ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

「PLUTO」初日!

 というわけで、初日観てきました。原作はほぼ未読、発刊当時に2巻くらいまで読んだはず、くらいのほぼまっさら状態で挑みましたよ。
 開場前に劇場入口にテレビカメラのクルーがいたので、何だろうと思っていたら、WOWOWのドキュメンタリー番組の撮影が入っていたそうです。キャラクター・コスチューム・ヘアメイクデザインの柘植伊佐夫さんのドキュメンタリーとか! WOWOWで番組…なんて云われると、本編の放送にも期待してしまいます…お願いします…(笑)。
 開演前のロビーには浦沢直樹先生のお姿も。ラルビさんと握手ご歓談されていました。物販はパンフが1800円、あとは関連書籍や原作漫画、雑誌、ラルビさんのDVDやCDなど。あんまりちゃんと見なかったなーまた見てこよう。

***重大なネタバレや演出には言及しませんが、少しも見たくないわ〜という方はお気を付け下さい***


 毎度のことながら、初回は本当に、うすらぼやーんとしたことしか受け止められないこの残念脳みそが今回もいかんなく発揮されてしまい…本当に、あの、アトムかぁんわええええ!!とか、ウランちゃんマジウランちゃん永作さん奇跡…とか、ロボットかっこいいたまらん!!とか…そんな感想しか出てきません…。3時間の長丁場とはいえ、コミックス8巻分のドラマをぎゅぎゅっと詰め込んで*1あるので、展開の速さは当然でしょう。原作未読の初回としては、がんばって追いかけた!って感じでした…脳みそも残念なことだしね…。
 開演前、舞台から溢れこぼれ落ちたようにロボットの残骸が組み上げられた舞台セットがまず印象的。思っていた以上にストプレなのだけど、そこはラルビ作品、セットや音楽がとてもラルビ的でした。「テヅカ」の発展形?と思わせる舞台上でのコマ割とか、映像と身体のクロスオーバー、芝居とダンスのミックス感、ロボットたちのオブジェとしての存在感とそれが有機的に動き出す衝撃、思っていたよりストプレっぽいけど、でも決してストレートではないし、ダンス作品でもないし、本当に全部の融合というか、未來さん云うところのトータルアートというか。いろんなアンテナ線をちくちくと刺激され続けてハングアップした感じがありますわたし(笑)。ちょっと処理速度が追いつかなかった…。
 キャラクター造形は、もっとオリジナルになるのかと思いきや、会見写真でも見たとおりかなりの漫画寄せっぷりだったのが意外というか。っていうか、今の未來さんが少年型アトムをやれると思ってなかったよね…すいません侮っていた。もうね、登場シーンからね、第一声からね、すごく…少年でしたよ…可愛かった…もうこういう感じの役は無理かと勝手に諦めていました申し訳ない。無垢と透明性と優しさと聡明さと、だからこそ生まれる悲哀が全部、彼の周りで雨粒みたいに小さく輝いていた。ウランちゃんの、キラキラキラッ*2とはまた違う、静謐な光だった。そして何かもうそれだけで胸いっぱいになってしまってあとはおぼえていない的な(笑)。マニピュレイターの演出もすごーく面白かった、し、もっとちゃんと理解していきたいです。いる時といない時、とか、きっと明確に何かあるはずだからーでもわかってないからー。アトムの仕草がいちいち可愛らしくてそれをさせているマニピュレイターありがとうございますってなったわ(笑)。ちょこんと腰掛けて足をぶらぶらさせるとか、リュックを背負い直すのとか、コンピューター操作とかほんと…可愛いうっとり素敵可愛い…。
