ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

「少女とガソリン」@ザ・スズナリ(6/28)

 数日本当にやる気がなくて、ほったらかしてしまったので記憶が薄れ気味ですが、観てきたよってことで。そのくらいはせめて書き留めておこうよ、と。消極的。
 初めて入ったザ・スズナリ、階段も壁も手すりも真っ赤だったのですが、あれはガソリン仕様だったのですねー。銀の手すりにまでカッティングシート貼り付けてあって、すごいなぁ…と思いました。あと初めて入ったんですがスゴイですねあの空間。せまっ!! きつっ!! 密集!! 運良く通路側端から2番目だったのですが、壁側だったら辿り着くまでにちょっと泣きたくなったと思う…。事情知ってたら開場すぐに行くんだろうけど、座席表も見つけられなかったし…端っこでよかった、と。ちなみに通路側一番端のお席は、あらかた着席されたのを見計らってスタッフの方が後から設置します。それまで待機らしい…そんな、ロビーだってロビーと呼んでいいのか迷うくらいの空間なのに!
 舞台の方は、場末の汚い飲み屋セットのみ、そこで繰り広げられる男達の暴走…正に暴走でした。走ってた! 2/3くらいまでの、めちゃくちゃな方向に全力での疾走感は、いつもながらたまらない感じで…うん、2/3くらいまでは。すみません、後半1/3で私の気力体力が尽きてしまいました…。暴走の果てに辿り着く静謐、みたいなところで、あろうことか睡魔が…しかも恐ろしく強烈なヤツが…私をさらっていったの、津波みたいに! 私、本当はそんなことしたくなかった、嘘じゃない!*1 *2
 なので、大変申し訳ないのですが、わたくし個人的には、後半失速…と云いたくなってしまうのですが、多分それは私の睡魔の所為であって、芝居のテンションは相変わらず高いまま、ビリビリのギリギリなハイテンションの静けさ、であったり、前半の疾走の果てのその静けさが何とも云えない余韻や虚無感、絶望感をアレしていたり、だった…んだろうなぁ…勿体ないなぁ。そのギャップを体感してこその阿佐スパじゃないのか。そこで寝落ちしかけてどうするよ…。大変申し訳ない。しかしあの睡魔には本当に太刀打ちできなかったのよぅ。
 しかしやはりというかそれでもというか、前半のハイテンション全力疾走は本当に楽しく、楽しい…だけではもちろん済まされないのですが、観劇しているこっちとしてはやはり楽しいのでした。リポリン登場、のあたりなんかもうテンション上がりまくりですよ! アイドル!! 振り覚えて一緒に踊りたい!(笑)キラキラした顔で踊る野郎共がまた可愛らしかったです…純粋で…この純粋さが後に狂気へと変貌していくのだけど…。
 汚れた水の流れる土地、と差別される櫛田の町で、閉鎖された酒蔵の再興を夢見ながら居酒屋に集まる男達。差別されている櫛田の人間である、ということを誇りにし、ただ酔うためだけの三流酒「真実」*3を誇りにする彼らの「ミューズ」はアイドルのリポリン。彼女は男達にとって、自由と平等の理想郷「エデン」の女神なのだ! そんな彼女が何と、櫛田のリゾート開発イベントにゲスト出演することになる。櫛田の濁った水を綺麗にし、汚れた町を綺麗に取り繕って再開発しようとする計画に反発する彼らは、エデンのミューズであり労働者の味方である我らがリポリンが、そんな仕事を自らの意志で受けるはずがない! きっと無理矢理イヤイヤやらされてるんだ!と、リポリンの奪還(救出)作戦を企むが…。
 てな感じの前半です。この…来る、リポリン来ちゃう!のあたりの無駄な高揚感が、何というか、とても他人事じゃないというか、非常に観ていて軽く目を伏せたくなる感じというか、でもわかるわかる!!というか(笑)。で、その場に偶然居合わせたツーリング旅行客の中山祐一朗さんと、真実を何故か忌み嫌うオッサンが巻き込まれ、暴走するんです。団子になって。
 伊達さんも松村さんももちろん長塚さんもステキでしたが、やはりイケテツさんは…目を惹くというか。コミカルと狂気が共存しつつ、存分に互いを引き立て合っている。今回の役がそういう役だったんですが、それを差し引いても、他の誰が演じてもあの怖さは出ないだろう、と。トミーはちょっと勿体ない感じがしました。中村さんと犬山さんも悲しくて人間味溢れてて良かったです。結局人間なんてそんなものよね、と。中山さんはひたすらキュートでした。キュート担当。でも誓くんを追い出すところは格好良かった! そして誓くんがそれっきり出てこない潔さもちょっと笑った(笑)。そしてリポリンこと下宮里穂子ちゃん、現役女子高生。…かぁんわゆい! かぁあんわゆーい!! 最近の「実は裏ではこんなことしてますけど」みたいなのが全くない、純粋な、もう存在自体が架空じゃないの?みたいな清純派正統派アイドルで…リポリンDVDシングルとか出ないんですかね。踊りますよ謹んで踊らせて頂きますよ。乾杯は「エデンに」ってやりますよ。あー私もうっとりした顔で「…トゥルース…!」って呟きたい。どんな歌なのトゥルース。それはアレだよねどの未來映像が好き?とかそういう話をしている時に「スパニュもいいけどでもうどんもタマラナイよ」「あーメレンゲね!」「メレンゲね…」の「メレンゲね…」と同じですよね。すんごい目に浮かぶわ…すみませんすみませんきもちわるい。でもだから私あの人たちをきもちわるいとは思わない。むしろ混ぜて欲しい*4
 テーマとしては差別・平等・主義vs親子愛、という感じでしょうか。前半は笑いにまぶして、後半ずっしり(でもたまに笑い)ボディに来る構成。いつもながらの阿佐スパ的血糊描写もしっかりあります。私はその辺、エンターテインメント的に楽しんでしまうのですが、ダメな方にはダメでしょうね。真実もどきの作り方、とかすんごい可笑しかった…。ラストの収め方が、何となく…何となく、でまとめられてしまったような気がしなくもないのですが、後半ぐらぐらしてた人には何も云われたくないと思います。ごめんなさい。きっと何か見落としたんだ…。最後、叶わなかった「エデン」のような光景に、赤い花吹雪が降りしきるのは、とても綺麗だったのですが、…あれ、こういうの私最近観たような、しかもかなりたくさん…と思いました。さらにこの日、白井晃さんが私の後ろの後ろくらいにいらっしゃったのに! わー!!
 あと、長塚さんは水子に何かあるのかなぁとちょっと思いました。ちょっと、ね。…ちょっとだけ、ね(笑)。

*1:非常に便利ですな

*2:社会じゃ通用しないけどな

*3:これもガソリンだよな

*4:前半だけ!!