ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

名古屋プチ観光記

 えーともうずいぶんと日にちが経ってしまいましたが、「キャバレー」名古屋公演に行ったついでに、名古屋在住のお友達に案内してもらって、軽く半日観光をしてきたのです。何というか、所謂観光ルートをあまり踏襲しない、ゆるーい感じの観光。でもすんごく楽しかった! ので写メ貼り付けと軽く覚え書きを書いておきたいなー…と思いながらもう何週間だって感じですが。
 名古屋遠征にあたり、もちろん第一の目的はキャバレーですが、ほぼ同じくらいの重きを占めていたイベントがひとつ。それは、
 ひつまぶし が食べたい!!
 一度、食べられそうな機会があったのですが、名古屋行きそのものが何かの都合で行けなくなってしまい、それ以来数年の間ずーっと、何というか、憧れの食べ物だったのです。ひつまぶし。別に、それっほどうなぎ大好き!という訳でもないのですが、いえ好きではありますけど、何か、ね。話を聞くにつれてますます美味しそうに思えるじゃないですか。だって、お出汁かけてお茶漬け状態とかさ! 1粒で3度美味しいとかさ!! すごいじゃん美味しそうじゃん夢の料理じゃん!!
 てなわけで、「名古屋人は祝い事がある度にひつまぶしなんだよー」と仰るお友達にそれでもとお願いして、天気が良くなかったので外に出ずに行ける松坂屋内の「あつた蓬莱軒」へ連れて行って貰いました。
名古屋名物 ひつまぶし「あつた蓬莱軒」
 お昼時をだいぶ過ぎ、2時近くだったにもかかわらず、松坂屋店には長蛇の列が。ほんとにぐねーんとフロアを半周する勢いの列が。え…ちょ、これ何時間待ち? 私ソワレに間に合うの? ていうかお腹空いて死にそうなんですが?と、軽く目眩を覚えるほど。さすが有名店だ…。これだったら傘差してでも熱田神宮まで行った方が良かったかなぁとぼやくお友達。でも、まぁとりあえず並んでみます。本当にね、え、ディズニーランド!?みたいな列なの。ぐるーんぐねーんと。しかし、これがびっくりするほどに進みが早いんですよ。ベンチに座って…る間もなく先に移動。どんどん移動。さすがに、デパート内店舗だけど、もの凄い席数があるようです。広そう! しかも、友人曰く「ここ来て頼むものってみんなほとんどがひつまぶしだからねー注文してから出てくるまでも早いんだよ」と。なるほどー! オーダーに迷いもないしね!
 順調に列は進んで、30分ちょっとくらいで中に入れました。席に着いたら、注文は決まっているのでさっさとオーダーして*1、待つこと数分。早い。もう来た! ついに念願のひつまぶしが、わたくしの眼前にその幻の姿を現したのです!

 

オープン前とオープン後

 わぁお櫃! お櫃ごと出てくるんだ!…とこの時点でやっと、「ひつま/ぶし」ではなく「ひつ/まぶし」だと気が付く私。ああ! おひつでまぶすからひつまぶし!! 合点合点!!
 出てくるまでに、初心者はとりあえずマニュアル通り、と食べ方のお作法を学んでおきました。曰く、「お櫃の中を十字に四等分する」「1杯目はそのまま」「2杯目は薬味を入れてよく混ぜて」「3杯目は薬味を入れた上から出汁をかけて」「最後は、一番気に入った食べ方でもう一度」だそうで。ええ、ちゃんと十文字に切って、マニュアル通りに食べました。

1杯目

 まずは何もせず、そのままの状態でうなぎご飯を頂きます。…これが! 美味しいの! うなぎがサクッとカリッとしてるの!! これまで、美味しいうなぎのイメージ=「肉厚でふんわり」だったのですが、いやいやいやいや。かりっとしてるんです。さくっとしてて香ばしいのです。パリパリに焼いて少し焦げた皮がパリンパリンで、炭の香りがほんのりして、大変美味。感動した!
 うなぎの歯ごたえと香ばしさに感動しながら1杯目を終え、続いて2杯目。

