ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

インターメディアテクという博物館

 先日、東京駅へふらりと立ち寄りまして、改装終わってもうずいぶんと経つのにやっと、例の天井の場所に辿りつけたりしまして*1、わーデコレーションプリンみたいーなんて思いながら天井を見上げたりしておりましたよ。カラメルも良い色。

 で、そういえばこのすぐ近くにKITTEなんていうの出来たよね、と思い出し、平日夕方だしそれほど混んでもいないだろうと見込んで初めて行ってみました。KITTEはまぁ複合商業施設でセレクトショップとかいろいろあってふーん、という感じだったんですが、そのKITTE内に併設されているインターメディアテクという施設が。何なの一体? あ、無料なの? とおそるおそる覗いてみたところ、これが。めちゃくちゃオススメできる素晴らしい施設だったのですよ…。
 東京大学総合研究博物館日本郵便の協働プロジェクトとのことで、位置づけとしては東大総合博物館の分館のひとつ、なのかな。本館と小石川分館の方もとっても気になるのですがどちらも未踏。でもそんなこと気づかずに、ひんやり静謐な空気の白い空間へそろりと足を踏み入れると、もう…もう。わたしゃ動悸を押さえられませんでしたよ。中にいる間中ずっと平たい胸を押さえておりましたよ。だって! だって素敵なんですもの!! めちゃくちゃ素敵なんですもの!! 泊まりたかった!!
 大元が東大総合博物館なので、収蔵物の数とクオリティは圧巻の一言なのですが、その展示方法が。いちいち素敵。施設まるごと素敵。空間が素敵。好きなひとには本当にツボなはずですよ…。常設展示の1階フロアに足を踏み入れると、歴史ある建物の構造を生かした高い天井の空間に、巨大なクジラやキリンやダチョウの骨格標本が黒アイアンに縁取られて立ち並ぶ。展示用の什器は帝大時代から使われてきたガチアンティークの木枠ガラスケースやらライティングビューローやら、そんな素敵な什器の中に、整然とぎっしりと並べられた小動物の骨格標本とか…くらくらするわ。
 奥の特別展示フロアではちょうど、火星の表面写真を巨大に引き伸ばしたものを、ゴールドの装飾が美しい額に入れて展示、その前には赤ビロード張りのソファが並ぶ、とか…うっとりしてしまう。展示されているのは自然科学的資料であったり、文化人類学的であったり考古学的であったり*2、それこそ赤瀬川源平さんの0円紙幣だったり、歯車機構の模型であったり、が同じフロアに混在していて、学術的分類とはちょっとそぐわない気がするのだけど、それらが同じ空間に渾然一体と展示されている、その全体の調和というか美しさが、ああもうこれは絶対正解。ていうか正義。てくらいに…全てが完璧なんですよ。趣味的に。ほんとにね、「これ欲しい!」じゃなくて「ここ欲しい!」な空間でしたよ…博物館に泊まろう企画してくれないかな(笑)。
 巨大なワニの骨格を横目に、2階の階段を上がったところに現れるおびただしい数の鳥類剥製も凄かった。動物の剥製も少しあったんだけど、何故かしら鳥剥製や骨格標本に比べると…まったくときめかなかった(笑)。骨格標本はどれもこれも美しくて、レプリカも多かったけどそれは問題にならず。でも魚の骨格は、綺麗なんだけどどうしても、上手に食べられた焼き魚の後に見えて…ごちそうさまでした。と思ってしまった(笑)。
 美しい棚やケースに、古いタグが付いた骨や鉱物や標本がきっちりみっしり詰まっている様は、澁澤龍彦的ロマンチシズムを感じてしまうのです。幻想博物誌的な胡桃の中の世界的な。河出文庫的な。あの場に球体関節人形がないのが不思議なくらい。ついでに特別展示が火星だったのでタルホロジーな空気も感じてしまったり。骨格標本とアート作品が一緒にある感じはシュールレアリスティックでもあるかも、手術台の上で蝙蝠傘とミシンが出会っちゃうような。
 ひとりでぷらりと入ったのだけど、あまりの素晴らしさに2時間近くいてしまいました…疲れてなければもっといたかった。館内写真撮影禁止で残念だったけど、撮影OKだったらSDカード容量尽きるまで撮りまくりそうなので、禁止されてて良かったかもしれない…。博物館全体がひとつの、インスタレーションアートのようでした。こんな素敵な空間が無料で楽しめるなんてKITTEいいところだ…。というわけでちょくちょくホネホネしに行きたいと思います。
 常設展示の図録というか写真集があったら買いたかったのだけどまだ出ていないとのこと(後述)なので、絵葉書を求めて帰りました。このね…地球儀とか天球儀とかの台座に、山羊の大腿骨(確か)をセッティングするというね…狙い澄ましてるよね…カッコイイに決まってるじゃないかばかぁ…。


(加工してあります)

INTERMEDIATHEQUE
『インターメディアテク』に見る 21世紀のミュージアムの姿。 | dacapo (ダカーポ) the web-magazine
インターメディアテク | 美術館・博物館・イベント・展覧会 [インターネットミュージアム]
 動画も貼っておく。よだれがでる。

 月曜休館、開館は11時から18時まで(木金は20時まで)なので、もし行かれる方はお時間確認して下さい。
 で、常設展示の写真集ないのー?と云っておりましたら、来月頭に平凡社さんから本が出版されるようで! ちょ、これは欲しい…!

*1:東京駅自体はけっこう行くんだけど

*2:ペルー出土の金の装飾品とかエジプトのミイラとか石器とかもある