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ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

映画「怒り」Blu-ray&DVD発売

 我が家にも無事、白い箱が届きまして、特典ディスク2枚を一気見してしまいまして、目が3になっています…すごい重量感。内容的にもずっしりだけど充実度もずっしりだよーありがとうありがとう…こんなに充実した見どころ満載の特典初めてじゃないかな…。

 

怒り Blu-ray 豪華版

怒り Blu-ray 豪華版

 

 

 まずはDisc1のドキュメント、あれは公開初日のブランチの時だっけ? 無人島でテント広げる未來さんの映像を見たご本人が「こんなの撮ってたの?」みたいなことを云っていたアレ、もちゃんと入っていたし、インタビューは田中さん最中の未來さんとスーツできちんと綺麗な未來さんと(それぞれは短いけど)どっちもあるし、破壊シーン別角度からとか、本編に使われなかった映像もいろいろ観られるし…すずちゃんと宝くんの一生懸命だけど監督が許してくれないところもちゃんとあるし…スタッフインタビューも照明さんとかカメラマンさんとかすごく興味深いお話が聞けるし、あの時系列が若干シャッフルされている編集の秘密というかミソも聞けるし、東京組の幻の後日譚も実は撮影してたとか…盛りだくさんの情報量たっぷりで逆にぼんやりしてしまう飽和状態になってしまう…。

 続いてテレビ特番、のは放送時に見たのでちょっと失礼(笑)して、制作発表とか舞台挨拶とかイベント関連の映像。プレミアは予定が合わず初日は当たらずで結局TIFFしか行けなかった怒り関連イベントですが、ワイドショーではちらっとしか流れなかったコメントがたっぷり聞けてこれもありがたい~。海外の映画祭映像も、未來さんはいないけど見てしまう…韓国のカメラマンにかっこよすぎてびっくりされちゃう渡辺謙さんほんとかっこよかった(笑)。

 そしてDisc2。ビジュアルコメンタリーって全編やる…んだよね…? 2時間半一緒に観るんだよね…?と恐る恐る再生したらええそのまま2時間半一緒に観ちゃうよね…。固定カメラ+本編画面くらいかと思っていたら、マルチアングルっぽく6画面(5人+本編)に分割されたり、本編と引きの2画面に切り替わったり、何かすごく…凝ってた…。せっかく2時間半もお顔見てられる(笑)んだからじっくり拝もう~なんてつもりだったのに、ついつい本編映像に引き込まれてハッしばらく未來さん見てなかった!ってなったりするのは、さすがの引力だったなぁ本編。こちらはもう、本編上映中ずーっと貴重なお話ばっかり、という重量級で…自分の解釈と答え合わせみたいなこともできるし、そうそうそこそうなんだよねー!!みたいなのとか、あっそうだったの!! わーびっくり!!みたいなのとかだらけで…あと映ってるシーンじゃない組のひとたちの反応や感想もいちいち興味深いし、ほんっと捨てどころがひとつもない。全部面白い。長いけどあっという間の2時間半でした…終わるときにえ~もう終わっちゃうの~?ってなるにはちょっとおかしい長さなんだけどなっちゃうんだよね…。

 ネタバレ全開なので本編を先に見ておくのはもちろんマストだけど、Disc1のドキュメントも先に見ておくと、照明さんやカメラマンさんのエピソードに「ああーあの方がー」ってなれるのでお薦めです。中村ビームとか(笑)。そういえば中村さんってせかちゅ映画の照明も手掛けられているんですね…そうかーせかちゅも光がいろんなシーンでとても印象的だったもんなぁ…。

 現場の山神役が誰だったのか問題の答え合わせもほぼ(ちょっと忘れちゃってたりわかんなくなっちゃってたりもしてた)できて良かった、し、大体合ってた(笑)。LINELIVEの舞台挨拶で監督が客席からの質問をはぐらかしていて、「誰か…と誰かと誰か(笑)」みたいに云っていたので、えっそんなに混ぜてる!? ほぼ未來さんじゃなかった!?ってびっくりして、その後もうひとり山神役の俳優さんがいらしたことを知ってさらに混乱したけど、…すっかりやられたわ監督(笑)。

 どこまでが元からある建物でどこからが美術さんが作ったもの、なんてお話も面白かった。千葉編のおうちそんなことに!!とか、事件現場のおうちそんなことに!!!!とか(笑)。東京編は唯一オールセットだったけど窓外の風景が本当に綺麗で…すごいなぁ。直人と優馬の位置関係がそのままふたりの心情を表わしている、とか、そこまで読みとれていなくて申し訳ない…力及ばずだ…でも云われるととてもなるほど~ってなる…。

