ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

イキウメ「獣の柱」@シアタートラム(5/31夜)

 トラムの座席に着いた瞬間ぶわーっと泣きそうになったのは舞台の設えと自分の座席が「マーキュリー・ファー」に近かったからです。マキュファはトラウマというかもうPTSDに近いんじゃないかな…っていうのを改めて感じた、イキウメとは全然関係ないスタートだった…。トラム、マキュファ後も何度か来てるけど、舞台の配置が違ったり自分の座席が違ったりでこれまであんまりそういうのなかったんだけど…下手前方とか思い出深い感覚でだめでした…うっまたやってくれないかな…やられたらとてもしんどいんだけどでも……うーん…しんどいな……。

 わたしはそもそもSFというかファンタジーが苦手で、指輪物語ハリーポッターも全然引っかからないままここまで生きてきたまったくファンタジックでない人間なのですが、SFはまぁまだ…ましかな?くらいなんですが、でもイキウメのファンタジー要素はものすごく大丈夫で、それって徹底してリアルな我々の普通の世界を構築した中に、数滴のファンタジー要素を落とすことによって、リアルな我々の世界はそれにどう反応するのか、みたいな部分がきっちり描かれているから、かな、と「獣の柱」を観ながら思ったのでした。ある意味、「シン・ゴジラ」と似ているような。シンゴジもその辺の塩梅がとても好きだったし。

 そして今回のファンタジー要素は、目にしたものを絶対の幸福の裡に閉じ込めてしまう隕石、という…凄かった。面白かった。イキウメ的黙示録だった。ある日空から降ってくる、幸福という名の厄災。それを指して「獣の柱」というタイトルになっている意味、すごく考えてしまう。2001年と2050年、ふたつの時代を行き来するけどわかりにくさは皆無、舞台美術や照明の美しさも流石です。人間が絶滅していく時ってきっとこんな感じなんだろうな……とぼんやりと思った…恐竜が絶滅した時もこんな感じだったんだろうな…。そしてほんの少しだけ生き残れた「次世代」の人間が、次の時代に続く礎に…なるんだろうか。あの子たちが。

 人間の幸福とは、幸福な生とは、幸福な死とは、人をヒトたらしめているものは何なのか、人と「獣」の差は、いろいろなことをぐるぐると考えさせてくれる舞台でした。七つのラッパを吹く天使とか、ラプチャーとか、聖書の黙示録を想起させる単語が散りばめられているのもちょっとにやりとしてしまう。あと浜野さんに襟高白ロングコート着せた時点で100点満点中5万点なので文句がない。

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