ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

ダンス・トリエンナーレ Gプログラム

 水曜日、青山円形劇場に行ってきました。7年ぶりのルイーズ・ルカバリエ様を見に!
http://www.aoyama.org/japanese/topics/sozai/2006/triennale/schedule.html
 全席自由だったので、ちょっと早めに行ってサイドだけど最前列を確保。わーんルイーズが近い!っていうか本当に本物を生で見ているのが不思議な程…わぁ本当にいたんだ、という感覚で見てしまいました。違う、ダンスを見るのに! ルイーズを見に来ちゃいけないのに!
 ルイーズと今津雅晴のデュオ「Cobalt rouge Remix」がやはり、一番何というか…ピンと来ました。見たいと思っていた方向性のものを見せてもらえた感じ。でも、最後にラララで見たルイーズの印象とだいぶ違っていて…何だろう、女性らしくというか…柔和な雰囲気になった気がしました。何かね、もっとね、性別越えちゃった野生の動物みたいな、どう猛な空気がすごく印象的だったんだけど、目の前で踊る…というより動く、蠢く、ルイーズは、すごく柔らかくて優しくて女性的だった。もちろん、切り裂くようなスピード感とか、暴力的なほどのキレとかはさすがだったんだけど、プラス優しさとか母性とか、何かそんなものを…振りまかれてしまった…美しかったです。美の種類が前と変わっていたけど。もちろん、振付の違いなのかも知れないし、エドゥアール・ロックの作品を踊ったらまた変わるのかもしれないけど…いやでもあの柔らかさ、あの柔和さは何か…びっくりした…綺麗だった…。綺麗でちょっとユーモラスでたおやかで、ヒリヒリしてて息苦しかった。ああ、見に来てよかった、と心底思いました。
 今津さんは初めて拝見したのですが、自由な肉体っていいなぁ!とすがすがしく思う動きでした。冒頭いきなり倒立されてて、舞台上に突き立った2本の脚を見ながら「あー八墓村…」とか思ったのは許して下さい。
 ルイーズのソロ「"I" Is Memory」はまた何というか…大変なことになっていました…主に足が…。えっと、すいません見ながら私ずーっと、「マクダフだ…マクダフってる…」と思い続けて顔をしかめておりました…。だって! 足首がずーっとマクダフなんだもん! 30分くらいかなぁ、の作品中、常に足裏が見えている状態で立つ、踊る、椅子の手すりに乗る。足首おかしくなっちゃうよ〜…といらぬ心配でハラハラしっぱなしでした。すごい。つか痛い。ひねった足首に全体重乗っけてしかもそのまま片足立ってスーパースローモーな動きとかあり得ない。もういい、もういいから普通に立って下さいお願い、と後半祈り続けてしまいました…おかげであの、メッセージ性とか全然アタマ回らなかった…。
 順番が逆ですが、アルコ・レンツというフランス人振付家の作品もありまして。これがまたすごかった…凄絶だった。ダンスを見ているというよりは、原始宗教の祭祀を見ているような印象だった。踊っていたのは多分ベトナム系の女性ダンサーだったのですが、小柄な彼女がシャーマンに見えた。ノイズ系ミニマルミュージック風の音が通奏低音みたいにずーーーーっと鳴る中、完全暗転からごく微かな照明に照らされて、身体の輪郭が見えるか見えないかくらいの暗闇が20分くらい続いていたんじゃないかと…そこから音・照明・動きがじわじわと加速していって、ほとんどトランス状態みたいな熱狂に…でも、すんごい熱狂なんだけど、それをすんごい圧力で抑え込んでいるような感じ。ギリギリの爆発を抱えたストイックさというか。何か…すごかったです…。ちょっと怖かった。あと、人間の肉体ってほんっっと計り知れない、と改めて思いました。そして常に思う、自分の身体にごめん、と。本来ならあそこまで動かすことが、できるできないは別として、物理的というか可動部位・範囲的には可能なはずの身体なのにね…全然動かしてあげられなくてごめんね…(笑)。
 次はコンドルズを見てきまっす!