ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

muro式.10「シキ」@よみうりランド内muro式らんらんホール(4/10夜)

 2008年7月30日に第1回muro式.1「幾」が始まってから10年、節目の年に11作目*1の.10をもって終了となるムロ式、行ってきました。思い起こせば10年前、新宿シアターブラッツで最前列床上座布団体育座りで観た初めてのムロ式も、本多くんと永野くんのSTMB組だったね…。シティボーイズMIXを観に行った時に入っていたチラシで気になってチケット取ってみた10年前のわたし、よくやった。地べた座布団がベンチシートになり、座席ができ、映像はプロジェクションマッピングになり、キャパも公演回数も増え、一方チケットは年々取りづらく、それでもやっていることは最初からほとんど変わることなくムロ式で。シリーズ最後の今回も、そのスタンスは変わらず、わたしはとてもそれが好ましかったので、今回で終わってしまうのはとても悲しいし残念です。でも、アフタートークでムロさんが云った、次に進む為に終わる、muro式は終わるけど必ず次の新しい舞台を作るから待っていてほしい、の言葉はとても力強く、それはそれでとても楽しみになりました。

 さて、今回の.10「シキ」、まぁチケットが取れなかった。先行全滅で一般でやっと平日ソワレを確保できたけど、土日取れなかったねー。土日マチネに絞って先行エントリーしてたのが敗因か。でもよみうりランドって仕事の後に行けるの!? っていうか何でよみうりランド!? 他になかったの!? 空いてる会場で見つかったのがそこだけだったパターンですか!?*2新井パイセンじゃないけど遠いんだなあああ(笑)。

 新宿から電車を乗り継いで30分ほどで京王よみうりランド駅着、そこからゴンドラに揺られて5分ほど、夜景もイルミネーションも楽しめるのでなかなかこれはこれで…悪くないぞ(笑)。でも如何せん遠くて時間がぎりぎりなのでドキドキが勝ってしまうのでした…。ゴンドラが山頂に到着して、そこからランドの入口までまたちょっと歩いて、しかしランドはすでに閉園しているようで辺り真っ暗よ(笑)。足元も道順も若干怖い中、暗闇に目を凝らして入口はこちら的看板を見つけ*3、チケット提示で園内に入ると、暗くて人がいない遊園地の中をてくてくと10分くらい歩きます。道順は係員さんが案内して下さったので&だんだん人の姿がぽつぽつ見えたので、中は迷わずホールに着けました。夜の遊園地ってなんかわくわくするねぇレイ・ブラッドベリみたいだねぇなんて、時間が間に合うことがわかると途端に余裕が出て楽しくなってくる(笑)。時間があればねー! バンジージャンプとかやってみたいんだけどねー!! どっちにしろぼっちじゃやれないけどねー!!! あっあとスタンプラリーもやりたかったです。その辺はほんと残念。

 と、遠いだ面倒くさいだと文句ばかり云っていたわりにすっかり楽しい気分でらんらんホールに到着。会場の前の広場には、暖簾の下がった門があり、門をくぐると電飾で光り輝く櫓のような顔はめパネルが(笑)。開演10分前でしたが写真を撮るお客さんの列はまだけっこうな長さでしたよ。いいねぇお祭りだねぇ。確かに遠くてめんどくさかったけど、この非日常感お祭り感は遊園地ならではだなぁ。あと夜の、っていうのがまた特別感が出て…良かった(笑)。

 会場は普段はアシカショーなんかをやっているところで、プール部分を桟敷席にしてありました。わたしはスタンド席(しか取れなかったよ一般だから!!)、でも見易かったです。がお尻は確かに痛かった。アシカショー用の椅子は2時間の芝居を観る用には作られていない。逆に桟敷席のベンチにはクッションがあったので、もしかしたらそっちの方がお尻には優しいかもしれないです。いまさら選択の余地はないですが。

