ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

「その街のこども 劇場版」関連

 昨日の「時計仕掛けのオレンジ」観劇時にもらったチラシの束に、というかチラシを束ねていた帯的役割のチラシに、「その街〜」レビューがあったので書き留めておこうかと。
 「Choice!」という、チラシもらうとよく見かけるA5サイズに折ってあるペーパーです。開くと宮本亜門さんのインタビューが掲載されています。それをさらに広げた右上の辺り、「シネマ・チョイス!」というコーナーに「その街〜」が取り上げられています。シネママイスター相田冬二'sチョイス、とのことです。前半はまぁ、普通のというか、一般的な映画評な感じなのですが、後半がちょっと、この作品に対するレビューで予想されるものとは違った視点から切り込んでいて面白かった。
 「あえて震災から離れ」た視点からこの映画を観てみると、「男の子が女の子の正しさに嫉妬する物語」として成立している、男の子は常に、女の子の正当で健全な正論に対して、苛立ち、嫉妬し、己の「立ち位置が阻害される」感覚に脅かされ反発する…ほほーう。全く、そのような見方をしたことがなかったので、考えてもみなかったし全然感じなかったけど、「震災ドラマ」としてではなく、ひとつのボーイ・ミーツ・ガール的な捉え方をしてみると、そんな公式にあてはまるのかもしれないな。特に前半の、勇次の居心地の悪さ、居酒屋での会話、「行かなだめなんです」と云いきる美夏のまっすぐさ、それを目の当たりにした勇次の屈折、「震災」というものに対するふたりのスタンスの差異に、自然に滲み出るように「公式」が当てはまっているようにも思えてくる。というか、「逆」はあり得ないんですよね。「行かなだめなんです」は、物語的にはどうしても、女の子の口から出るべき言葉なんだよな。…良く出来てるなぁ。
 「あえて震災から離れて」みることが、良いのかどうか、はともかくとして、面白い視点というか、他では見たことのないレビューだったので、とても印象的でした。劇場でチラシの束をもらったら、ぜひ探してみて下さい(笑)。