ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

遥か荒野の彼方、深い森の奥に

 というわけでひみつでも何でもないたくさん歩いた顛末をば。バカみたいに長いくせにどうでもいいので、畳んでおきます。

 
 金曜日、母上からメールが届きまして。お弁当持って車で公園に行かないかと誘われたので、その辺のイイカンジの公園でイイカンジに散歩してイイカンジにおにぎりでも食べてイイカンジにのんびりしてイイカンジにお茶して帰ってくるコースを想定、ワンピースにブーツ…じゃおにぎり食べるのにはあまり具合良くなさそうだし、もしかしたらちょっと歩くかも知れないし、じゃあ革のスニーカーにして、カバンに財布と携帯つっこんで合流しました。ら…何故か車で2時間半ほど強制連行、着いた先はコチラでした。
http://www.shinrin-koen.jp/

 えっと…けっこう遠くまで来ましたよね…。でもまぁイイカンジの芝生でシート広げてお弁当でしょ? 帰りにコジャレカフェでケーキとお茶でしょ?と入園料払って*1中に入り、木々に囲まれた散歩道をてくてく…てくてく…てくてくてくてく…っていうかこれ山道…むしろ登山…どうして私ワンピースで登山してんだよ…。こんな話聞いてないんですけど〜!と云いながら滑る山道をよいしょよいしょと登ったり降りたり。ぱぱもままんも歩く気満々な格好なんですけど。「なんでワンピースなのかと思ったわ」って…しらねぇよ!! むしろブーツで来る勢いだったよ!! せめてスニーカーでよかったです…。
 1時間もしないうちに、広い芝生に出たので、その辺のベンチでイイカンジランチになりました。うん、イイカンジだ! 軽く汗かいていい運動したしお腹も空いたし! 遠く微かにコスモス畑を望みながら空いた小腹を満たし、夜の予定の電話などもしつつ、じゃあご飯食べたし帰ろう!と…いや、ぶらぶら散策しつつ車に戻って帰りにお茶しなきゃだし5時に吉祥寺待ち合わせしちゃったし*2、のんびり行きましょうとベンチを後にして、ぐるっと回って車を停めた入口に戻ることにしたのです。
 武蔵丘陵森林公園というのは、南北に長い縦長な形をしておりまして、南北にそれぞれ南口・北口、東西には中央口と西口があります。我々がご飯を食べていたのは中央口と南口の中間ほどにある芝生広場の一角、車を置いたのは北口、直線距離にして約3キロ強というところでしょうか。地図を見て、うえええこれから3キロ歩くのかよおお、とちょっと気が遠くもなりましたが、とにかく戻らないことには帰れません。移ろいゆく秋の森林を眺めつつ、おさんぽわんこの可愛らしい姿に目を細め、行く先々にあるハーブガーデンだの生垣見本園*3だのにキャッキャと沸き立ち、してればそのうち着くだろうと、足痛ーいつかれたー遠いーとぼやきながらも北口を目指したわけでございます。
 途中、一番公園を知っている(はずの)母親が、「え? こっちじゃないの?」ととんちんかんな方角に行きたがるのを、父娘ふたりがかりで地図を見比べ「なーにを云っておるか。北口はこっちだっつの!」と正しい道へ引き戻し、歩くこと2時間。北口のゲートが見えて来ました。車も停まっています。駐車場です。
 が、しかし。
 …どう見ても、入ってきた所と違う場所です。こんな所通ってません。あっれー? だって北口でしょ?と駐車場のお兄さんを捕まえて訊いてみます。
父「あのー、北口ってここ…だけですか?」
お兄さん「はい」
父「…何か、来た所と違うみたいなんですけど…」
お兄さん「…はい?」
 …そりゃそうだよな…。どうやら、そもそも「北口から入った」という認識自体が間違っていたようです。全員で。誰一人として、入った場所をその目で確かめることはしなかったんですね。母親が「北口だ」と云うのを、誰も疑わなかった。ああ思い込みって恐ろしい。
 じゃあ一体どっから入って来たんだよ!? どこに出れば車が置いてあるんだよ!!と半笑い*4になるわたくし。よほど気の毒に思ったのか、駐車場のお兄さんが、「どんな入口でしたか?」と親切に仰ってくれました。えっとー、券買ってー、入ったら建物の中でー、建物の中の階段を上がって外に出てー、と幼稚園レベルの説明をとつとつとしてみたところ、お兄さんが一言。