 薬味をかけてまぜまぜしたものです。薬味は刻み海苔とわけぎ、山葵。…で、わたくし大変アレなのですが、ネギ類が基本的に食べられないのですよ。体質的云々ではなくて好き嫌い的に。で、ここでも手が止まりまして、いや…ネギじゃん…と。ついでに山葵も基本サビ抜きなんですよ…味覚が小学生レベルで止まってるんです…。で、海苔だけにしよっかなー…なんて思ったのですが、でもせっかく名古屋までコレ食べに来てる*2ってのに、そんな中途半端なことではイカン、なによりひつまぶしに、いや、名古屋食文化に失礼じゃないか!と。震える指で、入れましたよ、ええ。おそるおそる。人生初体験ですよ、自らの手で自分が食べるものにネギを投入するなんて。自分の皿のネギを人の皿に移すのはいつもやってますが。「ネギだくにしてあげる☆」とか云いながら。ほんとすみません。
 で、おそるおそる…あ、山葵もちょっとだけ入れました。またもや人生初体験。海老の裏側の山葵をこそげ落として食べることはよくありますが、自分が食べるものに自分の手で山葵を入れるだなんて!! ありえない!!
 で、おそるおそる…一口。…ああ、口腔内にひろがるネギの臭気…うっ……ん? あれ? すげ、美味しいっつかイイ匂い…? ぴりりと抜ける山葵の刺激も、ナイスなアクセントになっています。…うわぁ、ネギ入ってるのに、いやむしろこのネギの匂いが美味しい!! すごい!! ええ、ある種のカタストロフでした。これまでの概念を軽く覆されるカルチャーショックでした。アイデンティティの危機ですよ! だって、ネギが美味しいだなんて!! いやしかし本当に美味しかった。臭いとしか思えなかった薬味のわけぎが美味しい、いい香りに感じた。すごい、ひつまぶしマジック。ひつまぶしミラコー。ひつまぶしわんだほびゅりほーえくせれんと。ひつまぶしまにふぃっく。ひつまぶしぶらびっしも。とりあえず、この光景(私が自らの手でネギを投入し食う)を母が見たら目を疑うね。卒倒するかもしれないね。だって生まれてこの方見せたことないしやったことないもん。でも美味しいのーすごいーすごいー。最初の、パリパリサクカリうなぎの美味しさに、さらに薬味の風味が重なり、2杯目にしてスタンディングオベーションレベルの美味しさでした、ひつまぶし。凄いったらない。
 で、3杯目。こんどは、薬味をのせた上から出汁を注ぎます。

 2杯目のわんだほびゅりほー体験で、すっかりわけぎへの警戒も解けたわたくし。少し大胆に乗せております。すげーなー今見ても信じられない。食べられないってこんなの。
 でもね…これがまた美味しかったんだなー! さっきまで、濃密にうなぎと絡まり合っていたタレの薄甘辛な味が、出汁に溶け出してしまい、うなぎ本体はほぼ白焼き?ってくらいのあっさり加減。で、薄味のついた出汁とタレが溶け合った美味しい汁で、ご飯はさらさらーっと。え、何この超絶あっさり感。ぜんっぜん違うー! 3杯目にして全く別の料理へと変貌を遂げたひつまぶし。すごいぞひつまぶし。変幻自在だひつまぶし。この時点で、軽ーく茶碗3杯目だというのに、まぁ朝からほとんど何も食べずにこの為に来たわけですが、それでもかなりの重量を胃に収めているハズなのに。まださらさらーっと行けてしまいます。恐るべしひつまぶし。しかも、ペースを落とすと食べられなくなることが目に見えていたので、手を止めることなく流し込む。美味しいのと勢いでさらさらっと3杯目も食べ終わりました。
 そして最後! 初心者はどれが一番好みの食べ方なのかもわからないので、やはりマニュアル通り4分割して全てを一通り味わった上で、どれが好きだったかをじっくり思い返し、最後の1杯を愉しむべきでしょう。ベテランさんは、試す前からどれが好みかとかわかってるからね、ペース配分もその時点で出来るけどね。やはり初心者は基本が大切です。私も次回からは4等分しなくても食べられるかもー! でもきっとマニュアル通りまたやる気がするけどー!
 で、初回の記念すべきオオトリを飾ったのは、…ええ、2杯目の薬味投入バージョンでした。すごいよ私! またもや自分でネギ入れてるよ好きこのんで!! ありえなーーい!! でも、わけぎ入れたのに美味しい!という衝撃も含め、3杯中でこれが一番美味しいと思ったのです。薬味の有無でこうまで風味が変わるとは。これが薬味の力というものか…と、ちょっと目から鱗がはげました。もしかしたらこれでネギ嫌いも克服しちゃったかもしれなーい☆ オトナの階段登ったかもしれなーい☆*3 *4
 見事米粒1つ残さずお櫃を空にして、しばらく動けない感じになりつつ、松坂屋を後にしました。名古屋の主な交通手段は地下鉄のようで、地下鉄に乗ってのんびり観光へGO!です。「面白い…かもしれない」とお薦めしてもらったのは、名古屋市役所愛知県庁。何やら、昭和初期に建てられた古い建築物とのことで。わーいそういうの大好き! 古い西洋風建築とか、和洋折衷なのとか、大好き!とノリノリで連れて行ってもらいました。がノリノリのわたくしの隣で、軽く首を拈るお友達。和洋折衷…っていうか…まぁ、面白いと思うよ、と、何やら歯切れの悪い。どうした、何なんだ。いいじゃないか昭和初期の官公庁なんて最高じゃないか。
 地下鉄が駅に着き、「ここから上がるのが一番イイんだよ」と連れて行かれた地下鉄の出口を上がり、そして「あっち」と示された方向をくるりと振り向くと、そこには。

