きゅうかくうしお Vol.0「素晴らしい偶然をあつめて」@原宿VACANT
終演してしまった…短くて、あっという間で、でも観ている最中はほんっとうに濃厚で濃密で凝縮されていて、時間的には短いのに密度が濃い分終わった後の満足感と疲労感もすごくて*1、そしてあまりにあっという間過ぎて夢だったのかな…なんて感じがしてしまう。けど、瞼の裏に残っている、耳の奥で鳴っている、鼻腔の奥に吸い込んだ、お尻の下から直に感じた、それたちは確かに、わたしの「体験」であり、あの場にいたみんなで共有した経験であり、やっぱり夢とは全然違っていて、良かった夢じゃないんだな、と思い返せる記憶であって。そのくらい、「夢のような」ひと時が連続した1時間ちょっと、でした。
きゅうかくうしおの公演って、少なくとも前回は、その瞬間の森山未來が何を考えているか、どう思っているか、だったり、決意表明のようなものであったり、心情吐露とか述懐とか、何かしらそのようなもの、で出来ているとまでは云わないまでも、その割合を大きく含んでいるもの、という認識なので、今回もきっとそうなんだろうなと思って観てはいたのですが、うん、なかなかね。わかんないものはわかんないよね。7年前も結局は、「わたしはそう受け取ります」止まりだし、なので、今年も、わたしはどう受け取ろうかな、という感じが基本スタンスです。果たして受け取れたものは何かあるのか、意味のない言葉や動きや行為なんて少しも含まれているはずはないのだけど、その中からどれだけのものを拾い上げられたのか、わたしにはどう見えたのか、何に見えたものを拾ったのか、何と思って拾ったのか。たとえ全然違っても、それは仕方ないというか、そういうものだし、合ってるか違っているか確かめる方法もないので、こんな風に見えました、です。でもあれだね、7年前に比べるとより抽象的というか、前回はいろっいろ盛り込んだりキャラクター性が多少あったりセリフがもっとセリフだったり、ずいぶん違ってたんだなぁ…*2。7年、長いのか、短いのか、ちょうど良くわからない時間くらいだな。
大まかな流れは整理できたので、時系列がちゃんと把握できました。あとは感想とか印象とか妄想とかを。
- 入ってくるのはいつも階段から。そうそう7年前は入ったらもう居た回と、階段から登場回があったんだって。*3
- こんにちは、とか、初めまして、辻本智彦です、とかご挨拶から始まる。あとは「日常にある一言シリーズ」みたいな一言を変わりばんこに。「火、貸してもらえます?」とか「お客さんこういうとこ初めてー?」とか(笑)。相手が云った一言に「あるねー」とか「…え?(笑)」みたいなリアクションも。
- 「そんなとこで寝てたら風邪引きますよー!」はむしろ云われた方じゃないですか(笑)。寝てませんよー!(笑)
- 辻本さんの、好きにしていいよ、が何かセクシーだなぁって。
- 壁際までゆっくり後退して、壁に背中がついたところで石のサークルを囲む。石に向かって「初めまして」とか「音楽聞かせてあげるよ」とか、客席に向かって云った言葉と同じものを浴びせる。のは、石は観客でもあるのかな、とか。こちらがふたりを観ているけど、ふたりもこちらを見下ろしている感(笑)。
- ひとつずつ同時に石を選んで、自分の脇に置く。
- 初日はこの時、それいいねーとか、これ何かひっかかるわーとか、逆に嫌いなのはどれ?とか云いながら拾ってたけど、無言になっていました。
- 同時に同じ石を選び、一緒に持って、ぐぐーっと互いの力の拮抗を感じながら、元に戻す? のか、別の場所に置く、のか。
- 石を置くとき必ずそっと置くのが何か印象的なんだな。落とすときと置くときの差というか。
- 一緒に持った石をそっと置く、のを合図のようにして、ふたりでどんどん石をランダムに離して移動させていく。ばらかすように舞台中に広げて置く、その動きも美しい。ついー、と重い石を滑らせたり。
- 上手奥で正座をする未來さん、そのまま膝の前の石に額を付けて前屈体勢に。こつん、と音がするんだよね。
- 辻本さんは石を片手に、置かれた石の上を飛び石みたいに踏み渡りながら、今食べている鶏肉がオスなのかメスなのかわからない、とか鶏肉の話を始める。
- ニワトリのおうち、ごはん、って云うの可愛いなって。
- 未來さんが一度起き上がってまたこちんと石に額を付ける。
- 貨幣の成り立ちとか。確かに原初の貨幣は石だったよね…貝殻とかね。
