ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

演劇企画集団THE・ガジラ サテライト公演「THE NUMBER」@ワーサルシアター八幡山(6/20夜)

 これは昨日観てきた! サテライト公演は確か鐘下塾のワークショップを1年間行ってきたメンバーで上演される…んだったと思う。前回「フランケンシュタイン-現代のプロメテウス」、その前は「ドグラ・マグラ」を観ましたよ。ガジラでは毎回観られる岩野未知さんとか、あと今回はWSの講師もされている千葉哲也さんもご出演でした。あのキャパあの距離で千葉さんを拝めるの凄い僥倖……。

 あらすじとか何も予習せずにそのまま行ったら、すごい未来のSFな作品でちょっとびっくりした。けど情景が未来で設定がSF寄りでもガジラは全くもってガジラだったし、鐘下脚本は揺るがなく鐘下脚本なのでした。面白かった…まさかガジラでディストピア作品が観られるとは思っていなかった…。

 今から1200年と少しくらい未来、200年間に及ぶ戦争の果てにごく少数のみ生き残った人類は、グリーンウォールと呼ばれる壁の中で、完璧に制御された清浄で幸福な生活を送っている。あらゆる劣性遺伝子は排除され、ホルモン摂取によって老化現象はなくなり、制御コンピューター「カリタス」によって定められた規律に従って全ての人間が暮らす世界。あらゆる「個」は排除され、「我ら」の「完全幸福」に満たされた世界で、ひとりの科学者は見たもの、経験したものすべてを手記を認める。それは世界の完全幸福に疑念を呈するテロリスト、カリタスの規律を犯すもの、規律を犯し子を身籠るもの、規律と世界を死守しようとするものの戦いの記録。陰謀とスパイと騙し合いが乱れる完全に幸福な世界の先には、壁の外には、何があるのか。

 舞台セットは基本ほぼ何もない、空間と照明と少しの装置、椅子、小道具、そんなものなのに、一瞬で観たことのあるようなないような「未来」の無機質で無菌なイメージの中に飛ばされる感覚が面白い。アルコールランプの光と、蛍光灯の光の生み出す差もなるほどの演出でした。今回、ガジラには珍しいと思ったのが、身体表現というかダンス的なアプローチの表現が多用されていたこと! 新鮮だった! 転換時の音楽が轟音でかっこいいのはいつものガジラだけど、その時に一糸乱れぬイメージで仮面を付けた民衆が狭い舞台の上を蠢くの、統制された群衆のマスゲーム的動きで、世界観をより一層濃密にしていました。こういうのもあるんだガジラ!

 ストーリーは裏切りの連続で、敵だと思っていた人が味方だったり、やっぱり違ったり、どうしてあなたが!?なことになったり、展開から目が離せなかった。岩野未知さんやっぱりかっこいいなぁ。あと、今回の主演と云っていい科学者役の田村真帆さん、美しくてスタイル良くて格好良くてひたすら眼福でした…あのおかっぱほんと見惚れる前下がりボブ…女性陣けっこう体当たりで、下着姿くらいはガジラではあるあるなんだけど、まぁスタイルが最高にかっこよくてですね。エロより先に見事だ……ってなってしまう。お仕着せのジャージ(?)の下がコルセットブラってすごいフェティッシュだなぁ最高です。女性陣がかっこよかった分、男性陣ちょっとパンチが弱い気がしてしまうのも最近のガジラあるあるな気が…でも科学省のメガネの彼とか管理官の彼とか、あと脳みそ大好きな彼とか面白かったな。千葉さんはもう別格というか…流石…溢れるダメな色気がすごかったです。役名が全て英数字のコードナンバーで覚えるのが難しかった…。

 終盤に語られる、心があるから幸福になれない、心さえなければ完全な幸福が得られるのに、という趣旨の述懐を聞きながら、「獣の柱」を思い出したのは、これはもう仕方ないですよね。どちらもキリスト教的単語が見受けられた(カリタスもキリスト教から来てますよね)のも、偶然だけど何かすごく…ほほぉ…ってなってしまった。

 あと今回も早々に嘔吐シーンがあったのだけど、あの距離でかぶりつきで観ていてもよくわからないのだった…あれかな、バリウムの時の発泡剤みたいなのを少量含んで吐くのかな…?? あの短時間で突然あんだけの吐瀉物、無からは生み出せない…。