ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

「タンゴ」大千秋楽@シアター・ドラマシティ

 終わりました…! ついに終わってしまいました…! すっごく、面白かった、素晴らしい大楽でした…。アルトゥルは最後の最後まで、美しく刺々しく、眩しい閃光を放ち、そして見事に失墜してこの世界から退場していきました。かりそめの、ほんの一瞬だからこそ、あそこまで強烈に光を発するのだろうな、とその輝きの短さも納得がいってしまうほどに。机上の輝きっぷりといったら、ほんと、眩しくて…キラッキラしておられましたよ…アラの一言で、一瞬にしてその光が失われるのも見事の一言に尽きるというか。
 東京楽ぶりでラス1のみの観劇でしたが、大阪に来てからさらにハジケていたのをやっと目の当たりにできました。うん、ハジケてた! おっもしろかった! 特にお父さんが…息子の度量を了解した上で好き放題、というか(笑)。大変楽しませて頂きました! と同時に、両親の人間として・親としてのダメっぷりとか、ダメな溺愛っぷりとか、がすごく浮き彫りになっていたように感じました。東京ではここまで思わなかったんだけど、今日の1幕冒頭の両親を見ていたら、ああ、こりゃーダメだわ…としみじみ思ってしまった(笑)。そして、親のダメっぷりをひしひしと感じながらアルトゥルを見たら、子供も子供で、ああ、こりゃーダメだわ…と(笑)。溺愛に甘えて本当に駄々っ子に見えたわ(笑)。「こんなんじゃ学校でもいい物笑いの種ですよ!」ってアルトゥルが両親にくってかかる台詞がありますが、今日の印象は、ああコイツ、本当に物笑いの種になってんだろうなぁ…って思った。そのくらい甘ちゃんの頭でっかちの駄々っ子に見えたわ…こんなの初めてですよ(笑)。
 なので、アルトゥルが死んだ時の両親の反応に、今回初めて腹が立った。いつもは、何だろう、アルトゥルの自業自得っぽい方に見えていたので、ストーミルがアルトゥルの亡骸に向かって「どうでもいい主義、何でもいいじゃないか主義を打ち壊したかったんだな…」みたいなことを呟くのも、別にこれといって…いや、もちろん実の息子が死んでるのに云うのはそれかい、とは思うんですが、もっと何か観念的な言葉に聞こえて、あまり何とも思わなかったんですが。今日はその辺のストーミルの言葉に、大変腹が立ちました(笑)。この子をこんな風にダメな子にしたのはあんた達じゃないの、と。今までそんなこと一切思わなかったのになぁ。東京後半から、ストーミルとアルトゥルって似た者親子だなぁとはうっすら感じていたのですが、それも今回、すごく強く感じられたので、そこもあるのかも。とにかく、1幕の両親が、ダメな方向に激甘で、甘やかしてるくせに自分達のことしか考えていない感じがとっても色濃く出ていたので、その分ラスとの突き放し方がとても腹立たしかったのです、という。ここに来て(笑)。
 あとは、ラストの、アルトゥルの最期の告白に対するエーデックの捨て台詞「愛しているのに、相手はあくび…(笑)」が、そういえばアラは登場シーンからプロポーズ大作戦中からずーっとあくびしてた…と思うと、ちょっとぞっとしました。しかも、結婚式でアラが待ち望んでいたアルトゥルは、登場するなり高いびきで…うわぁエーデックほんと怖い!と、これまたここに来て思いましたよ。
 結局、最期までカテコはなしでしたが、うん、やっぱりこれはこれでいいと思います。空虚な偽りの玉座が、暗い舞台上に聳え立っている、あの光景ほど、この作品のラストに相応しい情景はない。それを嘲笑うかのような、狂ったようなタンゴの調べ共々、あまりに諧謔的で、目眩がするほど美しい。
 あ、今日のエーデックさんの祝辞は、「えー、結婚するやつは馬鹿者である。しかし、結婚しないやつはもっとば…」でした(笑)。聞く体勢で待ってたアルトゥルさん、「台所へ行け!(笑)」ってほぼ吹いてた(笑)。結局、大阪4公演も全部変えて云ってたそうで…人という字は…とか、三つの気、元気・やる気・勇気とか、結婚前は片目をつぶり結婚したら両目をつぶるとか…毎回よくやったなぁ! 何か学校の朝礼みたいになってるけどな(笑)。
 ロビーに来ていたお花、吉田鋼太郎さんのファンの方からでしょうね。シャレがきいててすごく素敵!

 メモは後程追記します!