ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

「変身」初回

 終演しました…!
 濃密、濃厚な100分でした。無駄な飾りの一切ない、全ての要素の本質のみで構成された舞台でした…凄かった。凄くて、面白かった。見せ方は無機質でアーキテクチュアル、だけど見せられるものは醜怪なほどに人間的で、その人間的さがあまりにリアルで悲しくなる。物語はそんなだけど、でも演劇としてはすっごく面白かったです! ミニマムに美しかった、セットも照明も音楽も、象徴化された動きも、美しかった…食い入るように観ていたらいつの間にか100分過ぎていました。終わった後はずっしり、だ…。
 未來さんのザムザは、あの、キモかったはキモかったんですが、それ以上に…美しかったです。特に、虫でない時の動きが…バレエだった。指の先まで美しいこと…! でも、虫の時も指の先まで虫で、その徹底した虫っぷりが美しかった。…印象が「美しかった」ですすみません(笑)。
 異形の虫になったのはグレゴールだけど、恐ろしいモノへ変化していったのは家族の方なのだな。グレゴール以上に、ザムザ氏や母親が歪に見えた、そして心変わりした後のグレタも。
 肩から背中に力ガッチガチに入れて観ていたみたいです、すごく疲れた…寝て起きたら私も虫になってたりして(笑)。
 カーテンコールは3回、優雅な動きでキャストの皆さんとパーカッション・キーボードのお二人を呼び込んで、客席からバーコフ先生も呼び上げて、とても満足そうな笑顔を見せてくれました。3回目のハケ際で、ぶぶんとお手振りまでしてくれた!



 舞台セットの骨組み?が、中心にグレゴールを抱いて、脚を伸ばした蜘蛛みたいにシルエットが見えて、全体が虫でありながら、「グレゴール」という存在がザムザ家を支配している、覆いつくしている、そんな風にも見えて、ゾクゾクしました。ある意味、「もうやだ! やめた!」と全てを投げ出したグレゴールの逆襲とも取れるような。報われない逆襲なんだけど。
 原作を読んだ印象より、ずいぶんと、森山未來的解釈のグレゴール、上から目線で皮肉っぽいグレゴールのイメージが、まっすぐ入ってきた。やっぱり、演じる方の意味の含ませ方によって、感じ取れるものが変わってくるものなんですね。
 とりあえず…ざっくりと。また後程…しかし丸尾さんは飛び道具だな! すごかった!