ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

46億年の恋

 先日、金森穣関連で見つけた映画、見に行きたいんだけどと云ったらお友達が付き合ってくれたので、石板アイス後に行ってみました。同じ六本木だし。
 主演は松田龍平安藤政信三池崇史監督作品。他に窪塚俊介も出てました。
ページが見つかりません|韓国ドラマや韓国映画などのアジアエンタメ情報ならCinem@rt←このサイト何かすごく…ハンドリング悪い…。
 ↓↓↓以下、ストーリーの核心には触れませんが雰囲気的にはネタバレ含む感想です。


 見終わって最初に出た感想は、「ううーんダメ映画!」でした。何というか、典型的な監督の自己満足作品というか。でも正直、そんなにキライではない(笑)。もう一度観たいかと聞かれたら、…もう一回くらい観てもいいかもしれない、ただし無料で!という感じでしょうか*1
 映像は美しいです、と云えるレベルには惜しくも届いていない、かな。いや、キライじゃないんだけど! 悪くないんだけど、ところどころのチープさが、他のアラちょっとイイんじゃない?ポイントを上書きしてしまって残念。アニメーションCGのチープさは何ともならないのでしょうかね。アレ笑っちゃったよ…。象徴的に現れる黒い蝶も、なーんか動き安っぽいし。
 どこかで「小劇場の舞台セットみたい」と書かれていた刑務所内のセットは、私はわりと好きでした。息詰まる感じが。閉塞感が。閉所苦手な人にはお勧めできない感じですが。でも空間が狭いんじゃなくて、密度が濃いというか空気薄そうというか…そういう感触の映像だった。
 ストーリーは…あのですね。見終わって、「アレがあーしてこーなったから、それであれがああなってああなんだよ」と話したらすんごい単純明快な流れだったのですが、実際見てる間はもう、え? は? ん??と。とにかく、時系列順に撮られた1本のフィルムを細かく切り刻んで、シャッフルして繋ぎ合わせたような。それをすることに、話を難解にする他に一体何の効果があったのか、正直まったくわかりませんでした。普通にコロンボ形式じゃダメなんですかぃ(笑)。まぁ見終わってからパズルみたいに組み立てる作業はちょっと面白かったけど。あともう一回見たら意味とか法則性とか見つけられるのかも知れないけど。というか、こういう、咀嚼した後にもう一回、何かないかな、齟齬ないかな、と答え合わせ的に見直すのが好きです。ORみたいに(笑)。
 基本は「刑務所内で出会ったふたりのプラトニックな同性愛」+ミステリ的エッセンス、なのですが、まぁファンタジーでいいんじゃないでしょうか。バイオレンスNGな方にはかなりキツい暴力描写が多いです。がスピーディで躍動感あるので、ちょっと痛快な感じもする(笑)。たまにすごい単語が聞こえてくるのも、まぁそういう話ですから(笑)。ふたりそれぞれの幼少時の姿、入れ墨、通過儀礼、雨、ロケット、ピラミッド、てんこ盛りの思わせぶりなモチーフが、単純明快なストーリーを謎めいたものに見せている、のかな。 
 安藤さん。何か、私が安藤さんを見ると、いつも彼は大暴れしているので*2、すっかりキレる暴れん坊イメージの人になってしまいました。サトラレとか69とか見てないもので(笑)。綺麗な顔したまま大暴力、というのは何かお手の物ですね。でも、その圧倒的な強さが揺らいだ時の、不安げな壊れそうな表情も印象的だった。暴れ回る肉体を、美しいと感じられるほど、映像が美しく肉体を捉えられていなかったのが残念な乱闘シーンでした。スピーディでテンポ良かったんだけど。
 松田さん。実は、あんまり好きな顔でも、キレイだとも、思っていなかったんですスミマセン。どちらかというと弟の松田翔太くんの方がイイかなーなんて思ってたんですが。しかし。この映画見てるうちにだんだん、「アラ? 松田龍平って…キレイじゃない?」と。松田マジックか! 私だけかと思っていたら、一緒に観ていた友達も同じことを云っていたので、松田マジックを引き出すという点では大成功だった映画だと思います。
 で、個人的にこの映画を観る動機となった金森穣さんですが。
 凄い。
 役として、圧倒的な美と強靱さと眩しさ、熱さなど、全ての輝かしい要素を体現しなくては成立しないポジションでしたが、文句なしに圧倒された。冒頭にガツンと喰らわされて、後の印象が薄れてしまうくらい。間違いなくこの映画中で一番の見所は、金森さんです。ダンスとか舞踊とか踊りとか、そんな言葉じゃ追いつかない、躍動しのたうち回る、ひとつの美しい、剥き出しの魂。禍々しいまでのタトゥを施した、鍛えられ研ぎ澄まされた肉体は、それだけでひとつの芸術作品のようだった。息ができなかった。シーンの間中、何故か両手の指を突っ張ってました私(笑)*3。力を抜けない。神経を尖った金属の爪で引っかかれるような感覚だった。否応なしに心拍数を上げる、プリミティブで熱狂的な音と相まって、息苦しいまでの官能と高揚が爆発し、そして静かに手を差し伸べる男のデモニックな顔。冒頭のこのシーンだけでも観る価値あると思いました。凄い。
 鉄の蝶番が軋むような音の混ざった、音楽もちょっと良かった。うん、音楽と金森さんは素晴らしいです、この映画。
 …しかし、こりゃあ有吉*4もトラウマになるよな。タトゥの男についふらふらついて行っちゃうよ。しかしどんなのについて行っても、「彼」ほどの熱狂は望めるはずもなく、覚えるのはただ嫌悪感のみで撲殺。そして「彼」に匹敵する程の輝きを纏った香月*5の背に、同じタトゥの幻を見る。あー全ての元凶は金森さんじゃないか! 罪な男め!!
 そしてもうひとつの見所は、安藤さんの「OK」です。吹き出しちゃったよ! 必見!!(笑)

*1:金森さんとこだけは延々観たい/笑

*2:前回みたのはバトロワ

*3:エドガーかい

*4:松田龍平

*5:安藤政信