ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

大人の新感線「ラストフラワーズ」@赤坂ACTシアター(8/10昼)

 チケット争奪戦に悉く敗れ、きっと公演なんてないんだ幻なんだすべて誤解だ…!!とよくわからない絶望感に打ちひしがれていましたが、幸運にもチケットを譲って頂けることになり、おお…本当にやってたんだ…しかも土日にやってたんだ…土日のチケットというものがこの世には存在したんだ…とよくわからない感動にうち震えながら、台風の中観てきました。松尾さん作品は実はそんなに拝見してなくて、「キャバレー」の主にカーテンコールで若干の苦手意識を植え付けられておりましたが*1、でも半分は新感線だしいのうえ演出だし、決して本編が苦手というわけでもなかったので、あまり心配はせずに…カテコさえ普通であれば…妖怪人間の歌とか歌わなければ…(笑)。
 エロティックスパイSF活劇、とか、B級スパイアクション活劇とか、の煽り文句と、70年代風フラワーチルドレンなチラシビジュアルと、原人が花持って微笑んでいるバックにロケットミサイルが飛んでる戯曲の表紙と、「ヘイトフルな世界に愛の歌がひびくなか、全人類を震撼させる極秘プロジェクトが云々」という帯文句と、くらいの前知識で開演を迎えたので、まぁさっぱりどんな内容なのか、いのうえ演出だからアクション活劇はわかるけどあとは一体…??という感じでしたが、うん。全部だった。要素としてはまだまだあったけど。終演後に友人と、関係を図解(笑)しながら復習してみたのですが、7団体(?)くらいが入り乱れてそれぞれがどこかとびみょーに繋がっているという登場人物の多さと複雑さ、でも観ている間はそれほど混乱せずに楽しめていたのが、戯曲・演出共々さすがだなぁ!ととても思いました。若干こう、2役やってる演者さんとかね、特にじゅんさんとかね(笑)、あれっ?って一瞬なったりもしたけど、一度把握すれば大丈夫だったというか、あんだけの人数が出てあの勢いで話が展開して、それでも振り落とされる感がほぼないっていうのがね、1幕終わった時点で、すっげぇ…ってなったわ。まぁ終演後の反省会では忘れてるところ多々有り過ぎたんですけどね。
 ストーリーについてはネタバレ含めて触れないように、というか、説明し切れないてんこ盛りっぷりなので割愛させて頂きます。とにかくエロティックハートフルSFスパイヤクザアクション国家的陰謀人類滅亡の危機音楽は世界を救うのかホームドラマ活劇、でした。ああ〜いかにも松尾スズキっぽいな〜な設定や展開を、いのうえ演出がドタバタ活劇に仕立て上げ、随所に散りばめられる新感線的ギャグと大人風ペーソスが混然一体となってハチャメチャです。小ネタがいちいち可笑しいんだけど笑った先から忘れていくんだ。某巨匠邦画っぽいところがとてもツボだった…! キャストは小池栄子ちゃん*2以外は両劇団員で、ゲストが少ない分劇団員の見せ場ができてるのがいいなぁと思いつつ、劇団員さんだけでもやっぱり多いので、もったいない感はどうしても…カナコさんとかよし子さんとかもうちょっと歌ったりして欲しかったなぁなんて。古田さん阿部さんじゅんさん紙ちゃん聖子さん皆川さん粟根さんクドカンあたりは安定のメインっぷりで。源ちゃんは出番少ない?と思いきやすごく…全部をかっさらっていった…。それぞれが勝手にそれぞれの物語を進めていった先で、少しずつ繋がりが浮き彫りになってきて、ラストに向けて集束していくのが気持ちいいです。ハチャメチャだけど、ちゃんと伏線が回収されていく快感が流石。あと、個人的に、カオスだったり悲惨だったりな状況+良い音楽、という演出はとても好みなので、すごく…良かったです。じんわりしちゃった…。
 何となく勝手に、松尾さんのイメージで、救いのない終わり方をするんじゃないかと思っていたのだけど、最終的にとても…優しい地点に着地したので、あっ松尾さん優しい!と思いました。そこが意外だった。とてもやさしい物語だと思いました。死体の山は築かれてるしエロもグロもそこそこあるけど! WOWOW辺りで放送してくれるととても嬉しいなぁ、もう一度観るのは無理だから。古田さん一家の幼稚園だか保育園だかにお迎えに行かなきゃって最後の方に名前だけ出てくる子供の名前が、思い出せなくて気になるんです…。

*1:本編はすごく好きだったんですけどね…

*2:とアンサンブル