ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

きゅうかくうしお Vol.0「素晴らしい偶然をあつめて」@原宿VACANT(4/28夜)

 初日の幕が開きましたー幕ないけど! 7年ぶりのきゅうかくうしお、7年という年月に目眩がしてしまうのだけど、同じく7年ぶりのVACANTは行ってみれば変わらぬ佇まいで、そうそうこんなだった! トイレはこんなだった!!と急激に懐かしく思い出されるのでした。

 7年前は、階段側が謂わば正面の配置で、広い壁をスクリーンのようにしたり、向かって左手には秘密基地みたいな楽器の巣があったり、輪っか型の照明があったり、タップ用の丸い小さいお盆みたいなステージみたいなものがあったり、そしてそれらをぐるっと取り囲むようにいろんな椅子やソファやベンチや何やらが置いてあったり、上手下手両側に雛壇が組んであったり、したのを思い出しましたが、今回はとてもシンプルに、階段上がった正面半分がステージ(同じ床だけど)、反対側に客席、という完全な対面型の配置で、客席も前2列が座布団席でその後ろに小さいスツール、その後ろに雛壇、とオーソドックスな小劇場タイプになっていました。座布団がちょっと面白くて、背もたれがあるアウトドア用品みたいなものでした。がお尻痛かった…(笑)。パンツかロングスカートじゃないと困る感じでした、念のため。

 初回は当日券も出せないくらいのぎりぎりパツパツとのことで、あと電源の関係で空調があんまり使えない?とか云っていたような…そんなに暑くも寒くもなかったけど、昼間だと暑いのかもしれない。調節できる服装の方がいいのかもしれない。です。上演時間は1時間ちょっとかな、初回は開演が10分くらい押したような気がする。途中入場が難しそうなので、遅刻厳禁です、と自分にも云い聞かせておく(笑)。

 そして7年ぶりのきゅうかくうしお公演は、前回がものすごく、生々しいほどの生のイメージに満ちていたのと対照的に、端々に死のイメージが見え隠れする印象でした。でも螺旋で球を描くのなら、生の次に死が来るのは当然だし、その先がまた生に繋がるのだし、そういう循環なのかな、とも思えるのでそんなに不思議ではない…かな…。いやまだそんな年じゃなくない!?とはとても思うのだけどね!?

 あととても感じたのは、呼吸する、立つ、歩く、話す、ことと、踊ることが、シームレスに繋がっていて、どれも同じ一続きの営みなのだなぁと、そういうふたつの身体があるのだなぁと、何かそんなことを。踊るって、それまでとそこからで空気が突然がらっと色を変える力というか、影響力のようなものがあると思うのだけど、今日観たふたりの踊りは、その場の空気感を切り替えることなく、今まで話していたのと何も変わらないまま踊り始める、今まで踊っていたそのままで話し始める、そういう感じが何だかとても新鮮で心地よかった、ような気がする。踊り始めた瞬間に場の空気が切り替わる、その場を統べ掌握し自在に操る感、ももちろん大好きなんだけど(笑)。

 もうひとつ思ったのは、うん、未來さん大きくなったな!!ですね(笑)。もうね、同じ場所で同じ相手と並ぶから、前回の光景も重なるし、対比もあって、如実に…分厚くなって…。コンタクトの迫力もこれが7年の差か…!!と思うものすごい迫力と力強さでした。7年前は真っ白くて金髪ふわふわで薄っぺらかったんだなぁ…コンタクトも何というか、辻本さんにリードされている感がすごかったというか、自在に振り回してもらってる感じだったもんなぁ。今回はね、格闘のようでした。ずっと締め技の掛け合いみたいな。迫力と濃密さがまるで違った! これがコンタクトか…。
 物販は、Tシャツ2種各3500円とステッカー300円でした。Tシャツは白地に幾何学モチーフプリントと、クリーム色にひらがなで「きゅうかくうしお」って書いてあるのと。ステッカーはよく見えなかったけど黄色くて丸かったような気がします。何買おうかな~。

