ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

「リミット−刑事の現場2−」第3話

 もう、感想とか、いいですよね。
 昨日は結局瞼の重さに耐えきれず、こんな状態で見るべきものではないハズ、と就寝しまして、今日になって4回観ました。ダークサイドは「墜ちる」というよりは、ゆっくりじわじわと沈み込んでいくもの、なのですね。もちろん予兆は1話から感じられてはいたけれど、一枚ずつ皮を剥がれ、啓吾の中身が剥き出しになっていく様が怖い、つらい。凄かった…。
 見ている間、「森山未來」を全く思わないのも凄いです。未來さんを見ているという意識が全くないのね。たまーにかいま見えるカケラ*1 *2で、あっ未來さんだった、と思い出すくらい。こんなにウキウキしない未來鑑賞もないなーと思ったけど、そもそも未來鑑賞してなかったわ!
 3話に来て、今回含めこれまでに啓吾が発してきた言葉が、悉く啓吾自身に突き刺さり、啓吾を引き裂く言葉になって返ってくるのがつらくて仕方ないです。当然、理想は打ち砕かれるもの、信念は折られるもの、信じる心は裏切られるもの、そういう前提の作品なんだと、心構えはしていたし、そういうつもりで見ていたのだけれど、それでも…若干の「あーあ…」感とか、「またそういうこと云うと自分の首が締まるんだから…!」感も込みで、啓吾のぼろぼろになっていく姿を見るのは辛い。東和署時代を思い返すと余計に…辛い…。あそこは暖かい巣だったねぇ愛に溢れていたよねぇ…。茉莉亜と出会ったのも東和署時代ですよね、コートが懐かしい! もみあげスカスカだけど!
 1話で通り魔殺人犯を「俺こいつの気持ちちょっとはわかりますよ!」と云っていた啓吾が、歩道橋の上で「ストーカーの気持ちってわからない」と云うのとか、徐々に剥がれてきてる、揺らいできてる、犯罪者の側に心を沿わすことができなくなってきている感じがした。啓吾の心のグラスも、だいぶ一杯に近づいているようで…しかも、自分の首締めることになるのが明らかなのに*3、「それとも…大切な人を救えなかった自分の方が許せませんか?」なんて云っちゃうし…! そのセリフ怖いです、何かの伏線とかだと考えたくないです!
 三枝弁護士の言葉も、三枝に対する啓吾の言葉も、またそれぞれが結局は啓吾に跳ね返ってくるものばかりで。大学からの付き合いで子供が出来た責任を取って結婚した、でも本当の愛じゃなかった、とか…この状況の啓吾にとても云って欲しくない言葉ですよ。啓吾が云う、「愛」とは見返りを求めず相手を思い全力で守り抜くこと、苦しませたり傷つけたりすることでは絶対にない、ていうのも…苦しめて傷つけて、苦しんで傷ついてるのにね…理想論だよね…と思わざるを得ない。啓吾が誰よりもそう信じたがっているのがわかるから、誰よりも信じたがっているのに信じられていないのもわかるから、よけいに悲しい。そう在りたいと思っているのに、そうではない自分がいることに、啓吾自身も気づいているけど目を逸らして、気づかないふりをして。誰よりも本当は、信じられていないし、疑心暗鬼だし、嫉妬で狂いそうだし、それをねじ伏せて隠して蓋をして取り繕って、絵を飾る。あの絵を飾ることによって、そういう黒い部分を押し殺しているのか、逆に。だから、梅木さんにも三枝弁護士にも、そこを突かれると…溢れてしまうんだね。むしろ茉莉亜の方が、自分の内側と対峙してみようと、蓋をしていた部分に触れてみようと、しているのに、どうしても向き合えない啓吾が…不甲斐ない、と云ってしまえば終わりだけれど。優しさは弱さになるんだよ。それに触れて、触れた上で乗り越えないと、二人はダメになる。茉莉亜はわかってるんだろな、自分たちの今の関係が、薄氷を踏むような脆さの上にあるってこと。
 「どうして啓吾はそんなに優しいの?」と問う茉莉亜に啓吾は答えられないけど、梅木さんが答えてしまっているのもキツかった。人の心をがんじがらめに縛り上げ、自分の思う通りに動かして喜んでいるだけ。そんなつもりはないだろうけど、茉莉亜の心を「優しさ」で縛り付けて動かせなくして、死んだ婚約者への想いを残す茉莉亜の罪悪感につけ込んで、「こんなに優しくしてるんだから俺を愛してよ」って…「茉莉亜は俺のこと愛してる?」が、そう云ってるように聞こえた。表層的には違うけど、云ってる理屈は三枝と同じになってしまうよね…筒井さんじゃないけど、愛するって難しい。
 言葉を重ねれば重ねるだけ追い詰められていく啓吾、すれ違っていく茉莉亜…ていうかつわりの身体でどこに消えちゃったんだよー!! 一番安静にしてなきゃいけない時期じゃないかー!! 啓吾ため息ついてないであわてろよー! 梅木さんは梅木さんで…ああ怖い。あと2回しかない、あと2回でどう決着がつくのか、どんな決着なのか、果たして決着が付くのか…やっぱり怖いですよ…。10回くらいあればいいのになぁ! 3ヶ月もツラいのも大変だけどさ。
 あとはシーン的なのとか言葉尻とか。

