ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

インバル・ピント&アヴシャロム・ポラック ダンスカンパニー「DUST」@彩の国さいたま芸術劇場


 ついに日本公演が始まりました! わーさい芸で「Hydra」観た時には、まさか未來さんがカンパニーメンバーになってるインバル&アヴシャロムの公演をさい芸に観に行く日が来るとは…ほんと、微塵も想像していなかった…不思議だけどとても喜ばしい…!
 断片的にはティーザー動画で観ていたから、まったくどんな雰囲気なのか見当もつかない初日ではなかったけど、全編観たら当然ながら、断片的にチラ見するのとはだいぶ印象が違ってきました。とても良かった! わたしとても好き!! 可愛らしくてノスタルジックで、すこしひんやりしていて、寂寥感と無常感と少しの恐怖、大きいけれど力強い悲しみ、大きいのに脆弱な確実性、悲しみと恐怖と繋いだ手、小さな、でも暖かい手、頼りないけど確かな拠りどころ…何か、そんなイメージが溢れてたゆたって満ちていた、とても愛しい小品でした。
 初日初回なのでぼんやりとしたことしか云えないのですが*1、とりあえず個人的にとても好みな世界観で楽しかったです。使用曲がベートーベンの第9と運命とか、キャッチーなのでとっつきやすい印象が。100ねこのおばあさんのシーンを思い出す時計と鐘の音なんかもあったりして。オルゴールとかはもうおなじみ感ありますよね。シンメトリックな感じが美しかったり、女の子ふたりが双子感あったり、男子チームと女子チームみたいだったり、総じて可愛かった…けど双子感ならではの怖さとかもあったりして、そういうの込みでわたしは大好きです。
 ええと、物販は特になくて、入り口でチラシとは別にリーフレットをもらえるので受け取った方がいいです。未來さんインタビューも載ってるよ。衣装はもうおなじみなお寝巻き風のアレで、未來さんはちょっと髪を切ってこざっぱりしておられました。軽く後ろに流してたけど、結局乱れちゃうしもしゃもしゃされるしね。あと相変わらず頬が削げててなぁ…ここからまた削れていくんだろうなぁ…(笑)。
 あとはネタバレとまではいかないけどちょこっと。

  • 未來さんがソロというかメインで踊るところがあるんだけど、シャツの裾を指先でちょこんとつまんで膝曲げて歩くのとかめちゃくちゃ可愛かったです(笑)。何だあの可愛い生き物。
  • 冒頭のアニメーションがちょっと…ちょっと弱いというかまだキツいというかなんですわたし…まだどうしても怖くなってしまう…。
  • アニメーション終われば後は全然まったく大丈夫なんですけど!
  • 机の上で手遊びみたいにする振りがとても可愛い! あれくらいならまねできないかな! できないな!!
  • 机に座ってやる振りはたいてい可愛い。肘突いたり頬杖っぽくなったりするの。
  • 足がぐにゃぐにゃの男と、足がぐにゃぐにゃの椅子がとても印象的。何となくイメージ的に、四歩足の家具って安定感とか確実性とか不動性みたいなものを感じるのだけど、安定して安全に体重を預けられるはずのものが実はぐにゃぐにゃ、っていうのが、確かだと信じて生きている社会とか、不動なものと思っていたはずの地面とか、確固として揺るがないと思っているものが実は案外脆弱だったりするんだよね、っていうのを突きつけられているような感じがして…とても象徴的だなぁと思いました。
  • じゃあ足がぐにゃぐにゃの男は、「生徒」に対する「教師」とか、「子供」に対する「大人」とか、そういうものだよね。ジャケットを着て*2立派な格好をした大人なのにぐにゃぐにゃで立っていられない。…案外そんなもんだよなぁ。
  • 閉鎖空間の中で規律を保っていた「子供」たちの中に、異質なものが混ざって起こる不調和、とか、開いたドアから入り込む均衡を崩すもの、とか。均衡を崩された子供たちは、机の中に吸い込まれて一気に不均衡な世界に放たれてしまう、とか。雰囲気ふんいき。
  • 扉の外からやってくるのは厄災なのか、それとも変化を促す新しい何かなのか。変化は常に不安と恐れを伴うよね…。
  • 黒い人が身体中に紙を貼り付けて、それが落ちるのを一生懸命拾って、さらに降り注ぐ紙をまた必死にかき集めて。紙は知識とか情報とか、それを身に纏っているけど纏っただけじゃ意味はないよね。その人のものになっていないよね。だけど必死にかき集めてそれで身を守るかのように。…身につまされるなぁ(笑)。
  • ぐにゃぐにゃの大人が縋るようにしていた棒切れが、最後に長く連なって、新たに小さな家を形作る。その中に子供たちも大人も入ってから、(もう足がぐにゃぐにゃじゃない)大人に手を引かれて、手を繋いで、家から出る子供たち。繋いだ手はそのままに、くるりくるりと互いの腕の中をくぐって円を描く、弧を描く。家を形作る棒の連なりが、手を繋いだ腕みたいに見えた。一度は混乱の波に飲まれたけれど、繋いだ手は小さな家になる、そこに小さなぬくもりが生まれる、何かそんな救いみたいな、ちょっとあったかい気持ちになる、と同時に、繋いだ手と手の接している面の小ささに、その小さな接点を「拠りどころ」にしたくなる人間に、せつない気持ちになってしまうのでした。ラストほんと…良かった…愛しい…じんわりする…。
  • カテコ2回かな。みんなで手つなぎお辞儀、上手からひとりずつお辞儀、みんなでお辞儀を繰り返して。一番上手にいたのコルデリアさんかな。笑顔がとても可愛らしかった!

 明日は電車が遅れないといいです…明日も楽しみだー! 自分の印象やイメージがどう変わっていくのか、訂正や更新されていくのかも楽しみです。所詮今日のは初日の初回…。

*1:何度観てもぼんやりしてそうですが

*2:埃だらけだけど