ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

「プルートゥ」初日@シアターコクーン

 ついに開幕しました再演プルートゥ、初日を観てきました! 再演といってもキャストも変わっているし、けっこう変わっているんだろうなと思ってはいましたが、うん、すっごく変わっていた! 全体の筋というか場面構成は変わっていないけど、各シーンの見せ方やセット、セリフなど、3年前と全く同じままのシーンはほぼなさそうな。どの瞬間もどこかしらが少し違っていて、印象としてはセリフの追加や小道具の使い方・見せ方の変更で、より伝わりやすい、わかりやすくなっているように感じました。面白かった! 見せ方が変わることによって、受ける印象が違ったり、変わっていない部分が浮き上がってきたり…初演より、よりエモーショナルな印象を受ける、のは、こちら側のスタート地点が前回の千秋楽だから、かなぁ。初回からけっこう泣けてしまって、あれっプルートゥの初日ってこんなだったっけ?ってなった(笑)けど、こっちの感情的には初日じゃないからね…。

 新キャストの大東駿介くん、土屋太鳳ちゃん、吹越満さん、お三方ともとても良かったです! 大東くん、しゅっとしてて色白美人さんのイメージだったから、けっこうおっさんなゲジヒトどうなんだろうとか、未來さんアトムとバランス大丈夫かなとか、若干心配だったのですが、全然。まったく。何も問題なかったです。すごい大人に見えたすごい! 声がまたね、未來さんのアトムは高めに出してるし、大東くんのゲジヒトは落ち着いた低めの声で、とても良い対比になっていた…声大事だね…。もちろん見た目はだいぶ若返ったけど、アトムと並んだ時のバランスが良くて安心しました…身体大きくしたの成功だよね…。太鳳ちゃんはヘレナとウランで、またこれがどっちもぴったりハマっていて同じ人?ってくらい声も立ち居振る舞いもくっきり違っていて、ちゃんと奥さんと妹になっていました。あとウラン踊るの良いね! 踊るというか身体表現の場面がある、というか。ウランが踊ることによって、アトムが踊ることの違和感が抑えられるのと同時に、踊るアトムとウランに特別感が生まれる感じ。他のロボットとは違う、内面の豊かさの発露、みたいに見える。ヘレナはヘレナで落ち着いた大人の女性だったし、泣くことを覚えるシーンはぎゅっとなったし、大東ゲジヒトとのバランスもちょうど良かった。吹越さんのアブラーは神経質そうで原作に近いイメージでした。左手全部と右手の爪が機械化?されてるの、わかりやすくて良かったなぁ。2役目の教授も全然違うひとになってて面白かった。あの辺のシーン、初演ではゲジヒトと音声のみだったのが、下宿の女性も教授もちゃんと役者さんが出てくるようになって、より印象的な場面になっているのも改変成功ポイントだと思います。チューリップの演出も良かった! 綺麗だったし象徴的で存在感あった…。

 未來さんはもう、出てきた瞬間に少年でアトムで、三十路のぞろ目の欠片もなく流石でしたよ…何であのひとがあんな幼気な少年になるんだ…不思議過ぎる…少年という概念を体現している…。個人的に、飛び立つ前のアトムが直立でホバリングしていたのがめちゃくちゃツボでした。ホバってる!!!って感動してしまった(笑)。墓地のシーンでの彫像ポージングがカッコヨくなっていたのも面白かったな…初演座ってたよね…? マニピュレイターさんたちが、前半のアトムには白服で、後半目覚めてからは黒服になったのも良かった…憎しみを知ってしまったアトムの「心」を示しているようで。それを「汚れ」とは思わないけれど。愛情を知り悲しみを理解し、ロボットが感情を得るのなら、怒りや憎悪だって同じ感情なのだから得なくては、得るべきだと思うのね。それらを知った上で、それらとどう対峙するか、その感情をどう処理するか、が大事なところだと。アブラーのように悲しみが憎悪に変わることもあるし、アトムのように憎しみや怒りを悲哀に昇華することができるかも知れない。人に感情がある限り、憎しみは世界から消えることはないと思うけど、抱えた感情をただそのままぶつけるのではない、別の何かに昇華/消化することができれば、連鎖は止められる、んじゃないかな…と、怒りと憎しみに駆られたアトムの手を止めたゲジヒトの想いを、思うのでした。赦す、って何だろうね…どこから生まれるんだろうね…。

 初演と違う点、変わっていない点、いろいろあるけど、ちょっと今日は眠気限界なのでこの辺で。あーとりあえずアトムのジュースがやっぱりネクターで嬉しかったのと、2幕冒頭でお祈りしている人がお祈り後に上手側セットの奥から出てきてお酒飲みながら、アリにあっち向かせている間に缶からお金くすねてたのは書き留めておく…アリの缶にアブラーが3回お金入れて、アリのマイドアリー!も3段階になってたの可愛かったですハイ。