ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

「早乙女太一 “原点進化”」@パルコ劇場(6/18夜)

 新春公演はねこと丸かぶり、明治座はちょっとモチベーションが上がらず見送り、朱雀公演は悉く日程・場所・時間が合わず、ご無沙汰になってしまった太一くん、久しぶりに観に行けました。パルコ劇場で一週間、日替わり連続公演という企画です。チケット取る時、演目をどれにするかすごく迷って、迷った挙句に去年の夏、関西方面のお友達たちが観て話題騒然(笑)となった、「次郎長旅日記」にしてみました。正直、どれがオススメなのかとか、どれが定番?なのかとか、さっぱりわからないので、あてずっぽう&行ける時間、という選び方なのですが。結果的には大満足…というか、ええと、とっても楽しかったので、大正解と思っておりますが!
 パルコ劇場だけど、早乙女太一が「原点」を「進化」させると銘打つからには、そりゃあ大衆演劇なのでしょうとぼんやり思いつつ、でも朱雀公演だって葛飾辺りで観たことあるし〜勝手知ったるパルコ劇場様だし〜と普段通りのお芝居観にいく感覚で行ったら、うわぁ。大!衆!演!劇! わたしまだその端っこに指先でちょこんと触っただけだったんだ!!と…非常に新鮮な経験をさせて頂きました。葛飾なんて序の口だったのね…しかし今回もパルコ劇場というイレギュラーなハコだから、きっと手のひらでタッチくらいのものね…。でも雰囲気は楽しませて頂けましたよー客席のノリとか!
 ちょっと長くなったので畳んでおきます。ネタバレもあるかもしれない。

