ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

「変身」虫観察日記5日目(ちょっと追記)

 …昨日のアレがどうにもこうにも気になって、落ち着かなくて、やっぱり心配で、一晩ぐるぐる考えて、ままよと今朝、急遽チケットを取ってしまいました…。当日でもプレイガイドでネットや携帯から買えてしまうって、すごいですね! ちょっと怖いですね!! 普段は忘れてた方が良さそうな(笑)。
 とりあえず目にできればそれでいいから、とA席を選択。後方センター上手寄りから拝見致しました。大丈夫かなぁ、と、きっと大丈夫!がせめぎ合う開演前でしたが、終わってみたら…
 大丈夫。治ったわけではないけど、大丈夫!!
 大変良かった、素晴らしかったです。基本的な動きの変更は昨日と同じだったけど、完成度が全然違う! 初めからこうだったんじゃない?て思えるくらいの、違和感のない、完璧な虫だった!
 
 
 
 

  • ひっくり返るジャンプも、床に落ちる時も、頭は高く上げたままで、着地もソフトでしたが、それ以外の虫の動きがさらに…極められていた。研ぎ澄まされて隙がなくなっていた! 昨日は、そうか、隙があったんだ。何となく。虫に隙があった。
  • とにかく…何だ。基本の動きに磨きがかかり、さらにディテールを埋め尽くした、ような。良かった、すっっごく良かった! 多分欲目じゃないと思う…動作の数が倍近く増えた印象(笑)。
  • で、美しさにも磨きがかかった…優雅とかではないんだけど、虫だし、でも、アーティスティックで視覚的な美しさが増強された! 部屋の上部で、逆さまになって両腕を鈎状にする形がとにかく美しいのです。こんなになかったよね昨日まで、て思うくらいそれが印象的で…シルエットになった時の造形美ったらないわ!
  • 「身体がべしゃあっと潰れ」が、何かもうもんのすごかった。ぶぇえしょぉああっと、って、それもうグレゴール即死じゃないか!?ってくらい潰れてそうなべちゃ具合(笑)。そっから治るのはすごいぞグレゴール。リンゴにも負ける気がしないぞグレゴール。
  • やっぱりお食事タイムで、お皿のシチューを逆さまに啜ったり、床にグラス置いてカラフから注いで逆さまに飲んだり、していました(笑)。見事だよあれ。わたしマイムじゃなくてもできないよあれ。
  • じゃがいもパスシーンは今日もあまり動かず。じゃあ元からそうだったのかも…と甚だ自信がありませんすみません(笑)。確信は持てないからなぁ!
  • 壁に止まって窓の外を眺めたり、天井に掴まるグレゴールも、細かい動きが昨日に比べて増えていた、ような気がします。指が常にウゴウゴしてる感じで…良かった…とても良かった…。
  • そっとしておいてくれーーーエエエエエェェェ、ェ…ェ…ェ。になっていました! こうなると昨日の淡白さ(?)が余計に不思議。というか心配の過去形。
  • 主任に部屋の中から説明するところ、何だかとっても再演エドガーっぽかった(笑)。遅回しはなしで、すんごく針が飛んでた。最後の「頂けませんか」のカが出るまで大変だったよ…! がんばれ!ってこぶし握ってしまう。
  • あんたが、グレタを音楽学校にやるための金を、取ったからだー!!のところかな? すごい低い声で云っていた気が。そういう風に云うんだ!って新鮮に感じた、ような気が(笑)。すいません気のせいかもしれない〜。
  • どこかのセリフをそう思ったのですが、↑だったかどうか朧で…。アフター楽しくて飛んでっちゃった(笑)。
  • 後方から見ると、影絵みたいになるシーンが、本当に影絵みたいで、すっごく綺麗でした! 鍵もうひとつ!のところとか、あと下宿人を追い払う決心をするグレゴールの時とか。特に後者は、グレゴール以外の全員がストップモーションで動きを止めていて、影絵の人間の真ん中で、グレゴールだけが動いて語り、グレゴールだけが明るく照らし出され、グレゴールだけが色彩を持ち*1、その対比も含めて素晴らしかったです。
  • 役者本体が影に塗り潰されるのも綺麗だったけど、ホリゾントに映し出される影も印象的。そういうのは前方から観るのと全く見え方が違っていて、遠くから観るのもすごく面白かった! 悪くないよA席! 指とか顔はオペラで補完できるし!
  • 下宿人を気遣う家族が下手に固まり、部屋にぽつんと残されたグレゴールにピンスポが当たって、誰にも気にかけられなくなったグレゴールがすごく寂しげで悲しかった。近くで観た時はあまり感じなかったけど、遠くからだとすごく感じた、グレゴールの寂寥感。本当に、奥の部屋で、ひとりぼっちだった。
  • 前半、家族が彼の部屋の周りを取り囲むシーンが多かった分、余計にそう見えた。まんざらでもない喜びだった、のにね…。災いの中で僅かに見い出した慰めだったのにね…。
  • お食事前の「いーぞぅ!」にキラキラ音が重なった(笑)。
  • リンゴ前の部屋から出ちゃうグレゴール、テーブルの下に隠れてるのに、グレタが「ベッドの下よ!」って云った(笑)。ベッドの下だとその格好じゃないよね(笑)。
  • 借金を完済して、「そしたら僕は自由になる!」と、ただその日の為に身を粉にして働いてきたグレゴールが、最後に手に入れたのは、彼が待ち望んでいた「自由」…こんな形でしか、手に入れられないなんて…悲しい。
  • 壁越しにグレゴールに話しかける母、その声に寄り添うように耳(?)を傾けるグレゴール。が、母が語るのをやめて壁から離れてから、グレゴールが、聞こえなくなった母親の声を探すように、さらに壁に顔を寄せて…不憫で泣けてたまらなかった…。
  • カテコは美しかったです。久世さん呼び込むのが。
  • で、永島さんと穂のかちゃんも呼んで、福井さん丸尾さんも呼んで。
  • …ミュージシャンお二人を呼び忘れる未來さん(笑)。あっ!て感じに、下手側に両手を差し伸べながら、ありゃーって感じで笑っていました。か、かわゆい。ナチュラル笑顔なグレゴールなんて一瞬たりともなかったから…! ていうか未來だった(笑)。
  • ハケる時も、いつも真っ直ぐ綺麗〜に歩いて行くけど、今日は片手で鼻の辺りに触りながら俯き気味に去っていった(笑)。
  • 2回目は走って出てきて*2、みんなでお辞儀して、最後ハケ際にひとり、振り返って足を止めて一礼。良かった! とても良かった!
  • 首のテーピングは多分、してると思います。めくれかけた端っこ?みたいな肌色がちらりと見えたような。でも、シャツの襟とベストの後ろ身頃が襟足ギリギリまであって、ほっっとんど見えなかったです。見えないようにしたのかなぁ。

