよ。きよしの奇行の数々、ジュニア様の麗しさしなやかさグレコの長細さ水分量、松さんのお肌に赤いトレーナー、どんどん削られていった門番のセリフと丹下のおっちゃん、千秋楽ライブでドラムを叩くパール王、ベースを弾くゴーグル付きグレコ殿、嗚呼何もかも懐かしい……。

 と、懐古スイッチがどうしても入ってしまうのですが、今回の鋼鉄城は回ります。新生メタルマクベスです。思い出語りしている場合じゃない。相当回るらしいとかもはやアトラクションとかいろいろ小耳に挟みつつ、後方ほぼどセンターで観劇しました。

 あのね、広い。よこはばが。極髑髏でひろびろ使うなーって思ったけど、まぁ横幅が広い。さらに広げて2画面みたいなことにもなるし、初演で上下分割していた場面が左右分割になっている。そして広くて円形なステージを駆け巡るバイク! 本当にバイクになった!! 足蹴り自転車じゃない!! これは感動した(笑)。わーん未來ジュニア様もバイク乗るの観たかったよー!!(笑)電飾スクリーンも出てくるし*1、バンドブースもあるし*2、スクリーンも180°近くまで使って映像没入感も凄いしエレベーターは上下するし何かすごいね!! お金いっぱい使ってるね!!! 生の音圧と物理の演出でぶん殴ってくるタイプのエンタメでした。すごく豪華だった…。

 脚本は初演からずいぶんと枝葉を取り払った感じで、すっきりしちゃったなぁと。わかりやすく、ランダムスター夫妻の悲劇にきっちり焦点を絞ってきたなぁと。個人的に、初演を観た後に松岡和子版マクベスを読んで「アレも! ソレも! こんなものまで原作通り!?」ってびっくりしたのがとても鮮烈な思い出なのですが、けっこうその、こんなものまで原作通りなの!?な部分がカットされてるような…長々とした修辞の部分とか、3人の魔女以外に出てくるヘカテーとか、原作の時点で??なパートがばっさりなくなっていて、ほんとスッキリしている。けど、あれは一体何だったんだ…ってなる部分が実は原作に忠実だったのを知って余計?!??ってなる感覚、が、今回のdisc1を観た後に松岡和子版マクベスを読んでも、あんまり大きくなさそうだなぁ、と思うのでした…だって開門前のすったもんだも一切ないんだもの…あまりにあっさりした再会シーンで逆にびっくりしたわよグレコとジュニア様。っていうか逆にどうして初演がああなったのか不思議だよ。なんだったんだあれは……。

 っていうか全体的に、めちゃくちゃあっさりしていた…というのがわたしの感想です。演出は派手だしカッコイイし機構はスゴイしエンタメ物理でぶん殴ってくるしほんと凄いんだけど、こんなに凄いのに、透明塩出汁スープ…って感じがして…とても美味しいのだけど薄味に感じてしまった。初演がコッテコテの背脂マシマシ豚骨ギトギトみたいなあらゆる意味で濃厚味付けだったからね…そっちに慣れた味覚には何だか薄かったんだ…いや美味しいんだけど…。物足りない、とは云わないけど、いやこの話もっとパンチあったよね?ってなってしまった。…のは、仕方ないですたまごから孵って最初に観た新感線がメタマクだったんだもの……。あとジュニア様は永遠に別格扱いだから。思い入れが重すぎるやつだから。ごめんなさい。