 ネタバレ含むちょこっと畳みます。

  • 前回は板付きというか、入ったらもうそこに辻本さんと未來さん、だったんだけど、今回は舞台の形状も違うし、いらっしゃいませんでした。うん、開演までリラックスできる(笑)。
  • 舞台も客席も同じワンフロアなんだけど、舞台側の床は白いシート?で床が覆われていて何となーく分かれている感じ。その白い床の真ん中に、大小様々な大きさ・形の石が丸く、何か古代の祭祀の跡、みたいな雰囲気に並べてある。セットや小道具的なものはそれだけでした。
  • 入場時に上がってきた階段をふつうに昇って登場するお二方。ふたりともひっつめ髪に黒いTシャツ、未來さんは白っぽいパンツ、辻本さんは黒っぽいパンツ、なんだけど形はお揃いだった。何かちょっと不思議な…エプロン的なカシュクール的なひと捻りあるデザインのジョガーでしたよ。
  • 普通にどうも、こんにちは、とか挨拶から始まる。交互に客席に向かって何か云ってみたり。「あっ、どうもお久しぶりです」とか「爪切りとか持ってます?」とか「素敵なTシャツですねー」とか「うわ…めっちゃタイプ…」とか(笑)。
  • 後ろに下がって壁に背中がつく辺りから後方席に向かって「そっちどんな感じですかー!?」と呼びかけたり。答えようがない(笑)。なんかそんな始まり方だった。
  • で、真ん中の石のサークルをふたりで覗き込んで、これ好き、とか、これ引っかかる、とか云いながら小石を動かしたり。逆にこれ嫌いってのは?とか云いながら。好きな石、は見つけやすいけど嫌いな石ってなかなかないよなー。
  • 辺り一面に散らばった石を、避けて踊るように動いたり、石の上を渡るようにしたり。
  • そのうち辻本さんが話し始める。安い鶏肉と高い鶏肉の違い、から、原初の物々交換から貨幣が成立する過程のお話とか。安い鶏肉の鶏は掘っ建て小屋に飼われていて安い餌を食べている、高い鶏肉の鶏はきちんとした小屋でおいしい餌を食べる。とか。
  • 辻本さんが鶏肉の話をしている間、未來さんは上手側で正座して、床に置いた平たい小石の上におでこを着けていた。たまに起きあがって、また石におでこを乗っける。その石は好きな石なのかな。
  • 仰向けに寝転がった未來さんが寝転がったまま、「積む、じゃない。重ねる、でもない」と言葉を重ねていたのはすごく最初の方だった、けど。
  • あとはもう順不同で覚えている光景を。
  • 辻本さんが話している間に未來さんがおでこに小石を乗っけたまま動いていたのはまだ前半だったかな。
  • それをひとしきり…会場内を一周するくらいやって、戻ったら、今度は辻本さんがそれをやろうとして仰向けに寝転がった状態でおでこに石を乗せて始めようとして、それを未來さんが「いやいややらなくていいから(笑)」「今俺やったじゃんだいぶ長いこと(笑)」とか云いながら押し戻す、とか。
  • そこから石の奪い合いみたいなコンタクトになったんだっけ? 石の奪い合いの後にやらなくていい、だったっけ?
  • 知人のお母様の散骨に沖縄に行った話を壁際にふたり並んで立って話す未來さん。海に散骨っていいなー自由で解放感あって…って思っていたけど、実際見ていたら怖くなった、広すぎて深海とか未知過ぎて、リュウグウノツカイとかに食べられちゃったらやだなぁ、とか。
  • 辻本さんはあんまりピンと来ない感じ(笑)。それはお墓の中とか土の中でも同じじゃない? いつまでここにいるんだろ…みたいな果てしなさとか、と。
  • でも土なら溶けて混ざるけど、って云う未來さんに、海の方が溶ける、と辻本さん。そう云われて、むーー、と口とがらせる未來さんが可愛かった(笑)。
  • 今日は納得すんの? いつももっと食ってかかってくるのに、って云われて、いや納得はしてないけど、と折れない未來さん。こういう端々に、ふたりの関係性が垣間見えて楽しい。
  • 結局この話はどこに落ち着いたんだっけ…。
  • うちの母は海の散骨は苦しそうなので樹木葬を考えているようです。泳げないからって(笑)。
  • 散骨の話の方が石をおでこに乗っけるのより先だったかもしれない。
  • 散骨の話に続けてだったかな、辻本さんが自由に鳥肌を立てられる、という技?を披露していた。未來さん、7年前に見せてもらってすげーって云ったやつ、とか。
  • すごく大きな舞台に立っているのを想像したりするそうです。「いやちっちゃいけどな?(笑)」って突っ込む未來さん(笑)。
  • いくよ、って目を閉じる辻本さん、身を屈めてその片腕に顔を近づけて凝視する未來さん。あっきたきたきた、とか。寄せては返す(鳥肌が、とか。面白い特技だなぁ。
  • その、中腰に辻本さんの鳥肌を見ている未來さんの横顔がまぁ可愛かったです。鳥肌見えないからお顔見てたよ。
  • 仰向けに倒れた辻本さんの上に乗っかって、辻本さんのTシャツの中に頭を突っ込んで、脱がす…と思いきや自分のTシャツも一緒に脱いでいて、そこから濃密なコンタクトになる、とか。
  • すごかったなぁコンタクトも7年経つとこうなるのか…ずっと見ていたい…。