じゃじゃーん!

 そしてその隣には。

ばばーん!!

 なっんっじゃっこっりゃっ!!!
 見事な西洋風建築、の上に、何故天守閣が。どうしてお城が。何、どうしちゃったの。何この可愛らしい程のトホホ感、愛らしすぎる!!
 手前の背の高いのが名古屋市役所、奥の立派なのが愛知県庁、だそうです。凄いなぁ愛知県。いいなぁ名古屋市。パスポート申請とかしに来るのかここに。いいなぁ羨ましい! それにしても、ものすごいデザインです。可愛らしすぎる、むしろ愛おしい。何がどうしてこんなことになっちゃったのか。これでいいのか、いやこれがいいのか。これでこそなのか。やはり政府の建築物の上には天守閣がないとイカンのだろうか。素晴らしすぎる。


 もう、大喜びです。たまらないー! 正統派な美しい洋風建築も大好きですが、こういう、何かちょっとどうしてそうなっちゃったのかトホホな感じのものも大好きです。生憎土曜日で、役所はお休みで中に入れなかったのが残念。中はトホホ感薄く本当にカッコイイそうで…それもまた見たかったなぁ。いつかぜひ再会したい子たちでした。
 ああ可愛い。何度も振り返ってしまうこの、可愛らしい屋根。どうしたんだろう、当時の愛知県政と瓦業界に何らかのコネクションがあったのだろうか。西洋建築にしたら瓦の需要がないじゃん!と瓦業界から圧力がかかって、それできっと当時の権力者が瓦を多用するこのデザインで押し通したんだきっと。きっとこの愛らしくトホホなデザインの裏側には、厖大な金と権力が蠢いていたに違いない。かどうかは知らない。
 で、そんなキュートな市役所と県庁に別れを告げて、えーとどこに行ったんだっけ。名古屋城を見に行ったんだっけ。そしたらもうけっこうイイ時間になってて、今から入っても城内には入れませんと云われたんだっけ。そんで、だったら入場料払って中に入るのもアレだねぇ、と外から金のシャチホコを拝めるポイントを探したんだっけ。
 お堀の周囲を歩きながら、何となく、城を外敵から守るのに水を張るという思考が、とても島国の民族的だなぁとぼんやり思いました。山を築いたり、壁を作ったり、で隔てるのではなく、水で周囲を囲む。きっと日本人のDNAに何となくあるんじゃないかしら、水で隔てたらその向こうは外界、という感覚が。海に囲まれて、海にあちらとこちらを分けられて、海に守られて、海に阻まれて生きてきた民族だもの、とまぁ素人考えというよりむしろ妄想ですが。いつもの。
 で、なかなか見えない金のシャチホコ探しててくてく。何だっけ、えっと能楽堂?とかから見えました。とても小さいですが、一応。金色が夕日を浴びて輝いておりました。

