ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

「チェーホフ?!」@芸術劇場小ホール

 観てきました〜。dさんとfさんとご一緒できて嬉しかった☆
 チェーホフ著作は「桜の園」くらいしか知らないし、どういう人なのかも全く予備知識なく、ロシア人でしょ程度の認識だし、ドラマトゥルクという言葉も知らず、どうやら台詞がほとんどないらしいよ?くらいの前情報のみで挑みましたが、これがすっごく面白かった! ちょっと、「空白に落ちた男」の雰囲気を思い出したり、あと一瞬「変身」を髣髴とさせる光景があったり、しましたが、基本的には「こんなの見たことない!」という感じ。文字の描かれていない絵本や影絵を見ているような気分になりました。綺麗でちょっと怖いのも、絵本や絵画みたい。怖いっていうか奇妙なのかな、奇妙で理解できない=怖い、ていう感じの怖さ。どうにもヘンテコな夢なんだけど、夢の中では恐怖は感じていないい、みたいな…不思議な感じ、でも嫌じゃない。ずっと観ていたい。
 舞台の開口部(?客席に向かって開いている正面部分)四辺がぐるりと額縁状に囲われていて、額縁の中で全ての場面が行われるのも、ミニチュアめいているというか、箱庭っぽいというか、動く絵みたいな印象を強めているのね。あと「空白に落ちた男」もそうだったからそこで繋がったのかも(笑)。とにかくオープニングの額縁連続攻撃で、額縁スキーなわたくしの魂はもうさっさと持っていかれましたよ…うわあああ額縁5連とかマジたまんないんですけどおおお。またそのシーンが怖いながらも魅力的というか幻惑的で…うっとりした…額縁に赤いビロードのカーテンなんて鉄板過ぎてよだれが出るっつの…。
 終演後に注解テキストを頂いて、帰りの電車で読んだのですが、そしたらいろいろなるほどなぁと…イメージでしか捉えられていなかった部分を、すっきり解説してもらえました。これ読んでからもう一回観るときっと良いだろうなぁ! 何となく、観ながら、ふんわりとしかわからないのを、きっとチェーホフに関する知識が皆無だからだろうと思っていたのですが、だからきっとチェーホフ作品にもっと詳しい人が見たら、このシーンはあの作品のアレだろうってわかるんじゃないかしらと思っていたのですが、解説読んで理解しました。チェーホフ著作そのものをめぐる旅、ではなかったのですね。むしろ、チェーホフという人間の頭の中身を覗いて、その思考の軌跡を辿る旅だったのですね。そりゃー作品知ってても仕方ないや! どっちみちわからないやよかった!(笑)チェーホフが医学部卒業してるとか知らなかったよ…。
 とても面白い演劇体験ができました。役者陣はもちろん素晴らしかった*1し、オーケストラピットで生演奏される音楽がまた素晴らしいのです。あ、少年の足音に生で音が重ねられるのも「変身」ぽいと思ったかも!
 2/13まで上演しているので、不思議な世界を覗いてみるのも面白いと思います。こぢんまりとした空間で贅沢な時間を体感できますよ〜☆
http://www.geigeki.jp/saiji/025/index.html

*1:篠井さんの動きが美しいったらない!毬谷さんも美しかった〜