ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

柿喰う客 女体シェイクスピア005「暴走ジュリエット」@あうるすぽっと(10/20夜)

 006の迷走クレオパトラに続いて観てきました。今回はガールズナイトじゃない普通の公演です。
 ロミジュリは去年かな? THE・ガジラのを観て、それはそれは破滅的で凶暴で命懸けのロミオとジュリエットに非常に鮮烈な印象を受けたのがまだ記憶に新しく、女体バージョンはどんな演出で来るのかとても楽しみだったのですが、そう来たか。予想外でびっくり、というよりは、ですよねー!って感じの納得のロミジュリだった。でもやっぱりというか、当然なんだけど、味付けの方向性はまったく逆で! 逆を向いているのに、ああやっぱりロミジュリだ、この若くて青い暴走っぷりはロミジュリだ、となるのは、これはもう原作の持つ揺るぎなさなのかな。シェイクスピアすごーい、という何ともしょーもない結論に至ってしまうのですが(笑)。
 暴走ジュリエット、タイトルロールは佃井皆美さん*1で、ロミオは瀬戸さおりさん。佃井さんは迷走クレオパトラのかっくいいシーザー役から一転、おてんばで純真無垢なセーラー服少女のジュリエットです。が、まぁこれが可愛らしい(笑)。ボサボサ頭もまだ垢抜けないおぼこいお嬢さんが、いい子ちゃんでちょっと情けないロミオと恋に落ちて、あまりに幼く純粋なふたりがただその恋の成就だけを願って暴走する、という…基本的にはとてもオーソドックスなロミジュリでした。ちょっとおバカだけど(笑)。ガジラが、この恋が叶わなければ死ぬ!!けど成就させる為には死んでもいい!!みたいな危機感というか、鬼気迫るふたりの行く先は死しかない感もりもりだったのに比べて、暴走のふたりはただ恋を成就させることだけを目指していたら死んじゃった、みたいなうっかり感が…可愛い分切なく不条理に思えた…。ガジラのふたりの死は、これで良かった、これしかなかった、って思ったからね…。
 個人的にはベンヴォーリオの秋月三佳ちゃんがとても可愛かったです。迷走でのアイアラスもひたすら可愛かったし、たぶんわたしの好みなんだと思う…。あと、パリスが! いやもうパリス様が!! 迷走のクレオパトラ女王だった高部あい嬢なのですが、これがもう美しいの何のって…すいませんジュリエットがいらないって云うならわたしとけっこんしてください…足長い腰高い顔綺麗スタイル美しいスーツ姿たまらん!! パリス様出てくるとうっとりしていた記憶ばかりある…。ティボルトもバンカラでかっこよかったですよ何故かカタコトのチャーミアンだった杉ありす嬢でした。
 キャピュレット家がセーラー/学ランでどちらかというと不良っぽい雰囲気なのに対し、モンタギュー家側はブレザーネクタイでおぼっちゃん校みたいな感じなのも対立項として視覚的にわかりやすくて良かったです。ちょっとノリが「高校中パニック!小激突!!」思い出したり。
 柿喰う客の劇団員さんは、葉丸さんが珍しく(?)一貫して人間役(笑)だったのと、クレオパトラであんっなに格好良かった七味さんがザマスなおばちゃまだったのと、深谷さんの女子高生姿と打って変わってのハイテンション神父役でものすごい端折り方してた(笑)のと、などが印象的でした。楽しかった!! そしてラストがやっぱりかっこよかった…クレオパトラはちょっと食べ足りない感じがしてしまったのだけど、もしかしたら席の影響かもしれない。クレオパトラは下手側だったけど、ジュリエットはどセンターで観られたからな…。
 それでも、やっぱりエツ子さんの歌が欲しくなってしまう失禁リア王・絶頂マクベス好きなのでした。発情ジュリアス・シーザーも好きだけどね!

*1:は以前の「絶頂マクベス」でマクダフを演じられました