ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

「死刑執行中脱獄進行中」4・5回目(11/22マチソワ)

 連日詰めております。土曜のソワレから急激に、わたしの波長が舞台の波長にやっと合ったというか捉えたというか、レンジ調整完了というか、とにかくすっごく楽しくなっています(笑)。アドレナリンどばーってなるのたーのしーい!!
 ブラッシュアップもされているし、演出も少し変わったりして、日々アップデートしていっているようです。初日に感じた、実際の上演時間より長く感じる感覚もなくなった…のは、慣れたというかわかってるからだろうけど(笑)。あのシーン始まると、ああもうすぐ終わっちゃうーってなる…。
 マチソワまとめて、変更に気づけたところとか、気づかなかったけどそうだったのかなところとか。

  • マチソワとも、蜂のシーンがばっさりなくなりました。冒頭の格子越しに「俺はやってない」後、上手のカメラ前から上手奥の布横に移動して部屋に入ってくる体で「やけに暗いな」で電気つけようとして蜂、だったのが、「俺はやってない」後そのままそこで後ろを振り返り、「なんだこれ…これが牢獄か?」って部屋に気づく、感じ。蜂の仕掛けというか演出というか、面白かったんだけど…ない方がスッキリするとも思えるかもしれない…。なくなると惜しくなるやつね(笑)。
  • コップがいつも、いつの間にか出現していて、いつどんなふうに出てくるんだか現れるんだかわからなくて、今回マチソワとも前方だったのですっごい気をつけて見ていたら、テーブル前に座ってボトルに手を伸ばしたタイミングでテーブルの板から生えてきた感じにぽこっと現れました。が仕掛けはわからない…何あれ手品??
  • 部屋の怪異繰り返しで、取ろうとしたボトルが落ちるのはあるんだけど、男が触れてないボトルが落ちる描写がマチソワともなくなってた。猫が出てきてからの時は、猫が落とすのはあるんだけど。…説明しにくいな(笑)。
  • ソファの背に置いたコップが、端までひとりでに移動するのもマチソワともなくなってた。猫が出てきてからは、マチソワとも猫は動かしていたから、もしかしたら動かなかったのかもしれない。未來さんもなんとなく、端っこ取ろうとして端っこになかったみたいな風にも見えたし。
  • 猫の影絵が女の影に変わり「わたしを招待して…」の声に「は? 何云ってんだ?」と答える男。何なんだお前、とかいろいろ云ってた。
  • お船でいちゃいちゃ(笑)する女と男、女の読んでいる本を取り上げる男に「ちょっとやめてよもー(笑)」とか云ってるの可愛い。
  • ソワレは本のページがバラけてカモメ? うみねこ?になるところが、上手くバラけなくてちょっとハラハラした…。
  • お水のボトルの底には磁石が付いてるのね。
  • バスタブの中を覗いて映った鏡像?と入れ替わったりするところ、部屋の照明を怪異の人が動かして、光源を作ってたのが面白かった。光源側に立っている方が本体になる。光源に近い方が実態で、遠い方が影にされる。
  • 2回目の船のシーンで、江戸川さんが舳先を持ちながら云うセリフ「あの女がわたしを船に招待してって云ったんだ」がソワレで「あの女がわたしを船にしてって云ったんだ」になってた(笑)。船にしないで〜!
  • ラストの、女が布を引きずって奥へ消えていくところで、波の音が聞こえてすごい良かった、ことにわたしはマチネで気づいたのだけど、昨日もしてたと教わったので、初日からしてたのかもしれない…聞けてなかった…。
  • ひとり踊り続け…怪異と戦い続けながら暗転していくの、暗転後もしばらく動き続ける時間が長くなっていて、何というか…朔太郎の死なない蛸みたいな…無の中に確かに在る思念みたいな…そういう印象を受けてとても良かったです…。
  • ソワレは全体的に、布のさばきがちょっとハラハラした感じでした。近かったから見えてた所為かな。
  • お風呂の栓よりもぽったんぽったん滴る汗おつかれさまでした…。

 死刑執行中〜の死刑囚の男と、ドルチの男は、同じ時間軸の同一人物なのか、ふたつの出来事はどちらも現実に起きたことなのか、同じ男に起きたことなのか、その辺の扱いの上手い読み方を模索しています。最初は、死刑囚の男が、死刑宣告されたのは女を灰皿で殴り殺した事件でだけど、それ以前にヨットで女を溺れさせて殺したこともある*1、ドルチの場面は男の過去で、海で殺された女=赤いドレスの女が海で復讐?とか思っていたんだけど、うん。過去とか一切根拠ないし。あと、ヨットの話が男の過去の現実だったら、「わたしを招待して」って猫の影絵の後に云われた時にもっと焦るか怖がるか、何かしら身に覚えのある反応をするよなーとか。「は? 何云ってんだ??」にはならないよなーとぼけてる感じにも見えなかったし。
 女をバスタブに沈めて殺す、けどバスタブから伸びた女の手が男を引きずり込む、という描写が、男が女を溺死させている事実があるんじゃないか?と友達が云っていてなるほどーと思ったんだけど、わたしはあれは怪異としての女を沈めた方かなとも思っていて…現実の女じゃなく、恐怖の対象としての女。冒頭の牢獄で最初に怪異が姿を現す時、男の前にバスタブが置かれてそこからぐにょーんと伸びてくるのを男が押し戻す、のと重なるような気もする。重なったからといってどうなるのか、どこにつながるのかはわかりませんが。
 じゃあ海のシーンは何なのか、「ドルチ」要素だからと云ってしまえばそりゃそうなんだけど、女は死刑執行人みたいな存在で、ドルチパートはまるまる彼女が執行する死刑のひとつ、かな、とか。脱獄しようとした先は海、みたいな、アルカトラズ的牢獄のイメージもありつつ。その先でもすごい豪華な優雅な生活が一瞬あるんだけど、船は遭難して殺しに来るし、遭難から何とか逃れたらもとの牢獄に連れ戻されるし、また猫を追って脱獄を試みると今度は遭難したヨットで喉の渇きと日差しに殺されかけるし。結局牢獄からは出られていないし。
 でもそうなると「わたしを招待して」とか、「あの女が勝手に云々」とか、の言葉は意味がないというか通じないというかどこにかかっているのかわからないんだよな…。猫もわからないしなぁ。
 結局わからないという牢獄から出られませんでした。ここも自由の延長上!

*1:女は溺死だから殺人には問われず