ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

葛河思潮社「背信」@東京芸術劇場シアターイースト(9/19夜)

 観たよメモだけでも。
 普通に考えたら、ごく普通のよくある不倫話なのだけど、時間を逆行させて見せられることによって、登場人物の言葉の一体どれが本当なのか、どこが本当で何が嘘でどこが思い違いなのか、がすごく不確かな情報としてしか入ってこなくなり、よくある不倫話がどんどん謎めいた、足元がおぼつかない感覚の頼りない話に思えてくる不思議さが面白かった。小説を1章ずつ、結末から読むような。
 舞台転換も粛々と進む感じが素敵だったし、同じ家具やセットを並び変えて違う部屋にしたり、シンプルだけどすごく上手い作り方だったなぁ、この辺さすが長塚さんという感じ。松雪泰子さんの衣装の素敵さと姿勢の美しさがとても印象的でした。全体的に大人な舞台だったなぁ素敵な時間だったなぁ。翻訳劇っぽいセリフ回しというか言葉使いというか、のひっかかる感じもわたしは好きです。田中さんが松雪さんの子供を抱き上げたキッチンが、田中さんちだったのか松雪さんちだったのか問題(…)は、どういう意味があるんだろうなとぼんやり思って持ち帰りました。