 田中さんに関しては、未來さんが「この時なに考えてたんやろな~」ってしきりに思い出そうとしても思い出せない感じになっているのが印象的でした。渦の只中みたいな濃密で凝縮された時間だったんだろうなぁ、過ぎてしまうと朧のようなんだろうなぁ…。泉ちゃんの公園でのシーン*1を、実は田中が見ているシーンも撮影していた*2、という話はTIFFのアフタートークで聞いてへえええ!!って思ったひとつだけど、すずちゃんも見せる用(?)にまたやってた、とか…ほんとおつかれさまでした…あの泉ちゃんの絶叫と、愛子ちゃんの慟哭は、コメンタリー見ながらでもやっぱり泣けてしまうんだ…。公園のシーンに挟まる海辺での泉と辰哉のシーンがだいぶ先の場面、っていうのは公開中にそんな話をしていて気づいていたけど、走る泉を追いかける辰哉、を泉の家から海岸までずっと撮っていたとか、ビーサン脱げてアスファルトで火傷みたいになりながら走ってたとか、そういう話を聞くと…ああ…宝くん…。宝くんと云えば王様役しかやったことない話がとても可愛かったです(笑)。かっこいいな!

 あと、田中さん大破壊シーンの「律儀に全部壊していった」話とか、沖縄編クライマックスの辰哉と対峙する廃墟内で中村ビームの「ここに入って」「ここでかー!」とか…ありがとう何かそういう話が聞けるとちょっと心が軽くなります…。田中さんに関してはダメだし怖いんだけどどうしても「好き…」ってなってしまうので。Disc1での監督インタビューで、田中役は森山未来しか考えられなかったっていうのを改めて聞いて、本当に未來さんが田中で良かったと思ったし、田中が未來さんで良かったとも思ったのでした。はぁ…好き…。

 田中といえば「ウケる」がとても…物議を呼んだ*3のだけど、答えも出てしまったね。わたしも初回はどう受け止めたらいいのか、どう解釈したらいいのか、どう解釈すれば田中さんがクズでなくなるのか、とても困った(笑)のだけど、2回目を見て、ああこのひとは、ああ云わないと、ああいう云い方をしないと、保てなくなってたんだ、と思って、それですとん、と受け入れられた感じがしましたよ。公園で泉ちゃんを助けるのは自分以外にいないはずなのに、人を呼ぶことすらできず(なのでポリスを呼んだ声は別人だと思ってるよ)、ただ見ていることしかできず、そこに何らかの興奮や高揚を覚える自分もまた確かにあって*4、助けられなかった自分への怒りや、仄暗い快楽を覚える自分への怒りや、暴力への怒りや、それまでに自分が味わってきた理不尽なもの全てへの怒りや、そういうものが全部織り混ざってあの廃墟の字を刻むに至ったのだろうし、その怒りが大きければ大きいほど、自分に向ける失望や自己嫌悪も大きくなるだろうし、でもそれに対峙して受け止めるには田中さんの地盤はもうゆるゆるで、ああやって冷笑して、大したことじゃないことにしないと、きっと立っていられなかったんだと思うのです。少なくとも、泉と辰哉の前では、かっこいい年上の頼れるお兄さんでいなくちゃいけなかった。辰哉の旅館であれだけ暴れて、顔面に鋏を突き立てた血塗れの顔でなお、辰哉に対して「コーヒーでも飲んでいくか?」って笑顔を向けなくてはいけなかった。もうとっくに体面も「優しいお兄さん」像も壊れているのに、それに気づくこともできないくらい、ぼろぼろでギリギリで壊れてしまっている、のが、とてもとても悲しくて、好きなひとがみじめな様を見るのはつらくて、でもそれでも好きなんだ…つらい…すき…*5 *6。なので、味方になるって云った言葉も、流した涙も、大暴れも、客の荷物を放るのも、辰哉の首を絞めるのも抱き締めるのも、ウケるも、全部本当の田中なんだと思っています。普通踏み止まる一線を越えてしまったからこそ、もうその線が見えなくなって、とても簡単にこちら側とあちら側を行き来してる状態…歩くたびに左右の足があっちとこっちを順番に踏んでいるような…。でも、その線ってあくまでも「線」であって、壁とか崖とかではなくて、たぶん誰しも普通に、ちょっとしたタイミングとか、ほんの些細なきっかけとかで、踏み越えてしまう可能性があるものなんだとも思うのです。監督が、ただのモンスターにしたくなかったって云ってくれたのも救われる…。でも、電車で隣に座りたくないって云ってた松山さんの言葉もわかる(笑)。

 あとは何だろうなぁ、千葉も東京も、犯人じゃない男は近しい人にとても疑われて、本当の犯人だった男はほぼ疑われることなく自滅する、のも何というか…皮肉というか、でもそういうものなんだろうな…。

 愛子ちゃんと田代くんの幸せを祈るばかりです。

*1:が近づくと観たくないんだよーって他の話をしたがる松山さんがとても…愛しかった…

*2:おそらくこのシーンだろうと思われる写真がブックレットに掲載されてます

*3:少なくともわたしの周りでは

*4:これはTIFFで未來さんが云ってた

*5:最終的に語彙がばかになる

*6:学生の頃小論文の授業で「理論構築はいいのに結論になると投げ出すのどうにかしろ」って云われたのを思い出す