 ウランがまた。ウランっていうか永作さんっていうか!! すごいな!! 可愛かった、し、アトムとのわちゃわちゃした感じがすっごく兄妹で、ふっつーに「かぁんわいいい!」って観てるんだけどふと我に返ると真顔で「永作さんすごいな…」ってなる。ヘレナの知的で控えめな大人の女性とは何から何まで正反対で、二役とか、全然気にならないというか思い浮かばないわ。ウランの永作さんにも、ヘレナの永作さんにも、じんわりさせられました…すごかった…。ゲジヒトさんは、劇中でも人間くさいロボットって云われていたけど、そのとおりで…あんまりロボットって思わないで観てたなー。むしろ薫ちゃんと思ってしまっ…すみません…。天馬博士とお茶の水博士も良かった、もっと天馬博士とアトムの確執というか何というか(笑)が観たかった…と思うけどそこは漫画読もう。アブラー博士は凄みがあって流石でした…冒頭もっとちゃんと観ておかなくちゃ。
 個人的にはブラウ1589が好み過ぎてたまらなかったです!! 柄本さんの声も素敵だ!! ブラウがアトムに触れて「暖かいな」的なことを云うシーンがめちゃくちゃ好きです…ブラウかっこいいよ…。花売りのアリも可愛いなぁ。可愛いんだけど、なぁ…。ロビタはあんまり見えなかった…そしてプルートゥ。まさかのプルートゥ! すごかった!! 造形的にもたまらん舞台だよこれ!! 一瞬、テヅカのマグマ大使を思い出してしまい、あそこからずいぶん発展したなぁかっこよくなって…と感慨深くもなったりならなかったり(笑)。しかしすごいなぁあれ目の前で対峙したら相当の迫力だろうなぁ。どこかでいつか展示会みたいなのやってくれないかな…。ボラーの演出は、何か具体的にはよくわからないけどとにかく凄いものと大変な戦いをしているぞ、というのはとても伝わってきました。あんな…演出、というか現象、というか状態、というか、見たことないわ。中もえらい大変だろうと思っていたら、公式サイトのプロダクションノートに書いてありました…大変だよねそりゃあ…。
 あとは、アトムだもん当然飛ぶけど、飛んだ瞬間に「あっ飛んだ!!」ってなったのが…意識から抜けてたからびっくりした…。美しいフライング(?)でした。し、ちゃんと空中戦してたし、吊るより素敵だし作品に相応しい演出だと思いました。ちょっと面白いんだけどね。
 個人的には、ダンスパートが始まった瞬間の、こう、意識をぐいっと掴まれて引き戻される感じがすごかったので、もっと踊ってくれてもいいのになー…と思ってしまうところはあり。最近わたしが観たお芝居が、まぁ新感線とか大人とか女体とか、クライマックスに向けてすべての要素でぐわーっと盛り上げていくようなものが多かったので、プルートゥはドラマチックな演出という点ではちょっと物足りない感があったかな。盛り上げるのが必ずしも良いというわけでもないので、だから残念、ってわけでは全然、ないのだけど。わりと、芝居的な盛り上げ方というよりは、ダンス作品の連なりからいつの間にかクライマックスに流れている印象だったのが、面白い感覚だなぁと。わかりやすく盛り上げる商業演劇を見過ぎている所為かしら。さらりとクライマックス、な感じがある意味新鮮でもありました。
 漫画のイラストを随所に散りばめながら、すごく上手い接点で「漫画」と「舞台」という違った表現方法の接触面をすり合わせていく、これもひとつの新しい「2.5次元」というやつなのかもしれない。わたしの後ろの席には漫画ファンぽい方が座ってらしたのですが、そういう視点で見てもかなり満足のいく仕上がりになっていたようで、耳欹てながら嬉しかったです。
 まだまだ始まったばかりで、ここからきっとブラッシュアップされていくはずなので、この先の進化発展も楽しみな舞台であります。もうちょっとこう…ちゃんと受け取りたいですねがんばろう。複数回行く前提の初回ってほんと、何も受け取れなくて自分にがっかりする…。今後精進します!

*1:割愛省略あるとはいえ

*2:大好き!! あれほんっと好き可愛い!!