ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

Fabrica[10.0.1]@赤坂RED/THEATER

 mmoohさんちで教えて頂きまして、本広監督+永野宗典ムロツヨシというSTMB面子に加えて富岡晃一郎@アントーニオin役者魂!という豪華メンバーについついふらりと…(笑)。金曜夜に行ってきました。何かね…客席ほとんどが関係者、みたいな感じで…ちょっと異様だった。来る人来る人ニット帽目深にかぶって誰かと「ああどうもどうも」「お久しぶりです」みたいな挨拶してんの。すいません一般人がいて…。
 ストーリーは、学生時代に自主製作映画を作っていたメンバーが、ふとしたキッカケで10年ぶりに集まり、10年前の映像と現在の自分たちを撮った映像を織り交ぜたドキュメンタリー「風」*1 *2作品を作る、というもの。10年という歳月の中で、変わったもの、変わらないもの、変われないもの、変わらざるを得ないもの、10年前に見ていた夢と、10年後の現実、そんなものを淡々と、時間軸を時折行ったり来たりしながら、浮き彫りにする話でした。舞台装置はシンプルに、白いカーテン状というか縦ブラインド状のもので奥と手前を仕切り、白い六角形を半分に切った、大きな積み木のようなものを積み上げてそれがテーブルになったりファミレスの座席になったりオフィスのデスクになったり、という。セット替えを出入りする役者が出入りのついでに動かしていくのも面白かった。
 役者さんは期待を裏切らない良さでした。やっぱりアントーニオはいいなぁ! この芝居でもオカマ気味キャラというかオネエ系というかだったので、もう何か富岡さんはフツウには見られない気がします(笑)。ムロさんは双子の片割れで、双子の相手と妙に双子っぷりがマッチしていて面白かった。メガネキャラなんだけど、メガネを直すタイミングとかバッチリ合ってるの。永野さんはちょっと勿体ない気がしました。何かもっと…見たかったなぁ。弥生役の吉本菜穂子さん、特徴ある声が何かどっかで聴いたことある…と考えてたら思い出しました、雷雨の所為で途中までしか見られなかった劇団、本谷有希子の「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」の…待子さんですよね! すっとぼけ奥さんから女子高生まで…すごいです。おかっぱ可愛かった。他の方は多分初見でしたが、とても安心な感じでした。女性陣パワフルだなぁ、奈月は可愛いし優子はちゃんとムカツクし(笑)。ホント、役者はとても良かったです。
 が。
 何だか…何というか、何とも云い難いというか。面白くないわけではなく、ストーリーも随所に笑いを散りばめて、でもテーマはけっこうシビアで、カタストロフありオチあり軽いどんでん返し的なものもあり、キャラクターもそれぞれ輪郭がくっきり際立ってるし、ラストシーンは美しいし、悪くない。んだけど。
 この、「んだけど」感が…くせ者です。何由来の「んだけど」感なのか、がわからず、金曜からずっとぐねぐね考えてるんですが。うーん、予想もしくは期待していたものと提示されたものの差違部分の大きさ、かなぁ。ちょうどSTMB舞台版の録画を見たばかりだったので、何となくアレ系の、面白クダラナでもスッキリ、みたいなものを、無意識裡に期待してしまっていたのかもしれない。…別にヨーロッパ企画を見に行ったわけではないので、そこに期待するのはそもそも大間違いなんですけどね…スミマセン…。もしくは、脚本セットストーリーキャラクター演出、全てに於いて「(そこそこ)良い」だと、平均されて全てがプラマイ0になってしまう、感じかな〜と。どれもいいんだけど、さらにどれか一つが突出して良いと、「○○がめちゃくちゃよかった!!」て思うんだろうけど。難しいなぁ。
 何を求めて芝居を見るか、が大きいと思うのでした。私はやっぱり、何らかのドラマティックな出来事とか、特殊な状況や事件とか、怒濤の展開とか、そういう非現実感や日常とは異なる世界を、どちらかと云うと…見たいんだろうな。とてもリアルで、身近にありそうで、むしろ数年後にはあるかもしれない日常を、劇場で体感したいとはあまり思わないのかも知れない。
 要するに合う・合わないの問題なのかなぁという辺りに落ち着きました、とさ。すいません好みの問題っぽいです。

*1:ドキュメンタリーではないところがミソ

*2:たぶん