「ああ、それ中央口です」
 …うっそーーーん。
 慌てて地図を広げ、さらにがっくりと肩を落とす。ちゅうおうぐち…通り過ぎてきたよね、つい1時間くらい前に…っていうかずいぶん昔に…ハーブガーデンの辺りだよね…あれから随分歩いたよね…。さすがに気が遠くなりました。ああ、思い込みって怖い。そういえば、ハーブガーデン付近で母上がとんちんかんな方向に進みかけて、無理矢理引き戻したのですが、今思うとそれは中央口に向かうルートだったのです。あああ母の嗅覚は正しかった…しかしそれは北口へは向かっていないのであった…口では北口と云いながら中央口へ向かおうとする母、我々はそれを止めるしかできなかったのである…。
 絶望にうちひしがれるご老体×3。おばあちゃん(母)とおじいちゃん(父)と小さい方のおばあちゃん(私)。中央口まで一気に運んでくれる園内バスは、ちょうど先ほど見送ったばっかりです。次に来るのは1時間後です。北口から中央口までは歩いて50分くらいだそうです。あはははは。あははははははは。あたかもマイキーのように笑うわたくし。平謝りの母。引きつりながら「いや…しょうがないよ…」と呟く父。恨み言も云えません…云ったらママン泣いちゃうし(笑)。
 しかし戻って車に乗らないことには、家にも帰れません。5時に吉祥寺のお約束はとりあえず「緊急事態発生」「予想外です」メールでキャンセル。笑っていても仕方ないので、一度出ちゃった公園を、かくかくしかじか丸々クマグマと説明して、北口のお姉さんに哀れみの眼差しを投げかけられながら再入場、今来たばかりの道を1時間、戻りにかかります。
 …がかかった瞬間にふと思いました。
「…お父さん…一人で行って車取ってきて北口まで迎えに来てくんない…?」
 すいません鬼娘です。しかしうちのお父さんはそれって真性Mなんじゃ?と思うくらい何というか、トレーニング好きというか、走ったり重いもの何度も持ち上げたり何かするのが趣味の人なので、どう考えても母とわたくしは足手まとい。パパンひとりで行った方が絶対速い。すると父上納得されたご様子で、「あーそうだねー。じゃあその辺で待ってな」と上着を脱ぎ捨て走り去りました。ありがとうありがとう鉄人気味な父。しかも運転できるのも父だけ。こうして役立たずの母娘は、今出てまた入った北口のゲートをさらにもう一回出て、とぼとぼと公道へ向かい、父上が中央口に達して車に乗って北口まで回ってくるのを、道ばたに座ってぼんやりと待っていたのでした。フード付きの濃紺ワンピースのフードを目の下までかぶり(日焼け対策)、道路脇に座り込むわたくしはあたかもKKKのメンバーの如く…いやKKKは白いのか。まぁいいや怪しいことには変わりない。とにかく非常に奇妙な光景であったことは確かです。が日焼け怖いから仕方ない。しょんぼりなママンに気を使わせつつ、車の到着を待つこと45分。ついにお迎えが来たのです! うわーんつかれたよー! しかしさすがは鉄人気味、50分の道のりを30分ほどで走破し、たはいいが車で中央口→北口のルートがカーナビがバカな所為で時間がかかったらしく。何かもーつかれたよとっても…と帰路に就いたのでした。ああ壮大なおにぎり食いだった…。
 で、もうどうせ待ち合わせにも間に合わないし、ケーキと紅茶くらい食べさせて貰わないと帰れないよ!と途中で立ち寄ったケーキとお茶のお店はラストオーダーの4時をギリッギリで過ぎており、何かもう…わかった。今日はそういう日なんだな! あははははは!とまたフーコンファミリー的哄笑を響かせて帰ってきました。もうやだ。
 でも2時間遅れでもう一回吉祥寺まで出かけたよ。ディナーは豪華だったよ。そんな1日でした。そういえば文化の日近辺は「スリーデーズマーチ」みたいなのをやってますが、やりたくもないワンデイマーチでございましたよ。やれやれ。

 もう森林公園には行きたくない。

*1:金取るんか!と思いつつ

*2:この時点で「それはムリじゃないか」と云われつつ

*3:フランス式庭園好きにはタマラナイ

*4:人間、心底困った時には笑いしか出ないんですね