- 初日はこのくだり全部を辻本さんがひとりで話してたけど、途中から未來さんが後半…ベジタリアンとかビーガンとか鶏肉が嫌いな人は安くても買わない、鶏肉が大好きな人は高くても買う、の辺りから未來さんが動きながら…石をひとつ拾って、その手を捻った身体の反対側から落とす、とかをやりながら、話すようになった。
- 高いとか安いとか、同じひとつの命なのにね。
- 床上のひとつの石を、人差し指でびしっとまっすぐ指差して、それを拾って動く、その指が綺麗だなって。
- 片膝を付いてしゃがみ、両腿を片手で一気に叩く動作は、WALLFROWERをちょっと思い出したり。
- 直線的なフォームを伸ばした両手で作って横移動するのとかも印象的。
- 人差し指を天に突き立て、逆の手を体に回すようにしたり、顔の前に前腕を横に出したり、するのも好きな動き。
- 片膝をより深く曲げて斜めの体勢で、舞台上を一周ひょこひょこと回ったり。
- 辻本さんは上手奥の辺りで石を積み上げている。
- ひとつの石を手に、石を枕みたいにして仰臥して、額の上に石を乗せる未來さん。
- 立てる、じゃない。積む、じゃない。重ねる、じゃない。与える、
- 与える、に間髪入れず留守電の音が入る。
- 立てるじゃなくて、積むじゃなくて、重ねるじゃなくて、与える、のは、そのまま見れば石のことだけど、積んだ石が人に見立てられるのであれば、それはやっぱり「人」なんだろうな。与える、のは、間違いなく「そこ」であれば綺麗に立つことのできる一点、とか?
- 石を立てる時、何度も同じ石で試行錯誤して、立つ1点を探す、というよりは、もう最初から大体ここで立つ、みたいなあてが出来ているように見えるのね。たぶんその石は、その一点以外では立たないんだろうな、っていう「そこ」がある、みたいな。それってひとの在り方、みたいなものなのかも知れない、とか。
- その一点を与えてあげさえすれば、立つんじゃないかな、とか。自分自身に、その一点を与えれば、まっすぐ立てるんじゃないかな、とか。あるいは見つける、なのかな。
- 留守電は、辻本さんすみません、って感じね(笑)。結局その日は無事に会えたのかな。
- 最後の、「ボンジュール、うしおととら、メルシー、きゅうかくうしお」は、7年前のそのまんまで、ふわっ!となってしまう。シトロとラタ今でも大好きです。
- アラレちゃんの歌の続きを口ずさむ辻本さん、「ブタさんほけほっほー…」って。ホーホケキョじゃなかったっけか。わざとか。
- 水が滴り落ちるような高い音、ポコポコと水中みたいな音がたまに響く中、額に小石を乗せた未來さんがゆっくりと起き上がり、石を乗せたまま舞台を静かに一周していく。
- 辻本さんは低い姿勢で四つんばいに舞台を横切り、未來さんが仰臥していた同じ場所に寝転がる。
- 石を乗せたまま一周した未來さんが、辻本さんの傍に立ち、ずっと仰向いていた顔をゆっくりと戻すと、額から石が落ちて、それを受け止める辻本さん。
- 石を額から落とした未來さんが、瞬きを数回して意識が戻る(?)感じになる、それまでのお顔が、何だかやたらと困り顔というか下がり眉というか離れ目というか、いつもと違う顔になっていて、瞬きしてふ、と意識を戻すと途端にいつものお顔になるのが…不思議で…何が違うんだろう…。
- 石を受け止めた辻本さんが自分の額にそれを乗せて、ゆっくりと起き上がろうとする。のを、「ちょちょちょ(笑)」と止める未來さん。ここで空気がふわっと緩むの好き(笑)。
- 次俺の番、とかやらせてよー!とか云う辻本さんを、ぼくいまだいぶ長いことやったから、もっかいやるとお客さん「……」ってなっちゃうから、と止める未來さん。ここのやりとりほんと可愛い~。
- 「じゃあ速くやるから!」って早回しみたいに起き上がろうとする辻本さんに、「いやそういう問題じゃないしそれ違うから」って、額と胸をそーっと押し戻して寝かしつけるの可愛い。
- やらなくていいですよ、ってお断りする未來さんに「やらせてよー!」って駄々こねる辻本さん可愛い。
- その場を離れる未來さんの隙を狙って起き上がろうとする辻本さんを見て、「だからやんなくていいって」と辻本さんが積み上げていた石を蹴り崩す。と同時に辻本さんがばたり、と倒れ込む。やっぱり積んだ石は誰かなんだ。
- 未來さんが石を上手側にかき集めて積むと、辻本さんの身体が蠢き出す。崩れると大きく跳ねたり、石とリンクして動く。