 ロビーに入るとイカニモな関係者の方々が挨拶など交わしていて、そういえば初日だったんですね。気にしてなかった。席に着くと何故か、見切れのある席でもないのにお座布団が。え、何で? ご高齢のお客様にはパルコの席は固い? それともご高齢なわたしの腰の為にわざわざ? 何にしろとりあえずありがとうございますと早速活用させて頂きましたが、見切れとか場所関係なく全席に置いてあるようで、しかもやたらふわふわでお尻に敷いても視界の高さは変わらないよ?という。首をかしげつつ背中の後ろに当てさせて頂きましたが。
 お昼の情報番組でたまに見かける可愛い双子の芸人さん?が客席にいらっしゃるのを眺めたりしつつ座っていると、SEが大きくなり照明が落ち、緞帳に映像が照射されそして響き渡るナレーション…が、これ生でやってるよね、っていうかほぼリングアナで…面白かったです。こうやって盛り上げるのかー! そして最高潮に盛り上がったナレーションがその名を呼ぶと同時に幕が開き、そこに佇む美しき立ち姿…第一部のスタートです!!
 えーと、ほんとに何も知らないで行ったので、その場であっそうなんだー、て感じだったのですが、三部構成になっていまして、第一部が女形での舞踊ショー、第二部が日替わりのお芝居、第三部が舞踊というよりダンスショー、てんこ盛りの3時間半越えでした。二部で終わるのかと一瞬思ったらまだ休憩だったという(笑)。この、全力で楽しませる気概というか気迫が、「大衆」演劇なんだなぁ。そりゃあ座布団も必要だわ*1
 第一部の舞踊はしっとり+情念系の、太一くんの女形を堪能できる感じ。久しぶりに観たと云っても1年ぶりくらいなので、実質何がどう変わっているってほどのことはないと思うし、わたしもそんなこと語れるほど観ているわけでも全然ないので、ほんとぼんやりとした印象の話なのですが、何となく、前に観た時と色気の種類が変わったというか…違う種類の色気を纏ったというか…そんな気がしました。前回観たのがいつだったかすぐに思い出せないのですが*2、さすがに二十歳超えた成人男子だもんねー女形もなかなか大変だよねー、という感想がどうしても出てきてしまっていたのが、今回はその次元を超えたな、というか。成人男性が演じるからこその色気というか。「少女と見まごうような」じゃない美しさを感じました…儚さとかより、かっこよかった。個人的にはこういう方向性、好きなので、太一くんにはやっぱり女形続けてほしいなぁ。
 そんな話はともかく、般若の面を使った演出とか、流石の扇子捌きとか、うっとりでした。太一くんが上手に行くと上手のお客さんが、下手に行くと下手のお客さんが、わーっと拍手したり、曲とポーズのキメの瞬間に「たいちー!!」と掛け声がかかったりするのが、独特な雰囲気で楽しかったです。弟の早乙女友貴くんの、着流し姿に唐傘持って踊るのもかっこよかった! ゲストも含め、ひとりずつ登場してご挨拶の紹介コーナーもリングアナ(?)大活躍で。矢崎宏くんが韓流スターみたいに登場したのも面白かった(笑)。とみくろは学ランだったっけ?
 一部は短めに終わって15分程の休憩をはさみ、第二部はお芝居です。これ観てみたかったんだよー! 噂に聞くブサメイクオカマちゃんな太一くんの身体張ったギャグ。と噂は聞いていたけど想像全くできず(笑)。普通にお芝居っぽく始まったので、ふんふんと観始めましたが、途中から何かこの感覚何かに似ている…そうだ、ドリフだ!と(笑)。凄かったです…もうハチャメチャで! ちょくちょく、あれこれアドリブっぽいなぁなんて思う部分が、すごくたくさんというかしょっちゅうあったのですが、そうなのか大衆のお芝居って台本ないんですか…!! 全部アドリブか!! なるほど納得の緊張感とグダグダ感だった(笑)。恐らくいろいろと仕掛けまくっているのでしょうが、なにぶん初めて見るので、そんなことしちゃってるー!!っていうのがわからないのが残念というか何もかもヤラカシテるように見えましたよ…楽しかったなぁ。そしてブサメイクな太一くん演じる早乙女豚之丞座長は、そりゃあ出てきた時はえ? ええ!? えええっ!?!?と三度見くらいしてしまいましたが、しばらく経つと目が慣れて(?)可愛く見える不思議。オネェ言葉も板についてますさすがです(笑)。おネェ言葉でびっしばっしと突っ込みまくる豚之丞座長の姿に、たまぁにヘドを思い起こさせられて胸が痛んだりもしました…*3
 お話の筋は一応(笑)、お金がなくて興行打てない早乙女豚之丞一座が、途中で旅の男を無理やり仲間に引き入れつつ、実家にお金の工面を頼みに行くが、実家は父親がなくなって借金のカタに妹をやくざ者に取られ困窮。妹を助け出す為に、一座は有名なヤクザの清水の次郎長一家を騙って芝居を打つが…という感じ。を、ドリフ的にやる感じ(笑)。次郎長一家の誰を座組みの誰が演じるか、とかもその日の気分なんだろうなぁ(笑)。で、座長が適当に(?)配役を振って、相手の根城に乗り込んで名乗る時に、踊るのよ!となって、その踊りをその場で振り付けるという…もちろん振りも即興で覚えるのもその場でですよ。もう酷いね!! 腹筋割れるわ!! また豚之丞さんがキレッキレでへんてこ踊りを踊りまくる上に「一度で覚えなさいよ二度はできないのよ!!」なので…たまらん。ファンは大変だこりゃ…とか思ってしまっただって一度だって見逃したくない感じだもの…。次郎長親分登場には「ギザギザハートの子守唄」、お蝶さん(は座長)は何だっけこれ本番しかやらなかったから覚えてないや、あとサンバと寿司食いねぇと江頭さん登場のテーマこと布袋さんの「スリル」、にいちいちソレっぽい振り付けを自ら付けていく太一く…じゃなかった豚之丞座長。ほんとヒドかった面白かったずっと笑ってたそして長かった…!!! 岩崎祐也くんの寿司食いねぇ(のシャリ乗せる係)とてもおかしかったです…いや全編にわたって大体おっかしかったんだけどダンスパート(?)に持ってかれてしまった…お母さんに頭突き喰らわせる豚之丞さんとかほんとヒドかったんですけどね。あと葵座長や山崎銀之丞さんの扱いもヒドかった…まさか座長のあんな姿を見ることになるとは…。劇終の瞬間まで「おわり!!」でシメて、ほんとにずっと笑っていた第二部でした。後で聞いた話だと最長記録の1時間45分とか(笑)。どうりで長いと思ったわー短い時は50分で終わるのに、ですって(笑)。あと、寿司食いねぇ振り付け中に上手の隅でずーっと自主練してたサンバチームのクオリティ高かったです(笑)。