 ぐだぐだ云ってしまうけど、でもちゃんと面白かったです! それは本当! 3魔女がベビメタちゃんで絶対怒られるやつだったり、ローラの「あの娘のブーツは~」がめっちゃ疾走感あったり、反乱軍揃い踏みが完全に族のカチコミでかっこよかったり、あと2つの時代を広々と開いた舞台で並べてやるのとか、マホガニー城や鋼鉄城の構造がすごい複雑&広くなってたりとか、あと本物バイクとか、バイクとか、良かった点もたくさんあったし、技術の進化に12年という時の流れを感じたりしましたよ。キャストも味は違えと皆さん良かったしお歌は流石だったし*3、松下ジュニア様はイケメンでダンスもキレッキレだったし、山口グレコ殿は渋かっこよかったし。きよしが…っていうのも小耳に挟んでいたので覚悟はできていたけど、もったいない…マイケルやればよかったのに。きよしがあんまり出てこないとマクダフがきよしのツアーに帯同したから新生メタルマクベスのパーティに出席しないって話がなくなるのね…ぐぬぬ。あ、グレコもジュニアも初演のイメージより年上な感じがしました。おぼこいアピールはあったけど成人されている王子だった*4猫背椿さんのグレコ夫人とシマコはとても良かったです! 猫背さんキュートだなぁって鎌塚氏の時に思ったんだけどやっぱりキュートだった。あと初演からキャストが変わって一番違和感がなかったのは門番な。カヲルさんから仁さんになったけどほぼ変わらないのすごい…好きよ門番…。ランディはね、とても良かった! 安定感あるしかっこいいしお歌流石だし、変顔はうーちゃんの方が面白かったけど(笑)、でも素敵なランディでした。新感線のさとっさん、を初めて観たのだけど、なるほど…じゅんさんとの馴染み具合、なるほど……これが「おかえり」なのね、と納得のコンビネーション、納得の新感線芝居でした。安心安定。夫人の濱田めぐみさんはこれまたさすがの歌ウマで!! 流石だ!! ミュージカルだ!! っていうかさとしさんとめぐみさんの夫妻ほんとに帝劇感溢れててミュージカルでした。メタルかどうかはともかく、感。ただちょっと、わたしの耳にはヒステリックさがキンキンしてしまった…お歌じゃない時にね。カッコイイし可哀想だし哀れだしとっても夫人なんだけど…わたしの肌にはちょっと合わなかったかな。うん。あと個人的に寂しかったのは伝令係の吉田とヤマハがまとめられてしまったことな…伝令係のヤマハ(メタルさん)、ってすごく脳が混乱するわ。うっわたしの吉田…吉野家じゃない吉田……。

 初演から続行キャストには文句ありません。大満足です。エクスプローラーお変わりなくだしパール王今回もめっちゃかっこいい……今回もパール王かっこいい……もっと見せ場欲しかった台詞も欲しかった開門シーン欲しかった……カナコさんの宝島少女姿がまた観られて幸せです…あと「SIONかと思った」が残っていてガッツポーズを決めたわたし。それを云ったら「グレコ・ローマンスタイル」が復活していてそこもガッツポーズでしたが。グレコと門番の「ランダムはどうした」「ガンダム?」「ランダムスターだ! 主の名前くらい覚えろ」はやっぱり消えてしまった…(笑)。

 あとちょっと気になったのは、髑髏シリーズでノーストレスな利点だったはずの暗転なし舞台転換が、「間(ま)がない」感になってしまったように感じたこと…。間というか余韻というか、このシーンとこのシーンの間にはもう少しタメが欲しい、ところがそのまま流れて始まる感じがして、メリハリが逆に薄れたように思いましたよ。途切れなく続く=意識が途切れなくて集中できる、没入感、だとわたしも思っていたのだけど、鋼鉄城崩壊から老婆が這い出てくるところとか、暗転で地響きが収まるまでの時間が次の静寂に繋がって緩急というか、少し落ち着く感じが良かったな、と初演と比べて何だか慌ただしさを感じてしまった今回でした。まぁ私感ですが。

 個人的には、初演が観たい!!になってしまうのですが、それを差し引けばとても面白かったし、何よりあの物理と音圧でぶん殴る舞台は体験しておいて損はないと思うので是非劇場でご覧下さい(笑)。冠くんの魂のシャウトは生で聴くべきものだ!! あと「王を弔う歌」が始まると自動的にトイレダッシュの準備をしなくてはいけない気になるの、12年経ってもしみついた習性は抜けないのだなって感じで自分で可笑しかった。青山劇場のトイレは地下の外に増設された方がスムーズに入れるからオススメだよって12年前のゴーストがわたしに囁くの…。

*1:っていうかステアラに迫りってあったっけ??

*2:途中見えないけどあそこにいるんだよね?

*3:レスポール王が…って聞いていたのでそっかって思ってたけど思ったより大丈夫だった!

*4:未來さんも成人してたけど初演1幕の王子はティーンだったじゃん?