 本編に辿り着くまでが長くなってしまったけど本編、は、4本のショートストーリーのオムニバス形式です。.9とか9.5とか、ショートオムニバスなんだけど全体で何となく1本の流れになっている感が強めだった印象だったけど、今回はひとつずつ独立していて、それぞれがリンクするみたいなのはなかったかな。「シキ」というタイトルには式の他にも四季の意味が込められているようで、1作ごとに桜咲く春、満月の昇る秋、ブリザード吹き荒れる冬、そして花火大会の夏、のお話でした。春の1本目(タイトル忘れちゃった、「取材」?だったかな?)は、隣のマンションの出入りを写真に収めようと窓を借りるカメラマンと家主、その友人、の三つ巴バトル(笑)。ムロさんがこういうタイプの役をやるようになったか…ってちょっと感慨深くというか、10年の歳月を感じてしまった…永野さんは安定の可愛らしさで、本多さんもちょっと意外なキャラだけどとても良かったです、ライダース姿のレア感。秋の2本目「ケーキ」は、娘の誕生日の夜にケーキを買い忘れた仕事帰りのパパムロとそのご近所さん二人が遭遇するちょっとした…怪異? というか? 永野さんのああいう感じ似合うんだか似合わないんだかでも絶対近づきたくはない…けど良い人なんだよなー!! 知ってるー!! 結局どうなったのか、先が知りたい結末でした。いやぁでも…ケーキ忘れるのは致命的だよお父さん…。そういえばこの2本はどっちも、当事者2:傍観者1の構図になってるなぁと、傍観者の方はただ振り回され為す術なくうろうろするしかないんだけど、そこがどっちも絶妙だよなぁと、思いました。振り回され役も違うし、ただの偶然なんだろうけどね。

 冬の3本目は「スノーモービルズ・ハイ」、はい来たハイシリーズ! シリーズ? シリーズだよね(笑)。「デッドメンズ・ハイ」とか「ウインタータイムマシンズ・ハイ」「ラブ・トライアングラーズ・ハイ」「バックパッカーズ・ハイ」…うん、シリーズだ。こんなにあったか。旅先の温泉旅館から、盗んだスノーモービルで走り出してしまった3人の行く先と、スノーモービルとの心温まる…? 対話?? 交流??みたいなのを、「ハイ」シリーズの名にふさわしいテンションでぐいぐい突っ走る、爽快で大笑いなんだけど…な1作でした。ブリザード吹き荒れたねー凄かったねー(笑)。お腹抱えて笑いながら、大笑いしてるけどこれって…ってなるのもムロ式あるあるだなぁ、とその違和感やヤバさも含めて味わうのが醍醐味です。

 そして暗転中の舞台下手の端でムロさんが線香花火を1本燃やす、から始まる夏の4作目、は、再演ものでした。まさかのチョイス……今回、まったく前情報を調べていなかったので、不意打ち食らって大ダメージでした。冒頭の、携帯通話シーンからもう…涙出始めちゃったよ…これアレだ…ってなったよ…アレほんと弱いんだよ…。ええと、大好きな1作でした。大好きなんだけど、本当に泣き果ててしまうから、思い出さないようにしていたやつ、でした。ええ、まんまと泣き果てました…号泣だった。初演よりさらに、泣かせるつもりなんかありませんよ~?みたいな顔した3人にメッタ刺しにされてしまった。もちろん、ひたすらふざけるところはいっぱいあるし、基本的にはおかしくて楽しくて笑えるんだけど、わたしは全部泣き笑いになってしまったよ…どの瞬間も、語られるエピソードのどれひとつとっても、可笑しくて目に浮かぶようで本当に愛しくて、時間を止めておきたくなる、花火大会が終わらないでほしくなる。いや、遊びというかふざけるシーンやたら伸びてて、えっまだやるの(笑)ってなってたけどね、実際かなり伸びたらしいけどね*4 *5、ほんとずっと泣き笑いだった。泣き大笑いだったり大泣き笑いだったりしながら。なのでとても…つかれました…でも思い出すと今でも秒で泣けるから、なるべく波風立たないように、さざなみ立ったら納まるまで待ちながら、書いてるよ(笑)。