 狂乱の第二部の幕が下り、ここでも15分程の休憩に。そうか三部構成なのかと初めて認識するわたし(笑)。休憩案内のアナウンスがあってわりとすぐに幕が開いて、まだ豚之丞姿の太一くんがマイク片手に…グッズ販売の御案内を(笑)。トイレ行けないじゃんー! いや行くのか、こういうのが何ともない感じが大衆なのか!! お客さんもけっこう普通に立ってロビーに出られていたので、そういうものなのでしょうか。ふわわっご本人登場!!なんてならないのかしら。距離感がわからぬ。そんな自然体なお客さんの前に、恰好は豚之丞ですがまた自然体にふらりと現れた太一くん、舞台の真中に座り込んでグッズを説明していました。座員さんたちが衣装のまま売り歩いていたり。カレンダー(今年のだから半額)とか写真集とかタオルとかを紹介していました。でスタッフさん?に「二代目も売ります?」とか云われて「あー俺は支度あるから売らない」なんて普通に返事してたり。とにかくにこやかに爽やかに自然にいっぱい喋っていて、過去に観に行った朱雀公演でもびっくりしたけど、やっぱりどうしても客演時の文字通り借りてきた猫みたいな太一くんの印象が強いので、こういうところを見ると「おおお…」ってなってしまう(笑)。これがホームの太一くん…。
 そしてお支度あるので一旦ハケた二代目に安心(?)して、わたしもトイレなど済ませて席に戻ると、しばらくしてまた太一くんが、長いポニテに黒系のヨサコイみたいなカッコイイ衣装でヘッドマイクで再登場。ふおお…となる美しさ(笑)。そりゃそうだわさっきまで豚之丞だったんだもの! あらまぁ綺麗な子…となってしまうのは仕方ない。ふわりと緞帳前に現れて、フランクに話しだす二代目です。第三部の舞踊ショーに向けて、軽く振り付けの練習とか、座布団の使用法レクチャー(笑)とか、をしてくれました。座布団はそう、敷くものではなく投げる為のものだったのだー!! だからこんなにふわんふわんなのね(笑)。でもわたしの腰の為にずいぶんと役立ってくれましたよありがとう。わかった投げる。そして、盛り上げて盛り上げて煽って煽って、客席のテンションも否が応にも盛り上がったところで、一気に幕を駆け開ける。これめっちゃかっこよかった…。そこからはノンストップのダンスショーです。しかもヘッドマイクでたまに歌ってる。あの運動量でどうして…ってなるわ…ほんと凄かったです。いつも見慣れているヒト(笑)とはやはり、重心の置き方が違うのも観ていて面白い点ですね。低い重心で滑らかに動くの美しい。タップとか太鼓とかのパフォーマンスはなく、とにかくノリノリの大音響で踊りまくるのも、本当にただお客さんを楽しませるその一点に的を絞りこんで全力を傾ける舞台でした。最後ふらふらになっててそれでもかまわず踊り続けて、全身全霊、て感じがしてちょっと鳥肌モノでした…壮絶なほど。
 ちょっと流れを忘れかけてるのでごちゃごちゃになりますが、三部の途中かな? もう一回トークというか…青い裃みたいな衣装で喋ってた太一くんを覚えているのだけどどのタイミングで出てきたのかわからないや(笑)。「あと2曲ー!」って云ってたから最後の方かなぁ。お客さんが持っていた団扇?を受け取って仰いだりしてた…のは盛り上がって客席降りた時だったかなぁ。とにかく長いポニテに青い裃っぽい衣装がとてもよく似合って美しかったです。そしてラスト2曲のうち1曲は岩崎くんがセンターで踊るガッツだぜ!なやつで、これのクライマックスで座布団を投げ込むという演出。パルコ劇場を舞い飛ぶ無数の座布団は壮観でした…そして前方席のお客さん当たりまくってますよねきっと。ふわふわだけど当たればそれなりに…(笑)。でも盛り上がったし投げるの楽しかった! フリスビーのようにくるくるっと飛ばすのがポイントですね!
 ラストの曲がまた激しくて、フラッフラになってるのわかるくらいなのに、それでも限界まで出し切っててそれがでも楽しそうで、ほんとエネルギーの固まりが輝いてるみたいだった。あまりに激しくて太一くんのカツラが飛んじゃって、一瞬「やべっ」て顔で固まってすぐに羽二重も取って短い自毛で踊ってたけど、やべっなお顔がまた可愛くて…ハプニングはないに越したことないけど、あんなお顔が観られるなら悪くないと思ってしまう(笑)。すんごいキュートなお茶目な顔してました可愛い。改めて、らんべえさんの中にいた人とは思えない…。
 フィナーレ(?)まで終わって、拍手の中、送り出しができない代わりに、と最後は煎餅投げならぬティッシュ投げ+三本締めで終わりました。ティッシュの中には当たりが入っていて、当たると一緒に写真が撮れたり握手できたりするんだとか。送り出しなんてあんなフラッフラになるまで踊った後でいいよーなしでーと思いましたが、ティッシュは当たらなくていいけど欲しかったなぁ。そこも新感線方式で配りに来てくれたらいいのにな。客席降りて投げたりしてくれていたけど、わたしの周りはほとんどもらえていませんでした。まぁいいんだけどさ、ファンだったらくじ引きに参加もできるひととできないひとが出てしまうのは悲しいんじゃないかなーとちょっと思ったの。
 まぁそれはともかく、大満足のてんこ盛りのかつ丼天丼付き鴨せいろみたいな大ボリュームのエンターテインメントでした。ほんと楽しかったー長かったけど楽しかったー! 妖艶うっとり分はちょっと低めのプログラムでしたが、見たことのないモノがたくさん見られていろいろ新鮮で、わたしが普段観に行くお芝居の世界とはまた全然違う世界で、違う世界だけどすっごく楽しかったです。大衆演劇、「わかりやすさ」に徹した造りの潔さ、がカッコイイ。

*1:違うんですが

*2:明治座のGOEMONかな?

*3:これは仕方ない草津の湯でも治せない病気なので