  • 猫ちゃんの怯えた表情がすごい! 三枝見てる顔がすごい不審そうで…その後、奈々ちゃんが帰ってきた時の、甘え声としっぽピーンとすりすりも併せて、素晴らしい助演女優でした。三毛猫だから女優さんよね(笑)。
  • 太宰さんのゴミ箱蹴り。すいませんテレビの前で右に避けました私(笑)。3Dか!
  • 「地域防犯も重要な任務だと…思います」思います、の云い方というか、云う前のタメ含めて、良かった。
  • 梅さんのフィアンセの事件を指す東野さんのセリフがとても説明っぽくて、ご説明ありがとうございまーすと思いました。そんなに云わなくても大丈夫だと思うんだけどなぁ。
  • 筒井さんとコンビ組むのはありがたかった! 今シリーズ唯一の和みシーンがVS筒井だものー。しかもいちご牛乳飲ませてくれて…ありがとうございます! べちべちびくびくもありがとうございます! ほんっとここだけだよ…。
  • お鍋のシーンも可愛かったんだけど、あっちゅー間にいたたまれない空気だからなぁ…。いくら梅さんでもあそこでいきなりその話題はどーなのよ…。
  • でも、居心地悪そーうにちんまり座って、多分出されたお茶には手も付けてないだろうな的なのは、可愛かったです。「何であんたがいるんですか」「いたくているわけじゃねぇよばーか」的な視線のやりとりも。
  • 自宅に乗り込んで三枝説得。「刑事さんは…ほんとに人を愛したことがありますか?」と訊かれた啓吾、「刑事さんは」って突然云われてびっくりしたみたいに目をしぱしぱさせるのが…可愛かったですごめんなさい…。
  • ずぶずぶダークサイド。誓約書を破られた時からの啓吾の表情の変化がものすごい。ほっとした、少し得意げな表情がすーぅ…っと消えて、真逆の激昂に塗り替えられていく変化の過程が凄いです。
  • 「今はすこ、少しずつですけど俺のこと受け入れてくれてます」すこ、少しずつですけど、っていうのが、自信持ててない感じがすんごく出てて…上手いなぁ。上手い。すごい。
  • そして「あんたさぁ、」とキレかけたところを遮るメール、このタイミング…! 激昂を抑えつつ、でも抑えきれてないままに、携帯を探り出すのとか、ホント息が止まる。
  • ここで一度抑えられてしまったから余計に、対三枝時に…暴走というか。キレるなんてもんじゃないですよね。覚醒ですよねむしろ。覚醒啓吾最強だった。
  • 「全ての自分をさらけ出す」「本当じゃないんだよ君は!」啓吾覚醒のキーワードがこの辺なのもまた…一番醜い部分を引きずり出される気がしたんだろうな…。
  • 覚醒シーン、ナイフの切っ先が左頬を掠めるのを避けながら、すんごい冷たい目で三枝を見ている啓吾が、コマ送りすると見られます。氷のような目。人を殺せる目。
  • 啓吾を止める梅木さんの「それ以上やると死ぬぞ!」が、1話の最初に啓吾が梅木さんを止めた時と同じ言葉で…逆転これかー!と。そんな逆転辛すぎるんですが…。
  • 梅木に手錠を掛けられる三枝、の後ろで嘔吐くほど咳き込んでいる啓吾が…どっちが首締められたんだってくらいの興奮で…この時ばかりは、みらいすげぇ。と思いました。こりゃ武田さんも驚くわ。涙鼻水よだれおかまいなしだわ。映ってるし。
  • 中央署に戻って。覚醒後の虚脱状態の啓吾が、返って恐ろしいです。不安になる。壊れた。
  • 「俺は、あんたとは違う」この言葉ももう抜け殻です。抜け殻なのをわかってて云ってる。
  • こんな1日を終えて家に帰って、茉莉亜とアレなんて…啓吾が不憫過ぎる…。確かに啓吾は青臭くって表層しか見えてなくって綺麗事ばっかりかもしれないけれど、だからといってここまで叩き落とされて引きずり回されてずたぼろにならなきゃいけない理由もないのに。ただ梅木拳と出会ってしまったが為にこんなことに…。
  • そんな目潤ませて、濡れた声で、息上げながら、喉引きつらせながら、「忘れて」なんて…ずるいよ。本音が零れそうになるとすぐ、「今のなし!」とか「忘れて」とか、茉莉亜にも正面からぶつかって行けないの。臆病者のええかっこしぃだ。
  • なのにそんな泣き声で「ごめん」なんて云われると…だからずるいんだ…。でもそれじゃ茉莉亜を繋ぎ止めてはおけないよ…。
  • でも独り寝でうたた寝そのままでよれよれシャツで靴下脱いだだけでも、寝顔は綺麗なんだずるいんだ。サービスショットですねごちそうさまです。

 …はぁ重い。苦しい。辛い。が次が待ち遠しい…ますます重く苦しく辛くなるのはわかってる、けど…早く続きが知りたい。困りものです。
 でももうちょっと待てばアリアのワタルが降ってくるから! 元気になれるから! わっくわく!

*1:ボールペンのお尻を向こう側に向けて握るのとか

*2:ソファでぐいんと反らした胸とか

*3:いやそれはこっち側だけの事情だけどさ