「アヒルと鴨のコインロッカー」DVD

　今回も佐川さんは残念な結果に終わりました。いや…急いでなければ別にいいんだけどさ…。でもペリカンかクロネコの方がやっぱりいいなぁ…。
　そんな配送状況はともかく。届きましたDVD。今また目黒で上映やってるみたいですね！（–ڍ•ƒVƒlƒ}i‘å‘ ‰f‰æjŒöŽ®‚v‚d‚aƒTƒCƒg）　ええ、とりあえずパッケージで1泣きしました。開封して、初回封入のブックレット（監督の成城大での講演会を収録）読んで号泣、ディスクケース開いてみてまた泣いて。再生までなかなか辿り着きませんでした…だって大事なんだもの。先に特典ディスクから観てみましたが、舞台挨拶は何とかあまり泣かずに済んだけど、メイキング敗退*1、監督インタビュー敗退、未公開シーン完敗、とそんな戦績。特典だけでどんだけ水分失えばいいんだ一体。未公開シーンは、もちろん何らかの考えや理由があって、その結果カットされたもので、なくても充分完成している作品なんだけど、…何で切っちゃったのかな、とか、あることによって何がどう変わり、それを切ることによって何がどう変わるか、を考えてみたりするのがまた、興味深かったです。駐車場のとか、ラストのとか…ない方がいい、とも思うけど、あってもいい、あってもまた違って良い、と思うな…。
　泣ける＝良い、というわけでは絶対にない、と思うのです。ていうか「泣ける！」って別に褒め言葉になってないと思うのです。泣けるから悪いとは思いませんが、涙の出る出ないと作品の善し悪しは全く関係ないと思うのです。だから「全米が泣いた！」ていうのは、私にとっては全然何の煽り効果も魅力的に見せる効果もないのです。そもそも。
　しかしこれはね。アヒ鴨はね。良い上に泣けてしまう。何でそんなに、ってくらい涙出る、いや涙出るなんてキレイなもんじゃない、もう号泣ですよひぐひぐ云ってますよウルサイですよハイネックカットソーの襟が冷たいですよ。泣きっぱなしなので。拭いたり押さえたりを放棄しているので。垂れ流すので。だって拭いてるヒマないし全編ほぼ拭きっぱなしになってしまうし面倒くさいし。ただ困るのは涙で画面が歪むことね…見えない…。
　ひさびさに見ましたがやっぱり、ね。胸が痛いね。映し出されている部分はもちろんですが、映画では直接描かれていない部分が、描かれてはいないけど確実にある、確実に流れた時間が、痛い。愛おしい。本当に、素晴らしい作品だと思うのです。何度見ても、毎回新しい何かに気づくし。さっき気づいたのは、河崎が椎名を本屋襲撃に誘う時に取り出すモデルガンが入ってた棚の中身…ああ云ったらネタバレになるのか。えっと畳もうか。

　
　
★以下ネタバレ含みます★
　
　
　琴美がドルジにくれた棚、モデルガンが入ってた棚の中に、一緒に入ってたのが、ディランのCDと、ブータンの国旗が大きく印刷？された何か、あと誰か人の映ってる白黒の写真だったのね。ブータン国旗のアレは何なんだろう、パスポートとか？　で、後で回想シーン見たら、琴美とあの部屋で暮らしてた時に、棚にそのブータン国旗の何かと、モノクロの写真が飾ってあったので、写真は家族の誰かかな、と。映画を見ていて、モデルガン取り出すシーンで「河崎」とブータンを繋ぐことは多分無理（国旗のアレだって一瞬しか映らないし）だけど、それでもそこにそれが置いてあること、見える見えないに関わらず、に、意味を感じるというか、作り手がこの作品を、この作品のキャラクターを、この作品の中で生きる人たちを、愛しているんだな、大切に思っているんだな、というのがとても伝わってきてまた号泣、と。頭痛くなるくらい目から水が出ましたよ、デトックス効果大ですよ。
　映画で描かれなかった部分を考えると、たまらなく悲しくて切なくて愛おしくて、そういう余地が残されているところも、この作品を好きだと思う要素なのですが、どう考えてもやっぱり悲しい方向に向いてしまうのが何とも。ドルジが過ごしたひとりの時間とか、椎名と別れた後とか、椎名は仙台に戻ってくるのかとか、「またっていつだよ」ああ全くだ！とか、ドルジは自首するのかとか、したらどうなるか、しなかったらどうなるか、とか…ハッピーエンドに向かわせる自信がない…。ただ、ひとつだけ、監督のネタバラシを聞いたお友達から教えてもらったのですが、ひとつだけ、良かった！！！と心の底から思えるネタバレを知ったので、それだけは…うん、良かった。とてもよかった。と思います。
　メイキングで、MAXドルジ*2な瑛太さんと椎名の岳くんが一緒に歩いているシーンがあって、メイキングならではの時空を越えた2ショットで、ああ、このドルジを椎名は知らないんだなとか、この二人は会ってないんだなとか、思ったら、そんなものでも画面が歪んでしまった。椎名知ってる？　それがドルジだよ。
　心底この作品が好きだと思うと同時に、こんなに心底惚れさせてくれる作品に主演して、しかもたまらなく最高に素晴らしい役で、他に演じられる人なんて思いつかないような役で、それを最高の形で演じきって、ちょっと…瑛太さんが羨ましいのでした。大好きだ。

*1:だって岳くんがインタビュー中ずっと泣いてるんだもん！

*2:眉毛が繋がってシャツがインなとってもドルジ状態のことをこう呼ぶらしい。最強ドルジとか