  • コンタクトの間に照明が緑になったりして、もつれ合う裸の四肢が緑に染まって、人としての形が消えていく感覚が、あっVESSELの時みたいだ、と思った。人体ゲシュタルト崩壊的な。でも緑だから植物的なイメージで…絡まる蔦とか、木の根っことか、そういう方向に見えた。
  • 舞台の4ヶ所くらいに石を積み上げていくふたり。未來さんの石積みが…上手いよね…? すごいバランスで細長い小石を立てたり積んだりしていてびっくりした。そんなこともできるの…。
  • その、積んだ石を、踊っているうちに突き壊していく感じが、ちょっと談スのチョークのスクラップ&ビルド感を思い出したりして。
  • 崩れた石の上に辻本さんを突き倒すの、痛そうだった…。
  • 仰向けに倒れた辻本さんを跨いで、石を下手奥に集めていく未來さん。集めながら、最近鼻で呼吸するようにしてるんです、と話し出す。
  • 口呼吸からいろんな病気や花粉症が始まった話がある、とか。花粉症、今年はちょっとお辛そうで…まだこんなんです、って鼻を啜ってた。いつもは桜が終わる頃にはおさまってるんですけどね、とか。
  • 目はあんまり何ともないけど、一度掻くとすっごくかゆくなって、ある時ずーっと擦ってたら白目がぶよぶよ? 何とかみたいになって、って何か大変そうなことを云っていて…怖かった…。ああこれもう見えなくなるやつやーって思ったけど知り合いにもらった目薬差したらすぐ治ったそうで、良かったーーーこわいーーー。
  • あと肌も花粉にやられるみたいで赤くなったりね、って。未來さんはおなかのあたりに小さいぶつぶつが出来てなんやこれって思ってたらそれも花粉だったみたい、とか。大変そうだな…。
  • そんな話から、五感で最後に残るのは聴覚、という話になる。植物状態みたいになっても音だけは聞こえている、とか。たとえ音が聞こえなくなっても、何かを読んだ時に自分の声で再生されたり、頭の中で歌が流れたりするのは、それはある種の聴覚かも、みたいなことも。
  • 真っ暗な深い海の底で何も見えずだれもおらず、頭の中の自分の声だけを聞いているってどんな感じなのか。って、散骨のイメージと重なることも出てきた。
  • 石を運び終えて、下手奥の石の前に座る未來さん。ぽつりと、「来年も桜、見れるかな…」とか云うから、何か、びっくりした。どういう意味だ…。
  • 石を運ぶ途中で倒れている辻本さんの身体の下にある石もかき出して、辻本さんの身体を反転させていたので、辻本さんはうつ伏せになっていて、そのうつ伏せの辻本さんが何か話しかけるけど、背を向けて座る未來さんは「さようなら」としか答えない。
  • そこから、辻本さんがゆっくり起きあがって、ゆっくりだけどものすごく張り詰めた動きをし始め、その後ろで未來さんは黙々と石を立てていた。
  • 留守電メッセージは7年前にもあったので、懐かしくもあり。内容は、うん、あれだね(笑)。みんなで、結局辻本さんは未來さんと会えたのかな…って心配してたやつ(笑)。*1
  • まとめて結んでいた辻本さんの髪が途中でほどけて、黒髪が綺麗だなぁと思った記憶が。未來さんのお団子はよれよれになりながら留まっていた。上下だった。上のゴムにシルバーの丸い飾りが付いていた。
  • すごく上手く積んだオブジェみたいになっている石を囲んで座るふたり、水音みたいな音が響いて、照明の輪がだんだん狭くなっていって、ぼんやり照らし出される胡座で座った未來さんの横からのシルエットが、アンコールワットとかにある仏像みたいで、ちょっとありがたみがあった…。
  • 後半の、コンタクトではなく、手も触れないのだけど、ずうっと目を見交わしたまま、手を伸ばし合ってでも触れない、で踊るのがとても…とても良かった…素敵だった…。シンメトリーではないのに鏡面みたいで、違っているのに相似で、対照的だけどよく似ていて、美しかった。
  • あとやっぱり踊ってる時のお顔は可愛いし美人だし最高です。身体ぶ厚くなっても変わらない…。
  • 初回で覚えてる光景はこのくらいかな。まだ出てくるかな。とりあえず、まだ何もメッセージ的なものは受け取れていない(笑)ので、今回はこの辺で。
  • 前回のきゅうかくうしおは、二重螺旋が球を描いて上昇していくイメージだったけど、今回のきゅうかくうしおは、潮で球を描くとそれは地球、みたいな…ベクトルが空じゃなくて地に向いている、そんなイメージ。を持ちました。わたしは。
  • …で、終演後にもらったチラシの裏に、手書き文字のメッセージがありまして。これわたしには、お互いに向けた弔辞みたいに見えてしまって…何だか息苦しい。なんでこんな別離の色が濃いの…手向けの言葉みたいになってるの…。

 初回のメモはこんな感じで。まだ全然、口ポカンで見ていただけなので、これからもうちょっと深めていけたらいい…けどいけるのかどうかはわからない…。トーク部分がとてもフリーな感じもしたので、その都度変わるのかな?とも思っています。とにかく7年を経て再び降りたったきゅうかくうしお、前とは全然違うけど、やっぱりきゅうかくうしおだな! おかえり!
 あっシトロとラタはいませんでした。ちょっと寂しい(笑)。

*1:辻本さんがツイッターで「森山未來と待ち合わせてるけどまだ来ない」って呟いてた事件です