ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

アトリエ染花 30周年記念作品展〜CONTINUOUS〜@自由学園明日館


 いろんな偶然とご縁?が重なって、素敵なアトリエの展示会にお招き預かりまして、いそいそと出かけて行ってみましたよ。今はなきカネコイサオとかWONDERFUL WORLDとか、ふりふりひらひらなお洋服の胸元に欠かせないコサージュを手がけてきたアトリエの、30周年記念展示会です。場所は重要文化財に指定されている、自由学園明日館。帝国ホテルでおなじみフランク・ロイド・ライトが設計した素敵な建物です。が、本館の方は結婚式で貸切になってて、中が見学できなかった〜。そうだよね6月だもんね土日なんてジューンブライド真っ盛りよね…。緑の芝生と薔薇が美しい外観だけ眺めてきました…。
 展示会は明日館の別棟になっている講堂で。こちらもライトの意匠を引き継いだ素敵な建物です。が、建物よりも展示に目を奪われて…窓の形とか見てらんなかったわ…。何て云うんだろ、アートフラワー? 造花とは呼びたくない花たちが、咲き誇っていましたよ…すっごいの…。花びら一枚一枚、微妙な色の濃淡と混ざり合いで、本当に一枚ずつ表情が違ってて、花芯の本当に細かいところまで造り込んであって…自分でカネコ系のお洋服を着たことはない*1けど、周囲に好きな友人がいたので、けっこう身近に見ていたけど、本当にいつもコサージュの精密さというかホンモノみたいっぷりにはびっくりしていたので、それのホンキを見せ付けられたというか。展示会用の作品なので、ひとつずつのクオリティが量産前提の製品版の比でないというか。圧巻の美しさでした。そもそもはきっと、すぐに枯れてしまう生花の代わりに、長く身を飾る為の花として作られたコサージュだと思うんだけど、「身を飾る」という目的から離れ、「生花の代わり」という成り立ちからも離れて、ひとつのアートとして成立している、何かを飾る為ではなくてそれ自体が美しい、そういう、ぐるっと回って到達した高み、みたいなものを感じました。
 小さな勿忘草のブーケから、大輪の薔薇や菊、木蓮、華奢なかんざしやジュエリーなんかもあって眼福。シンプルなアンティークっぽいウエディングドレスをシックな色合いの小薔薇で飾ったのとか、ほんっと素敵だった…白いオーガンジーに白い小花を散らしたカーテン?とか。2mくらいの帯状に連なった花々とか、砂の満ちた盆にふわりと乗せられた椿とか、インスタレーションとしても素敵。圧巻だったのは伊藤若冲の世界観をモチーフにした展示で、杜若の深い深い青とか、木蓮の重たげな花びらとか、ずっしりとした質感と濡れた重さが視覚から感じられるというか。その花びら一枚一枚が全て、同じ一枚の白い布を切り抜いて染めるところから始まっている、というのがまた、凄い。花びら一枚ずつ、それぞれに濃淡や色合いが違っていて、それも手作業で染めたり描き加えたりしているとのことで…椿の花芯に無数にある雌しべも一本ずつ作ってるそうで…気の遠くなるような作業だわ…菊の花びらって何枚あるのかしらね…。
 折り紙みたいに布を折ったモチーフを鎖で繋げて出来たドレスとか、ちょっと新感線の団吾さん衣装みたいなものもあったりしつつ。古い木の床や高い天井に、シックな色味の花々がよく映える空間でした。すんごい顔近づけて花びら1枚ずつをじっくり見るのも面白いし、ずずいと引いて全体を見るのも面白い、ミクロにもマクロにも楽しんでしまいました(笑)。入場無料、明日まで。
news - アトリエ染花
 Yさん、お招きありがとうございました! 

*1:着させてもらったことはあるけど持ってない