対母コミュニケーション不全
数年前に一度、生まれた時から一緒に暮らしていた母上の言葉が、理解できない瞬間、というのがありまして。…いやあの、考え方の違いとか価値観の違いとか親子関係のアレコレとかで「ママの云うこと全然わかんない!!」みたいなのは、普通にアレですが、そういうんじゃなくて、本当に母親の発した言葉の意味がさっぱりわからなかった、私に通じなかった、という…瞬間がね。
確か、ブラウスか何かを手洗いしていて、糊をかけるとかかけないとかそういうことを話していた時だったと思います。洗って糊かけたブラウスをお風呂場に置いておいたら、母上が私に云いました。
「あなた、ブラウスちゃんとすためとかないと」
…へ? すため? スターティングメンバーの略…じゃないよね? きょとーんとしている私に、母もきょとーん、です。「スターティングメンバー…?」「は? 何云ってんの?」…お母さんの云っている言葉が私に通じない。これ、地味だけどかーなーりショッキングな出来事でした(笑)。慌てて、何云ってるのかわかんないんだけどーと説明を求めたら、母上はわかんないことにびっくりしていまして。いや、二十数年一緒に暮らしてるけど一度も聞いたことない言葉だよ、と。すためる。
ええ、地方の言葉でございました。母は九州・小倉の出身ですが、母の両親は佐賀県の出身だそうで、母は訛り的なものはほぼ皆無なのですが、たまーにそういう、九州とか佐賀の言葉が混ざったりするんですね。「せからしい」とか。せからしい、は見ていて落ち着かずイライラする感じ、かな*1。小さい頃に弟がそれを覚えて、いたずら好きな叔父にちょっかい出されるたびに、「もう、おじちゃんはせからしいなあ」と短い腕を組んで怒っていたのが印象的です(笑)。あと昨日聞いたのは「よんがひんぐ*2」…真っ直ぐじゃなくてぐねぐね曲がってる様子、だと思われます。多分。ぐねぐね、より硬質な感じがするけどどうでしょうか。木の枝が真っ直ぐじゃなくて曲がりくねっているのを「よんがひんぐしてる」って云ってました。でも「北村有起哉はよんがひんぐしてる」とは云わない…ような気がするなぁ(笑)。今度ママンに訊いてみよう。
あ、「すためる」は、水を切る、とか、ぽたぽた水を滴り落とさせる、という意味だそうです。ブラウスをすためる、ブラウスがすたまる、すたまった、と使うようです。「他に云い様がないじゃない!」とは母の言。…うんまぁ確かに…何て云うかなぁ、水を切る、て云うかなぁ。
えーと、ちなみに、東でも「かたす」って云いますよ。部屋を片付ける、とも云うけど、部屋かたさなきゃ、って普通に云うもの*3。