 終わらないでほしい、ずっと続いてほしいけれど、終わらない花火大会はなくて、終わらせなくちゃいけなくて。でも、最後の花火の美しさ、花火に彩られた3人の後姿は、ああ、これがムロツヨシの作りたかった、見せたかった景色か…と。そしてこれが今回の会場がここになった理由か、と。遠くてめんどくさかったけど、心底来てよかった、と。思いました。それだけの価値があったし、10年の区切りとして今回で終わるmuro式の、最後のシーンに、これ以上相応しい光景はないんじゃないかと。muro式という作品も、終わってほしくない、ずっと続いていてほしい、けど終わらせなくちゃいけないものなんだろう。そんな思いが込められたチョイスだったのかどうかはわからないけど、何となくね、花火大会楽しかったね、でも終わりにしなくちゃね、ってムロ*6に云われているような、そんなセンチメンタルな気持ちになりましたよ。

 震えるほど泣き果てたラストシーンから、暗転プロジェクションマッピング、カテコで明転してアフタートーク、もいつもの流れで。アフタートークも終わらなかった! もっとずっと3人のおしゃべり聞いていたかったけど、ゴンドラが! 帰れなくなるから!(笑)この3人は映画STMBで共演して出会ったとか、muro式.1もこの3人でシアターブラッツでやったとか、そうそう懐かしい…って遠い目になってしまったり、あのシーン延びたねーとか、ずっとやってんだもん俺もやりたいって嫉妬するムロさんとか、4文字の単語が全部そう聞こえて来ちゃって絶対だめなところでもふざけたくなっちゃう本多さんとか、始まるおふざけとか、うっほんと…ずっと観ていたいこの3人のわちゃわちゃ…。会場選びの顛末も、花火をどうしても上げたかったムロさんに、舞浜の空き地に小屋立てれば、必ずある時間になれば花火上がるからそれに合わせて芝居進行させる案(怒られる)なんかもありつつ、よみうりランドしかなかったとのことで…もうね、今となってはここでしかできない、ここで本当に良かったと心底思うね。あんな光景見せられちゃったらね…。マチネは必然的に演出が変わるわけだけど、でも話を聞く限りではそれはそれで美しそうでした。でもやっぱり夜が正解だよな~!

 muro式は終わるけど、2年後3年後に必ず新しい舞台をつくるから、それまで待っていてほしい、その言葉を信じて待っています。きっと、こういう…こぢんまりしたものにはならないんだろうけど、それなりの規模とキャパの新しい何かが、観られることでしょう。見せてね!! チケット買わせてね!!(笑)願わくばその新しい何かでも、ヨロキカのふたりがいたら嬉しいです。

 アフタートークたっぷりあるから、泣き果てて大惨事な諸々も落ち着いて助かりました。会場を出た時点で、ゴンドラ運行終了予定時刻の21:30を過ぎていて、でもちゃんとやっててくれてありがとうございました。輝く顔はめパネル櫓ももさらに眩しく、夜の遊園地は幻想的で、花火の余韻でどこか非現実的で、ゴンドラからのイルミネーションも遠い街の明かりも美しくて、素敵な一夜でした。

 いつか来るのを避けられない、花火大会の終わりの時に、「一緒にいるだけで幸せだったよ」って、云ってほしいし、云わせてあげたいし、云ってもらえるように在りたいね。わたしの大事なあの子は云ってくれたかなぁ。汗だくのおっさんの姿…おんなのこだからおばちゃんかな? それでもいいから会いたいよ。

*1:9.5があったからね

*2:9.5の能楽堂がそんな経緯だった

*3:ギリギリ過ぎてmuro式のお客さんもほとんどいなかった

*4:アフタートークで云ってた

*5:そしてアフタートークでも始まる「駆け落ち!?」

*6:とくろふね