- やがてふたりで各所に積み始める。かき集めて、集めた石を全部使って小さな祠みたいに積み上げていく。目の前で石を積む未來さんの、顎先や鼻先から滴る汗が、石の上に落ちていくのをじいっと見てしまった。
- 楽は何か儀式の場みたいな祭壇みたいなものを作っていた(笑)。
- 最後の一箇所はふたりで一緒に積み上げて、残った最後の石ひとつを奪い合う。
- 石の取り合いから始まるコンタクトがとても激しくて、ほぼ取っ組み合いのケンカじゃないかって感じで、どんどん激しくなっていって、積んだ石をどんどん突き崩しながらひとつの石を求めて奪って奪われて、そのうち石も関係なくなっていく、のが…すごく熱くてすごくすごく好きなところです。
- 最後のひとつの石、奪い合うほどに求める石、は、何なんだろうね。
- 石を離してからのコンタクトはわりと手順が出来ているようだったけど、でも全部ってわけではなくて、ポイントポイントが決まってる感じに見えた。
- コンタクト…大好きなんですが…7年前と全然違うのがすごいなぁって…ほんとずっと見ていたい、けど、ずっとだときっと息苦しさで酸欠になってしまう。今でも充分苦しいのに。
- 座った未來さんの頭の上に辻本さんがお腹で乗っかる、その時の未來さんの首とか肩とかをぎゅっと見てしまう。
- 乗っかった辻本さんの身体をぐるんと回すの、何で笑いが起きるんだろう。面白いかな…?
- ぐるんと方向を変えて対面の状態で降ろし、両手を絡めて引っ張り合って、今度は未來さんが辻本さんの身体の上でヘッドレスみたいな倒立になったり。
- 何かもちゃもちゃしているうちに未來さんが辻本さんのTシャツの中にもぐりこんで袖口から腕が2本ずつ出てばたばたしていてわーってなる。
- Tシャツから頭を抜いた辻本さんが未來さんのTシャツの中に頭を突っ込んで、2枚いっぺんに脱ぐ、の、何か…すごいです…ね…観てていいのかなこれ…あっ全世界に向けて配信してるんだった。
- 映像としてめちゃめちゃ脳裏に残っていて再生できるんだけど再生しても頭が追いついてない。です。
- まだまだここからコンタクト。鳥の声がいっぱい聞こえるんだけど、可愛らしいホーホケキョとかの声と、目の前の情景が結びつくようなかけ離れているような、不思議な感覚だった。
- 目の前でのたうち、転げ、絡まりもつれ合うふたつの肉体は振動と熱と匂いと音を伴って生々しくそこに在る、はずなのに、やっぱりどこか向こう側で、間近な分よけいに遙かだった。うつくしかった。
- とてもプリミティブな、原初の生物の生態のようでもあるし、アメーバみたいな粘菌が互いを捕食し取り込もうとしているようにも見えるし、いろんな動物が混ざり合っているようにも見えるし。4つの手が形作る円、が、目のようにも、関節の機構のようにも、穴のようにも、そこから生える新しい肢のようにも、見えて。
- 照明が、緑から赤、青、白、と色を変えて、それだけで違う生命体に変貌していくようで、波打つように常に揺れるふたつの身体が、溶け合って、絡み合って、どこが何でどっちかもわからなくなって、こんなの見たことない。
- 最初のほうでは未來さんが辻本さんを突き放して、辻本さんが石の上に突っ込んでいたけど、楽ではふたりして倒れ込んでいました。怪我しないでね…。
- そういえば途中で未來さんの左肘からぺろんと何かが垂れ下がっていて、皮でも剥けちゃったかと思ったら絆創膏がはがれていました。小さい生傷は耐えないよね…。
- ふたりして石をなぎ倒しながら倒れ込んで、未來さんだけ立ち上がる。石を上手手前に集めながら、鼻呼吸の話を。
- なむはむの時は「じゃーっかん」って云ってた花粉症、今年は大変だったんですね…ぶつぶつできるとかやだねぇ。桜の季節が憂鬱なのはとても哀しい。
- 口呼吸はわたしは絶対だめです。あっという間に喉風邪引くから。鼻はフィルターでありラジエーターでもあるので、熱くて頭痛がする人は鼻呼吸した方がいいとか聞いたこともあるよ。取り込む空気を冷やすからって。
- 鼻がだめってことは味覚もだめってこと、わたしの100歳で亡くなった祖母が途中から嗅覚ほぼ効かなくなっていて、何食べてもあんまりわからないって云っていたのを思い出した。匂いって味にすっごく密接だものね。カキ氷のシロップの味は全部同じで匂いがイチゴだったりレモンだったりするだけ、っていうのも知ったとき衝撃だった…。
- 目を掻いたら白目が液状化現象みたいになった、って怖い怖い怖い。目薬差したら1分で治った、ってほんと良かった…治って良かったよー!!
