ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

第24回東京国際映画祭「セイジ−陸の魚−」


 来年2月の公開予定ですが、一足お先に観てきました。上映前には伊勢谷友介監督と西嶋秀俊さんの舞台挨拶もアリ。伊勢谷さんは快活で明晰な印象、西島さんは笑顔がチャーミングな素敵なオトナという感じでした。
 上映前の舞台挨拶の様子をちょこっと。記事や写真が上がっているので、お二人の服装や質疑応答の内容は割愛します。この辺り↓をご参考に。
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 西島さんは物静かな大人な印象、伊勢谷監督は、グリーンカーペットの時はフォーマルをさらりと着こなしてジェントルマンな雰囲気だったけど、この日はラフな出で立ちにお洒落オジサン眼鏡でチャーミングな雰囲気でした。質問への受け答えも落ち着いた雰囲気の西島さん、茶目っ気たっぷりな伊勢谷監督、という感じ。英語の通訳が入ったので、そのタイミングを図ったり、文脈どこで切るか「そろそろ?」なんて通訳さんに訊いてみたり。笑顔溢れる監督でした!
 質疑の中で、西島さんに「キャスティングのオファーが来た時はどう思われましたか?」みたいな質問があって、その答えが、「共演している森山くんや新井くん、渋川くんというメンツは、たとえ相手がベテラン俳優さんでも遠慮なくぶつかっていくので俳優の中では有名な人たちなので、その中に自分も入っていることがとても誇らしい」みたいなことを応えてらっしゃいました。ベテラン俳優さんにも臆することなくぶつかっていく俳優さん、の筆頭に未來さんのお名前を挙げて頂いたのが嬉しかったの(笑)。あと、「役者ならみんな知ってるんですが」みたいにそのことを仰ってて、そうか役者仲間の中でも未來さん*1のそういうのは有名なんだ…と、納得というか、感慨深いというか、なるほどというかやっぱりというか(笑)。
 面白かったのはフォトセッションの時に、カメラマンさんからおふたりに「握手して下さい」なんて注文が飛んで、伊勢谷さんが「ええ、握手!? 政治家みたいじゃない(笑)」とか云いながらも西島さんと握手しようとしたら、握手じゃなくて肩組んでほしかったらしいことが判明、「変だとおもった(笑)」的な感じになっていました。何となく肩に手を回すお二人、ついでにふざけたように伊勢谷さんがピースサインなんかすると、カメラマンさんたちそれが気に入ったらしく、「こちらにもピースお願いします」の連続で、監督も苦笑い、西島さんも顔伏せて笑っちゃってました。面白かった(笑)。何でピース?とか「あ、2作目ってことか! じゃあ次撮ったら3*2てするんだね」とかそんな軽口叩きながら楽しいフォトセッションで、その様子を眺めながら客席もずっと笑ってたら、「なんか笑いが起きてるけど大丈夫なのコレ?」なんて仰ってたり。ピースしたり、西島さんを指差しポーズしておどけた表情したり、ほんと楽しい舞台挨拶でしたー。監督テンション高かった(笑)。この場に未來さんもいたらもっと面白かっただろうにー(笑)。
 本編の感想は、予想外にというか予想以上にというか、不可思議な感覚の映画になっていました。原作小説を読む限り、複雑な要素は何もないし、映画になって物語の筋が大幅に変わったりもしていないのだけど、映画の質感というか触感というか、があまりない感じで戸惑う、ような。映像の質感とかではなくて、作品世界の質感、という意味で。世界には入り込めるんだけど、入った先での居場所が見つからず、高いところから俯瞰で見下ろしているような感じでした。キャラクターの誰にも、自己投影とか感情移入とかできないまま、その世界の空気に浸って漂っているような。たとえば、「モテキ」が物語の筋やキャラクターの感情のジェットコースターに同乗して、一緒に振り回されながら観る映画だとすると、「セイジ」はジェットコースターを、上空から見下ろして観る映画、という感じ。もしかしたら、わたしが今回乗り損ねただけなのかも知れませんが。乗っかれるから良い、乗っかれないのは悪い、というわけではなくて、世界観にはずっぷり入り込みながら、中の誰にも乗っかることができない、という状態が、すごく不思議な感覚だったのです。居方がわからないから、居心地が悪かったなぁ。でも、登場人物がみんな、どこか居心地悪そうに、あの世界の中で生きていたので、居心地悪く感じることもあながち間違いではないのかも。空や木々や水や緑や、自然たっぷりの映像なのに、何故か息苦しさや閉塞感を覚えるのも、彼ら自身が開放されていないから、かなぁ。自然の中を未來さんが自転車漕いだり、車の窓から風に吹かれてたりしているのにも関わらず、爽快感とか清々しさとかはほぼ感じられなかったよ…。そういえば、唯一、閉塞感から開放されたのが、ラストの湖のシーンだったような気もするので、やっぱりそうなのかも。彼女は多分、一番、自分の居場所を見つけてるもんね。
 映像は生々しくも美しい、というか、生々しさが美しいというか。途中、時間軸があれ?てなるところがあって一瞬混乱したけど、一瞬ですみました(笑)。意味を図りかねるシーンもあるんだけど…あれは何なのかなぁ何を表していたのかなぁ。あと、連続した時間の流れとか、ひとつの物語の道筋を描く、っていうよりは、ひとつひとつのシーンを点、点、と置くように*3並べて紡いでいくのが面白いなぁと。ぽつん、ぽつん、て感じ。
 そして旅人未來さん。こんがり日焼けしててろんてろんのTシャツにハーパンに、エプロンだったり絆創膏だったり煙草だったりのオプション付く未來さん。は、タテノリとかサクちゃんとか、あの頃に戻ったかのような少年のお顔をしていましたよ。フジとはほんと別人。ハーパン〜脛〜おっきいワークブーツ、のバランスがたまらないです(笑)。煙草吸いながら食事するのは美味しくないと思うんだけどなぁ、とは思いましたが。何かもう、いっちいち、くっそ可愛いなぁ!!という感じでしたが、それでもやっぱり時に、言葉よりも表情よりも雄弁にモノを語る身体や動きが垣間見えて、そんなところでも嬉しくなるのでした。西島さんは言葉も動きも本当に抑えてて、抑えに抑えた末で発せられる言葉や動きがだから余計に鮮烈であったり、ずしりとしたり。その分、りつこちゃんと遊んでる時のギャップに驚くし、それがその後の展開にも響いてくるのね。旅人未來さんにたまーにちらりと向ける笑みが嬉しいのでした…。あと西島さんも鼻筋綺麗だなぁ。
 2月の封切まで、次回鑑賞はお預けになる…のかな。試写会とか行けるかな。何だかいろいろ、ざわざわと落ち着かない感覚なので、ざわざわの原因や理由を突き止める為にも早いところ2回目を観たい所存であります。が、しかし、20年の時を経ても、旅人はああならないと思うので、そこだけは納得しかねるのでありました。いやー…ないわ(笑)。

*1:に限っているわけではないのだろうけど!でも!!

*2:って三本指立てる

*3:重ねるんじゃなくて少しずつ離して置く感じ