 あんまり見えない(笑)。しかも、超絶キュートな市役所と県庁の後なので、インパクトでもちょっと負け気味です名古屋城。遠くの城より近くの県庁か。
 ほんで、だいぶ歩いて疲れたので、タクシーに乗ってそろそろ会場近くに向かおうか、なんてタクシー捕まえて、ああ城入れなくて残念だったねぇでも市役所は可愛いねぇなんて話しておりましたら、タクシーの運転手さんが我々を観光客だと見抜いたらしく。いやお友達は地元住民なんですが(笑)。名古屋観光ガイドみたいな冊子を後部座席に貸して下さいました。で、それをめくったら、旧裁判所かな? 赤煉瓦の、とてもソソるナイス建築物がありまして、「あーこれも見たかったなぁ!」なんて口にしたところ、運転手さんが「通り道だから止まっててあげるよ、支払中にして」と! ええっ本当に!? いやメーターは回してていいですよー! でも親切な運転手さんは、旧裁判所の前にタクシーを止めると、「降りて見てきなよ、待ってたげるから」と…ああありがとうございます! 行ってきます!と携帯握って走り出すワタクシ。赤煉瓦の建物全貌は近すぎて撮れなかったけど、エントランス部分を撮ってきました。階段に足をかけたところで5時の鐘が鳴り響き、「すみません閉館なんですが…」と係のおじさんに云われてしまいましたが、何とか数枚を収め。くううー一瞬しかいられなかったのが本当に悔しい! もっと子細にじったりいろいろ見て眺めて顔近づけて来たかった!! それほど美しい建築物でしたよ…いいなぁちゃんと行きたいなぁ。

 こんななの。で、裁判所だったので、地下に拘置所があって、監獄みたいになっているところも見学できるのです。そっちも見たかった…。現在は使われていなくて、会議室とかになっているそうです。拘置所は見学用なのかな?
 で、ついでに、これまた通り道にあった、日本の女優第一号・川上貞奴の邸宅を移築したもの、の前でまたタクシーを止めてもらい、こちらもタイムアウトで中には入れなかったけど、外観だけは写真撮って来ました。いいなぁ女優第一号。可愛い家に住んでたんだなぁ。大正浪漫だなぁ!

 何だかドイツの山小屋みたいです。可愛いんだーステンドグラスとか嵌ってて。きっと中も可愛いんだろうナァ。
 そんなこんなで観光を終え、そして私は何故か鶴舞に降り立ったんですけどね! そんなオチはいらなーい!!*5
 おまけ。名古屋から帰る時に、お土産を探してた友達に付き合っていたら見つけたので、思わず自分用に買ってしまいました。

 エビ+チョコ。エビのぽんせん…って云う? ウチだけで通じる言葉? ふかふかした、分厚い、えびせん…の小さいやつに、チョココーティングしてあるというお菓子です。最近流行りの、甘い+しょっぱいブームに乗っかったのでしょうか。でも名古屋ってえびせんなの? そもそもそこからわからない。でも甘い+しょっぱいブームに乗っかりたいわたくしはスルーできませんでした(笑)。だってポテチでも柿の種でもなくえびせん! えびとチョコってどうなの!? 生臭さとカカオ臭が入り交じったらエライコトにならない!? これは期待できそうですよ!!
 帰宅後にさっそく食べてみました。

 中身はこんな感じ。裏はえびせんが見えています。味は…別に、何とも…(笑)。びっくりするようなものは特にありませでした。普通になんとなくむしゃむしゃ食べられる…。塩気もインパクトもイマイチ足りない感じな、茫洋とした味でした(笑)。いや、美味しくないわけではないんだけどね。普通なんだよね。
 そんなこんなで、エビ+チョコと膝のアザがお土産の名古屋旅行でございました。楽しかったー! また行きたいなぁそんでひつまぶし食べて旧裁判所の中に入りたい!!

*1:こりゃ回転早いはずだよ

*2:半分くらいはね

*3:その後他の料理でネギを口にするも、やはり耐えられず。アレはひつまぶしマジックかもしくはあつた蓬莱軒マジックであったことが判明

*4:オトナの階段滑り落ちた!

*5:再びタクシーぶっ飛ばして開演1分前に愛知厚生年金会館に滑り込みました