- 春は大混乱の季節だから仕方ない。こんなに緑がいっせいに噴き出して、動物も植物も急激にざわざわにょきにょきわさわさし始めて、人間だって動物だもの影響受けないわけがない、よね。ひとの身体だって混乱しちゃうよね。わたしは鼻の穴の奥がカピカピになっていてとても不快だ。細いピンセットでぺりっとしたい。
- 上手に集めた石を、下手の奥に移動させる。けっこう一度にたくさん、大丈夫?ってくらい持っててすごかったなぁ。肢の上に落としたりしないか心配だったり。
- 聴覚が最後まで残る話。わたしは文章を読んだり考え事をしている時にものすごく頭の中が雄弁というかうるさいというか、音読状態だったり喋ってるのと変わらない感じに声が聞こえる方なんだけど、そうじゃない人もいる…んですよね? わたしにとっては小説のカギカッコ内は全てセリフなんだけど、そういう風に読まない人もいるんだよね?
- 頭の中の声や音楽で眠れなくなることもあったりしたなぁ昔。たぶん色々混乱している時期だったんだろうな。うるさかったなぁ(笑)。
- ポイントがあれば、小さなポッチみたいなものが見つかれば、全ての感覚を失ってもそこに向かって泳いでいける、そこでまた出会える。
- 雑になった、っていうの、「雑」っていう云い方がちょっとあれだけど、すごく感覚としてはわかる気がする。前は繊細に扱いすぎて自分も回りも傷つけていたこともあったけど、ポッチさえ見つかれば他は大丈夫、って、とても今現在の未來さんだなぁって思う。その一点さえ見失わなければ他は大体大丈夫、な感じ。
- すごく嬉しい。し、すごく好きだなぁ。と、改めて思ってしまう。繊細すぎた頃もそれはそれでとても愛しくて、はらはらしながらでもそうだから好き、それでこそ好き、だったんだけど、でもそれはそれでやっぱりしんどそうで、こっちもしんどくないわけではなかったし(笑)。今はね、こっちも大丈夫な感じなんです。何が、っていうのは良くわかんないけど(笑)。何でも来い、ドーンと来い、って感じなのです。何がだ。
- 石を立てる時に、その一点のみを外しさえしなければ立つ、その一点が「ポッチ」のようなもの、にも感じた。それは積むじゃなくて、立てるじゃなくて、重ねるじゃなくて、与えるもの、なんじゃないかな。
- オス的感覚云々は、それは「遺伝子を残す」という生物的至上命題を果たしたから本能的に思い残すことはないとか、そういうことじゃない?と思うのだけど、そういう話は基本しないし触れないし…って思ったところで、そういえばきゅうかくうしおはそもそもそういう話をする場だったよなーとも思ったのでした。わかんないけど!
