ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

「ウォールフラワー」初日!

 昨日プレミアがあったようですが、初日を観てきました。開演1時間前くらいにMoTに着いて、並んだのはけっこう後ろの方でしたが、とても見やすいお席から観られました。というか、キャパ少ない上に段差がしっかりついているので、どこからでもよく見えると思います。フラットな床に椅子並んでたらどうしようとかちょっと思ってたんだけど、ぜんぜんそんなことなくて、大変良好な視界で堪能させて頂きましたよ。素敵だった! とても良いものを観た!!
 会場は白い正方形…立方体に近い印象かな。立方体の、隣り合った2面を取り外したような真っ白い床と壁が舞台になっていて、取り外した2面部分にそれぞれ、7列と4列の座席が組んであるという感じ。最前列の床がそのまま舞台の床です。客席2面の間に、生演奏ブースがしつらえてあって、作品中の音楽や音はそこで生演奏されます。演奏は100ねこでもインバル&アヴシャロムのクリエーションに参加していたmomo椿、演奏というか音で共演しているキャストって感じ。ヴァイオリンやチェロやマンドリン、ガラスを叩く音、アコーディオン、ハーモニカ、手回しオルゴール、声、などなどが重なって、どこか儚げな、優しい、でも少しもの悲しい、繊細で綺麗な音が紡がれていました。途中で繰り返し流れていた、バロック音楽みたいな旋律がまだ頭に残っているなぁ。
 上演時間はほぼ1時間、開場前はロビーアトリウムに列作っていました。座席は雛壇+ベンチクッション。かなり狭いです(笑)。座面の上に「ウォールフラワー」のチラシが置いてありました。…基本情報はこのくらいかしら。
 以降、内容に触れます。


 会場内に入ると、白い空間の真ん中で、ミュージシャン3人がすでに音を奏でていて、音に迎え入れられるような感じ。あと、舞台の角に人影がひとつ、アヴシャロムさんのお父様かなーなんて。ふらりと動き出して、客席の間を歩いたり、立ち止まったりしていました。やがて袖から音もなく、カラフルなニットがパッチワークみたいにつぎはぎされたボディスーツ風衣装をまとったダンサーが、ひとりずつ音もなく現れ、壁に沿って折り重なるように寝そべり、ミュージシャンが去った舞台の端で、人影が茶色いニットの…何だろう、衣装というか着ぐるみというか着る袋というか、をもぐり込むように着込んで、開演しました。この茶色いモノが、異形でどこか禍々しくて、でも何だか寂しげで、ユーモラスで不気味で妙に可愛らしくて、やたら観てしまった(笑)。何なんだろうアレ、何となくケガレとか、千と千尋に出てくるカオナシとか、そういうイメージを抱いてしまったのだけれど。アレに食べられちゃう(?)ダンサーもいたし。
 壁にへばりつくようにしながら現れ、壁から剥離するペンキの欠片みたいに白い空間に舞って、でもすぐにまた壁に戻ってきてしまうダンサーたちは、色とりどりの衣装が白い床や壁に映えて綺麗なのに、どこか不安感を煽るというか、戸惑いや恐れを感じさせるというか。すごく動いてるんだけど、もどかしさを覚える。目を見交わさず歩き回る、とか、どこか内向的な印象を受けるのね。そんなダンサーたちの間を、茶色いアレがもぞもぞと蠢き回る…あの茶色いのは何なんだろう。
 そんな茶色いアレが、雄叫びを上げるように叫ぶと、茶色いのを脱ぎ捨てて人に戻る、のがきっかけだったかどうかはちょっと記憶が曖昧ですが、茶色いのを脱いだ人が、舞台装置を操作すると、天井の高い位置に吊されていたハンガーがするすると降りてきて、それを見てダンサーたちはそれぞれの衣装を脱いでハンガーに掛ける。それまでもよくペアで踊っていた女性ダンサーふたりが、抱き合うようにしながら互いの衣装を脱がせていたのがすごく印象に残っています。カラフルな衣装を脱ぐと、中は全員、白っぽいタンクトップとブリーフという下着姿で。女性もちゃんとブリーフだったから、敢えての、なんだなーと思いました。下着姿で床に大の字に寝そべって、吊り上げられていくカラフルな抜け殻を見上げ、そこからの一連のパワフルでかっこいいことと云ったら! 打って変わってって感じで! 音楽もすごく力強く晴れやかで、踊るダンサーたちからも一切の戸惑いや気後れやそれまでに感じていた不安感のようなものはなく、生まれ変わったみたいに見えて…とてもとてもかっこよかった、素敵だった。
 なんとなーくの、一回観ただけの印象だけど、脱ぎ捨てたカラフルな身体にぴたりと沿う衣装は、たとえば民族であるとか、国籍だとか、性別とかセクシャリティとか宗教とか人種とか、何かそういう、その人にぴたりと張り付いたカテゴライズというか、ある種のわかりやすいラベルというか、そういうものなのかも知れないな、と、それを脱ぎ捨てて、人種も性別も色も関係ない、ラベルをすべてはぎ取った、同じただの【ひと】となって力強く迷いなく晴れやかに踊り出す彼らを観て、ぼんやりとそんなことを思いました。そうなのかどうかは知りませんが! 今日の私にはそんな風に見えたよってことで!
 未來さんがどうとかは、何か、あんまりひとりにフォーカスあてては観ていなかったというか、そういう見方ができなかったというか、そう見ないことを楽しんだというか。ダンサーの中のひとり、でした。でも、ラスト近くで引っ詰めていた髪が乱れちゃって、衣装脱いでハンガーに掛ける時に結局髪ゴム取っちゃって、ゴムは衣装にしまって*1、セミロングのワンレングスという非常に新鮮な姿を堪能させて下さいました(笑)。瞬間的にすっごい綺麗!って思う瞬間と、わーすっごい原始人みたい!!って思う瞬間とどっちもあっておもしろかった…。カテコ2回目あたりで元通りに引っ詰めて出てきたけど、見慣れない感じが新鮮でしたよ。あと金髪の女性ダンサーさんとカテコで隣同士だったんだけど、ハケる時に何か言葉を交わして笑ったりしていて、とても目に美味しい光景でした…未來さんがもっかいお辞儀しようとした?のかな??けど彼女はハケようとしてて、未來さんにおっと、ってぶつかって未來さんがおっとってなってたり*2。そんなのも含めて、とても楽しかったなぁ! 良いものを観た感で満たされて帰途につきました。帰りに食べた深川めし、最後までアサリたっぷりで美味しかったなー。
 あと2日間、観ていくうちにどう変わるのか、わたしの受け止め方が変化するのか、も楽しみです。

*1:そこ入るんだ!って思った/笑

*2:伝わらない…けどとにかく何か可愛かったんです…