 いてもたってもいられず、思い余って急遽行ってしまった今日の虫でしたが、良かった。本当に良かった!! 体勢のひとつひとつがブラッシュアップされて、より隙間なく「虫」の生態で埋め尽くされた100分でした…。
 もちろん、万全な状態ではないだろうし、常に神経張り巡らせて気を付けなくてはいけない舞台だし、悪化させることなく完治しなくちゃだし、安心ばかりもしていられないけれど、でも、今日は、愛しいグレゴールに乾杯!です。
 開演前のロビーで森山開次さんとすれ違い、終演後には倉持さんと長塚さんをお見かけしました。他にもたくさんいらっしゃってたみたい…だけどわかったのはお三方だけでした。キシシ、森山さん嬉しいな!
 …ちょっと、思ったのですが、あくまで私の個人的な感想というか想像というかなのですが、昨日と今日の違いって何だったんだろう、と考えてみまして。動きそのものは、基本的に、昨日と変わりなかったんだけど、見え方の違いは一体何の差?と…想像してみた。で、思い当たったのは、もちろん未來さんの身体に、新しい方の動きが染み渡った、余裕が出たからさらに磨きもかけられた、というのはあると思うのですが、何よりも自信というか、本人の納得具合というか…昨日は何だか、演じている本人が、本当はこうじゃないのに、これは本当のグレゴールじゃないのに、って自分で思いながら演じている…ような、やっぱりイマイチ納得しきっていないような、どこか不本意そうな、そんな雰囲気を感じ取ってしまったように思います。で、今日は、今日はね! 「これがグレゴールです!」って、「これこそがグレゴール・ザムザです」って胸張って演じているような、そういう違いが…何となくなんだけど。そう見えた、ってくらい、主観的かつ個人的な印象なのですが! とにかく今日のグレゴールは完璧でしたよ! カテコも良い笑顔だったよ!!

*1:モノクロと黒塗りつぶしはかなり違いますよね

*2:ほんっとバレエのカテコみたいなんだ!