- でもまだまだまだまだ見るべきものは世界中にあるのだから桜と云わずいろんなものをまだまだずーっとあなたは見続けるべきなのです。あなたは蟷螂じゃなくて人間ですから。
- 転がされたまま辻本さんが、冒頭に発した言葉と同じものをひとつ云うと、背中を向けて石と向き合った未來さんが「さよおなら」と不思議なイントネーションで答える。応えるというか、答えて遮断する、ような。
- 石を積み上げる未來さん。ゆっくりと立ち上がり、蠢き出す辻本さん。その全身に漲る緊張と、緩和の波が綺麗。古い日本の歌みたいな旋律は前回にもあったかなぁ。覚えてないなぁ。
- 細長い大きな石を縦に置いて、足元は小さな石で固定して、その上に丸い石を乗せる未來さん。不思議なもので、乗らない時は何度やってみてもだめだけど、深呼吸して、体勢を整えて、乗る時は一度で決まるんだよね…そういうものなのかな…。
- 川原で石を積む名人をテレビか何かで見た覚えがあるけど、手に取った石はどう立てれば安定するかは手に取ればわかる、みたいな感じだったような。この石はこう、っていうのがきっと、見えるんだろうなぁ。何だろうなその感覚。
- 原初的な石像みたいにも見える石組みから、そおーっと離れて座る未來さん、辻本さんもゆっくりそこに座る。最初は向かい合わせに座ってたけど、楽はふたり並んで座っていた。
- 照明の輪が絞られて、水滴のような音が、だんだんその反響音だけ増幅されていくような重い大きな音になって響く。
- 重い音が暗い空間を満たして止まると、ふいに明るくなって、立ち上がるふたり。壁際に並んでふんわりとトーク(笑)。
- フリーダムな感じがね、とても良かったです。シルクで大変そうな辻本さんにカップラーメン大量に持っていく未來さんの話とか。セネガルのお手洗い事情とか。
- 夜のセネガルで野犬に追いかけられた話を本気で怖がる未來さん、虫が光に集まる気持ちこれか~!!ってなったって云ってた辻本さん。話しながら、ゆったりと動き出す。
- 鳥取で車運転してた時に明かりなさ過ぎてその時の気持ちわかる、と未來さん。鳥取が悪いってわけじゃないけど、とフォローも入れる(笑)。
- この、トークとムーヴメントがシームレスに繋がる感じがね、身体も対話だしね、すごく好きなんです。言葉を交わすのと同じくらい、ふつうに、特別じゃなく、身体を交わす。交わせるひとたち。
- 互いに目を見交わしながら、視線を外すことなく、手は伸ばすけど触れず、違う動きをしているけどどこか対になっていて、それが本当に好きです。幸福感に満たされる。
- その時の音楽というか、ギターの旋律とコード、カリンバの音、コポコポした音、たちは、7年前に使った…作った?音たち、ですよね。波間をたゆたうような浮遊感、たまらない。
- 一周ぐるっと回って、そして真ん中にふたり並んで顔を見合わせる。ずいぶん長いこと見合わせて、やがてゆっくりと、正面を向く。と、ふ、と身体が揺れて、辻本さんが真後ろに倒れる。未來さんは動かない。
- 最初は未來さんも後ろに倒れるけど尻餅、だったような。
- 辻本さんが倒れると同時に、縦長の石の上に乗っかっていた丸い石が振動で落ちる。縦長の石も倒れたような。
- しばらくそのまま、で、少し経ってから辻本さんがイテテテテ、と云いながら起き上がる。で、おしまい。
- 石が倒れるのは、一点のポッチを失うから、ポッチを失ったら人も死ぬのかな、とか。ね。
- お辞儀してから、片手の拳を自分の胸に当て、拳同士をこつんとして、反対の手を高くハイタッチ、みたいなの、可愛い。
- カテコっぽく拍手の後、辻本さんが「何か話すの?」とか云ってて、未來さんに「いい、いい」って云われてたりとか。
- もう一回拳こつんをやってくれたので充分です。伝えることは全部、見せてもらったので。受け取れたかどうかはともかくね。だから言葉はいらないのよね。
- 配信はこの後も少し続いていたそうで…舞台裏的な何かがあったのかなーいいなー見たかったなーー。
- 配信といえば、一体どんな風な映像になっていたのか、編集とは一体何なのか、謎ばかりです。有料でいいから再放送してくれないかな…くれないよな…DVD発売でもいいですよ…。
あっという間に過ぎ去った7年ぶりのきゅうかくうしお、またいつかどこかで、きっと再会できると信じています。きっと、また、未來さんと辻本さんの波長が上手くてっぺんで重なった時に、踊らずにはいられなくなる瞬間がやってくるんじゃないかな。それが来年なのか、また7年後なのか*4、もっと先なのか、わからないけど、でもきっと来ると信じてる。というか、勝手に確信しています。生の次の死の先を、きっといつかボンジュール、メルシー、きゅうかくうしお!